「幻影の星」
東京の会社員、武夫は、
デパートでバーバリーのレインコートを、
衝動買いしてしまった。
ところが次の日、故郷の母親から、
故郷のバス停で、武夫のネームの入った
レインコートが見つかった、と駐在さんが
届けにきたけど、こちらに帰っていたのか?
と電話がかかってくる。
帰ってもいないし、そんな訳がない!と
言うのだが、母親の言うレインコートは、
それは確かに、買ったばかりのレインコートと
同じ色で同じバーバリーで、
自分のネームも入っている、という。
だけどそのレインコートは新品のまま、自宅の
クローゼットの中に入っている。
どういうことなのか?
とりあえずこちらに送ってもらうことにする。
そして届いたそれは、
全く同じコートではあるけど、
だいぶ古びている😓
そしてそのコートのポケットには、
SDカードが入っていて、データを取り出してみると、それは、確かにその日までの自分の撮った
仕事用の写真が、手元にあるSDカードと
同じものが入っているのだが、
ところが、
その最後の5枚は、まだきていない日、
13日後の日付の写真が4枚。
そして最後には、知らない女性の写真が🧐😎あった。
それはいったいどういうことなのか?
このコートはどこからきたのか?す
まるでミステリーのようで、SFのようでもあり、ソワソワと読み進むのに、
そのことでは、なかなか進展しなくて、
武夫は、とても読書家なんだけど、
やたらに、その武夫の読んでいる本の話が続き、
しかもその本は、理屈っぽい死生観?を
書いてある本だったり、動物の寿命についてだったり、いつか起きる大噴火や、隕石の衝突について
だったり、
たぶん実在の本なのだろうけど
「象の時間ネズミの時間」という本の解説?
感想?だったり、
「世界の平和はナマコとともに」
などという本だったりで、
確かにそれは面白いのだけど、
イヤイヤ、それで、武夫のコートは?
どうなるの?と、つい斜め読みになってしまい😅
そして、やっと、もうひとり、の登場人物
武夫と同じ故郷で、
スナックに勤めている女性、久美が登場し、
久美は、
自分の持っている携帯電話と、
ついているストラップまで全く同じ携帯電話が、
川原に落ちていた😰と
お客さんが、届けに来て😵
そのストラップには、亡き母のずっと身につけていたロザリオを付けているが、それも同じものが
ついている😱
そして、その携帯の中の写真には、
元々持っている携帯に入っているのと同じ、
亡き愛犬の
大事なたくさんの写真と、
最後に知らない男性の写真が😳
物語は、やっとここから動き始めます。
2人は同じ歳で、同じ故郷出身なんだから、
きっと同級生で、昔、2人の間に
何かがあったのだろう🧐と
想像はつきますが、なかなかそこには、
行きつかず、
武夫のSDカードの13日後の写真の意味とか、
そこに映っていた競馬新聞の記事を見て、
武夫は、万馬券を当て2000万円も、
儲けたりで、
面白いのは、確かですが、
なかなかスッキリ決着はつかず🤣
この本は、
東北大震災の直後に書かれたらしく、
とにかく、「生と死」についての
とても理屈っぽい文が多く、
例えば
「死こそがすべてなのだ。人は生きて生きて生きるのではなく、死んで死んで死ぬ。人は、生きることではなく、死ぬことを運命づけられた存在なのだ
生には限りがあるが、死には限りがないのだから」
だの、
「この世界に時間などはなく、僕たち一人一人が
生物学的な模写機だったとすると、僕たちは、
周りにあるものを複写し続けているのではないか、
あの母から送られてきたコートは、未来から
きたのだと思っていたが、しかしこのコートをレプリカだと捉えれば、今朝羽織ったコートもレプリカで、今膝の上のこのコートもレプリカなのだ」
だの
そういえば、小学生の頃、SF小説に夢中に
なって、図書館でそんなものを、
片っ端から読んでいた時😆
確か「黄色い太陽」という題名で??
太陽の光が8秒?遅れて届くようになって、
すべて見えているものは、8秒前のものだから、
世の中大混乱💦という話を覚えているんですが、
それと、似ているのかな?
何なんだろうな、これ?
と思いつつ、読み終わりました。
結局、やはり2人は昔の同級生ではありますが、
だからどう、ということでもなく、
2人とも、ふたつ目のコートと携帯を
落ちていたといわれた場所に捨てて、
それで終わり😓で。
エッ、じゃあそれなんだったの?
その捨てたコートと携帯は?
どうなるの?消えるの?
とか、疑問に思いつつ😆
あーそうか、レプリカね😝とかも思いつつ、
読了です。
とにかく、白石さんの、頭の中を
見せられたような、白石さんの読書感想文を
読んだような、変な本でしたね。
ただ動物の寿命の話は面白かったです。
とにかくどんな動物でも、心臓が
15億回うつと、それが寿命で死んでしまう。
というもの。
だから、心拍が早いネズミや小動物は寿命が
短いし、象は、長生きをするけど、
感覚としての人生の?時間は、同じだろう、
という話。
15億回かぁ💦
人間は1秒に一回らしいから、
何年だ?
誰か計算してみてください😝

白石さん、難しいこと考えすぎだよ!
と突っ込みたくなるような本でしたね。

さあ、もう万博は、あと2ヶ月を切りました。
猛暑で、ちょっと怯んでいたけど、
これからは、行けるだけ行こうと思ってます。
この間から、
元同僚で、癌の闘病を
続けていた友達が、つい最近まで
推し活のため、あちこち抗がん剤しながらも、
旅行していたし、直前までLINEも返ってきてたのに、
突然、亡くなったと、娘さんから連絡が
あったり、

春に一緒に
お花見に行った友達は、物忘れ外来に引っかかったの😅と笑っていたけど、MCIだと診断された
と言ってきたり、
ちょっと気の重いことが続いています。

白石さんは、この本の中では、
とても厭世的に、
今、目の前にある華やぎも喧騒も、人々の
嬌声や哄笑も、
ほんの一瞬の光芒
あえかなる光輝にすぎない。
生存とは、死との飽くなき戦いでしかない。
しかし、誰1人として、その戦いに勝つことは
できない。今から、100年も経てば、
全員が死んでしまっているのだから。
目の前のものは、まさにはかない幻影という他はない。その背後に横たわっているのは、
沈黙が支配する死の世界だ。
と書いているけど。
だけど、
だからこその、今、です
今、私は私の人生を生きなければ。
心臓が15億回打ってしまうまでは、ね😜