「なあ、真行寺。お前が間宮美鈴と初めて会ったのはいつだ?」
「え?」
なんでいきなりそんな話・・・
「それが何か関係あるんですか?」
「お前が三洲と別れて・・・
すぐだっただろ?」
ギイ先輩がどうしてそれを・・・
「当たりだな。間宮の会社に勤務してるのはお前の母親の再婚相手でお前にとっては赤の他人。なのに・・・」
ギイ先輩は封筒を開けると、中の書類をテーブルの上に置いた。
「お前はその赤の他人のために結婚するのか?」
「どういう意味ですか?」
テーブルの上に置かれた書類を手にする。
そこには・・・
「お前が間宮美鈴と結婚することで、その負債はチャラになるらしいな。」
俺の義理の父親と母親が作った借金額が書かれていた。
「借金・・・俺そんな事・・・。」
そんな事聞いてない。
「間宮美鈴の祖父、いわゆるお前の父親が勤めてる会社の会長は美鈴に甘い男でな。かわいい孫の為なら何でもする男でな。」
美鈴さんのおじいさんには一度だけ会ったことがある。
美鈴さんが恋人だと紹介すると喜んでくれた人だ。
「美鈴がお前を気に入ったと知り、お前の両親を呼び出したそうだ。
美鈴とお前たちの息子、真行寺お前が結婚したら・・・
借金を全部返してやるとな。」
( 兼光、美鈴さんは本当にいい人なのよ。 )
俺に美鈴さんとの結婚を急がせるのは・・・
そういう理由だったのか・・・。
母さんが純粋に・・・
俺の幸せを望んでくれてる、そう思ったのに・・・。
「それで最初の質問だ、真行寺。」
ギイ先輩はそう言って俺を見ると
「お前が間宮美鈴と初めて会ったのは・・・いつだ?」
そう言った。