秋風に揺れる記憶
この季節になると、ふと心に浮かぶ人がいます。
それは、息子の同級生のお母さんのA子さん。
いわゆる「ママ友」だった方です。
息子が小学校4年生になった春の日、
A子さんから連絡がありました。
「○○ちゃん(息子)、野球やらない?うちのTが一緒にやりたいって言ってるの」
それまで、顔を合わせても挨拶程度だった私たち。
でも、同じシングルマザーとして、
少しずつ距離が縮まりました。
息子も野球に興味があったので、
T君と一緒に少年団に参加。
それからは、応援に行ったり、
忙しい時は助け合ったり。
自然と、心を通わせるようになっていきました。
1年半が過ぎた秋。
久しぶりにA子さんとゆっくり話す時間がありました。
その時、彼女は静かにこう言いました。
「実は病気で…余命は1年もないって言われたの」
「こんなこと話して困ると思ったけどまり子さんには、
知っておいて欲しかったの」
言葉が出ませんでした。
ただ、彼女の話を黙って聴いていたと思います。
その後、何もできないまま、
A子さんは入院し、数か月後に旅立ちました。
彼女の夢は、T君の卒業式に出ること。
でも、それは叶いませんでした。
何もできなかったという無力さが、
今も心に残っています。
A子さんが亡くなった後、
T君は近くに住む祖父母と暮らすようになりました。
会えば「元気かい?」と声をかけ、
そっと見守る日々。
息子は、
私とA子さんが仲良くしていたことを覚えていて、
T君の近況を教えてくれることもありました。
そして、成人式の日。
息子と一緒に、T君も式に車で送ることに。
「おばさん、元気ですか?」
成人したT君が、笑顔で挨拶してくれたあの瞬間。
「元気だよ。大きくなったね^^」
そう声をかけながら、
胸がいっぱいになりました。
2人を送り出したあと、
私は泣きながら帰ったのを覚えています。
もう20年近く前のこと。
でも、この季節になると、
A子さんのことを思い出します。
彼女の優しさ、強さ、そして母としての願い。
今も私の心の中で、静かに息づいています。
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