国産初のグラスロッド、特に投げ竿は?という観点で、少し前にこんな記事を書きました。 


当時の釣具業界を知る古老の話や、古い文献を漁った情報から推察した概論は、


「グラスロッドの国内初登場は昭和31年頃。

NFTがオリムピックを出し抜いた。」


ということでした。

概略としては合ってるんだけど、

ところが・・・。



古老の証言を覆す証拠を入手したので、今回はそのお話です。



水の趣味 昭和30年9月号を入手。



写真右側、背表紙に昭和30年9月号と明記


そしてこの広告です。


昭和30年の時点で、NFTが既に国内向けのグラスロッドを販売していたという事実。

釣りビジョンの動画では「初の国内向けは、昭和32年にオリムピックが東京湾1号・2号・3号を発売」と語られていました。

話の聞き手は釣り雑誌社の会長、しかも釣りビジョン公式チャンネルの動画です。

つまり、釣りビジョンも、釣り雑誌社も、昭和30年NFTグラスロッド販売の事実は知らないということ。


さらにこんな広告まで↓


「みやこ釣具商会」がどんな会社かよく分からないけど、NFT以外にもグラスロッド製作を謳う業者がいる。

この号で「グラスロッド」という文字が出てくるのはこの2箇所だけとは言え、どちらの広告を見ても「本邦初!」といった様子は無さそうです。

となると、国産初のグラスロッドはもう少し前?昭和27年〜29年?それはオリムピックなのか?NFTなのか?

そんなことを考えながら他のページをめくっていると、オリムピックの広告を3ページ見つけました。




「オリムピックの新製品案内」には六角竿の広告。あと2つの広告もリールがメインで、グラスロッドの文字は見えません。
「釣はオリムピックリールで」の広告も、イラストで描かれている竿は明らかに竹竿。


オリムピックは昭和27年にグラスロッドの特許申請をしています。
この号が出た昭和30年にはグラスロッドの生産はしているはずなのに、広告は六角竿。

ここであらためて思い出すのが、釣りビジョン動画での古老の証言。
「オリムピックは海外向けの生産はしていたけど、国内向けの販売はしていなかった。」という話。

広告を見る限り、そこは本当だと言えそうですが、「昭和32年のオリムピック東京湾1号が国内初のグラスロッド」というのは誤り、となります。

まとめると、
オリムピックは昭和27年にグラスロッドの特許申請をし、海外向けに生産。
ところが国内向け販売は昭和30年より後。
そんなオリムピックを差し置いて、NFTは昭和30年にはグラスロッドを販売していた。
すなわち「国内初のグラスロッド発売メーカーはNFT。」と、ここまでは結論づけていいと思います。

あとは、国内初登場となったNFTのグラスロッドがいつ、どんな物だったのか?ということが疑問として残りますし、二番手に甘んじたオリムピックが、グラスロッドの国内販売をどんな製品でいつスタートさせたのかも気になるところ。

だいぶ核心に近づいてるとは思うけど、まだまだ調査が必要です。

終わりの無い旅路は続く。