いつの間にベッドに戻ったんだろう。
目が覚めると締め切ったカーテンで部屋は真っ暗だった。
電気をつける気にもならずにぼーっと天井を見つめる。
「俺・・・なにやってんだ・・・。」
練習さぼって・・・。
ゆっくり起き上がって時間を確認しようと探した携帯は・・・
「あ・・・」
コップの中だった。
誰とも連絡とれねーって訳ね。
( 荒北さんに必要なのは俺だけ。他の誰も要らないでしょ? )
独占欲なのか?
それとも・・・
支配欲?
どっちにしても・・・
「俺には・・・
福ちゃんも新開も・・・金城も・・・
皆大切だ・・・。」
真波だって・・・
小野田ちゃんや東堂や・・・
大切な仲間がいるだろうに。
何でこんな事になっちまったんだ?そう思った時、インターホンがなった。
ここに来る奴は限られてる。
多分・・・金城だろう。
練習が終って、俺の様子が気になって見に来たってとこだろうな。
「こんな俺・・・あいつに見られたくねーわ。」
俺は・・・
息を殺して金城が部屋の前を離れるのを待った。
玄関の外、何かをドアノブにかけた音がした後、遠ざかる足音が聞こえ・・・
それから暫くしてドアを開けるとコンビニの袋がかけてあった。
中にはサラダやおにぎり、ヨーグルト、そしてベプシ・・・。
「金城・・・。」
心配かけちまった・・・。
そう思いながら・・・
俺は手にしたおにぎりに思わず泣いた。
本当は・・・
皆で楽しく飯食って・・・
次のレースで会おうぜって笑ってたはずなのに・・・。
「福ちゃん・・・俺・・・」
無意識で福ちゃんの名前を呟いて・・・
俺はまたそのまま眠りに落ちた。
何も考えなくていいくらい深い眠りに・・・。