今日は大会の次の日だったが練習があった。
大会参加者はレースの結果報告と軽い自主連になっていた。
また明日、そう言って別れたはずの荒北から連絡があったのは、部屋を出る少し前だった。
「どうした?」
(久々の大会で頑張りすぎたのか、体痛くてよ・・・起き上がるのがやっとなんだ。)
「まあそうだろうな。久々のレースで緊張もあったろうしな。」
(今日の練習、ちょっと無理っぽいわ。わりんだけどさ、先輩と監督に上手く言っといてくんね?)
荒北にしては珍しく歯切れの悪い言い方だった。
「それはかまわんが・・・大丈夫なのか?」
(今日1日寝てればなんとかなる、多分。)
「そうか、無理するなよ?先輩には上手く話しておく。」
(わりぃ・・・)
「気にするな。今日はゆっくり休め。」
(ああ・・・よろしく頼むわ。)
そう言って切れた電話。
昨日のあの走りでそんなに体にくるものか?
いくらブランクがあるといっても大学に入ってからの走りを見ているとそこまでなるとは考えられない。
「真波・・・山岳。」
まさかな・・・
そう思いながら俺は部屋を後にした。
「寝てるのか?」
夕方、もし本当に動けないなら何も食べてないだろう。
そう思ってコンビニで買い物をして荒北の部屋を訪ねた。
が返事はなく、寝てるんだろうと思い買い物したものをドアノブにかけてそのまま自分の部屋に戻った。
数時間後、気晴らしに走ろうと外に出た時にはコンビニの袋がなくなっていたから、ちゃんと受け取ったんだろう、そう思い少し安心した。
明日の朝、いつも通りに声をかけて一緒に・・・
そう思っていたのだが・・・。