日本国内におけるグラスロッドの始まりは?

という疑問について、以前3つの記事で取り上げました。

 

 



要約すると、

1.昭和27年、オリムピックがグラスロッドを製造したが、国内販売はしなかった。

2.昭和28年10月、NFTがグラスロッド製造に着手。

3.昭和29年8月には、つるや釣具店でグラスロッドが販売されていた。


おおよそこんな話でしたが、今回は新たに月刊つり人昭和30年1月号(昭和29年12月発売)を入手、貴重な広告を見つけたので、詳しく解説してみたいと思います。


表紙


右隅に昭和29年12月の文字


裏表紙


そしてこの広告です。


拡大①


拡大②

拡大①を見ると、「グラスファイバー製磯竿の生産段階に入りました」と有り、
拡大②を見ると、その竿の特徴がイラストと共に書かれている。
左下には「販売店 東作 つるや」の文字。

まず、生産段階に入った竿とは、
「規格 振出し中通し式、四本継十六尺、自重百六十匁。」
一匁(いちもんめ)は3.75g。すなわち4.8m600gの中通し式振出し磯竿です。

文章の最後には「磯竿の外にも」として、
・十尺四本継振出しステッキ竿
・五尺二本継振出し手バネ竿
・シャクリ竿
これら3本が「出来ております」とのこと。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
さて、この広告をどう読み解くか?

まず思い出すのは、「NFT創業は昭和◯◯年」の記事に出した、月刊つり人昭和29年9月号つるやの広告。

ここに掲載されている「グラスファイバー釣竿」こそ、「出来ております」となっている
ステッキ竿、手バネ竿、シャクリ竿だと思われます。

ちなみに卸問屋はツネミだった模様↓

30年1月号の広告

日本フィッシングタックルKK特約店↓

今回の広告から分かる昭和29年12月の状況は、とりあえず3種類のグラスロッドを東作とつるやで販売しつつ、磯竿は生産に入った段階、ということのようです。

それと、とても気になるのがこれ↓

NFTがNETになってます(笑)

自社のロゴマークを間違えるなんて、普通あり得ない話です。しかし、これがもしも「初めての広告」だったらどうでしょう?

さすがに、何回も会社のロゴマークを間違えるとは思えません。
これが2回目以降の広告だったら、訂正されていると思うんです。初めてだからこその、うっかり校正ミスなのでは?

あらためて様々な状況から勘案すると、この広告こそ日本国内で初めて発表されたNFTの広告だと考えられるのではないでしょうか?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ここで、あれ?そういえば?と思い出しました。「国産初のグラスロッド続編」で出した、水之趣味昭和30年9月号の広告と見比べてみましょう。

水之趣味 昭和30年9月号より

ロゴは直ってますね(笑)

広告をよく見ると、
NF-11・・・振出し中通し式、四本継十六尺
NF-21・・・十尺四本継振出しステッキ竿
NF-31・・・シャクリ竿
NF-41・・・五尺二本継振出し手バネ竿

つり人30年1月号の4本と、NF- 11からNF-41までの特徴が一致します。
番号の付け方も、10番台が磯竿、20番台が振出し延べ竿、30番台がシャクリ竿、40番台が手バネ竿となっています。

4種類で一番最後に出来たのは磯竿なんですが、出来た順番で番号を付けたら磯竿はNF-41になるはず。
それをNF-11としたのは何故か?
おそらくNFTは4.8mの磯竿を、発表するグラスロッドのフラッグシップモデルと考えていたのではないでしょうか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
まず先に出来た3種類を東作とつるやで販売、その時点ではNF-21とか41とは名付けず、最後に完成したフラッグシップの磯竿をグラスロッドの1丁目1番地、NF-11とし、他の竿にもNF-21、31、41と品番をつけていったのだと思われます。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
僕の大好きな投竿について考察すると、小田原一鱚氏の証言に「国産初のグラス投竿はNF68」とありました。
番号の付け方からすると、60番台を投竿としたんだと思います。
もしかしたら、NF-61からNF-68までラインナップがあったのかも知れません。

以前、ヤフオクでNF-65という4本継の投竿を見たことがありますが、68の後で65を発売ってのは無いはずで、だとするとNF-68が初のグラス投竿という説は弱くなります。
初めてのグラス投竿はNF-61?
いやはや、真実は霧の中です・・・。
(NF-65ではなく、正しくはNF-67でした。2023年12/31訂正)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今回は貴重な広告を元に、様々な証拠から推測を広げました。
ほぼ間違いない部分と、想像や推測が混ざった文書になっている点はご容赦いただきたいと思います。

調べれば調べるほど、新たな疑問が生まれます。引き続き調査を続けますので、興味のある方はお付き合いいただけたら幸いです。

長い文章になりました。最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。