彼が発見されて5日。
呼吸器もはずれ、体を起こすこともできるようになっていた。
来週からは食事も始められそうだ、そう思った時・・・
「ここは・・・どこですか?」
小さな声で彼がそう聞いた。
「ここはアメ『僕は・・・誰ですか?』え?」
当たりを見回しながらそう言う彼にゆっくり近づき、椅子に座ると目線を合わせた。
「こっち見て?これから俺が聞く事、わかることは答えてくれるかな?わからない事はわからないでいいからね。」
そう言うとゆっくり頷いた。
「君の名前教えれくれる?」
俺の言葉に首を横に振る。
「歳はわかる?」
その質問にも首を横に振った。
「君は・・・どこから来たかわかるかな?」
少し考えたが思い出せないらしく、首を横に振る。
「今日は・・・何月何日かわかるかな?」
「ここがどこかわかる?」
「家の住所は?」
「家族は何人?」
何を聞いても首を横に振る彼に
「記憶・・・喪失?」
俺はそう呟いた。
「あの・・・。」
そう声をかける彼は
「僕は・・・
これから・・・
どうしたらいいんですか?」
小さな声でそう聞いた。
「僕は・・・
どうしてここにいるんですか?
どうして何も・・・
何もわからないんですか?」
少しずつ早くなる口調に
「明日、検査してみよう。今日は何も考えずゆっくりやんだ方がいい。」
そう言って点滴に追加する薬を看護師に渡した。
「すみません・・・。よろしくお願いします。」
彼はそう言うと、看護師によって追加された薬、安定剤にゆっくりと目を閉じた。
「明日、この検査するから・・・。」
そう言って眠る彼を見た。
「大丈夫、必ず助けてやるから。」