「ギイ先輩は知ってたんですか?あなたがいなくなって、新さんが葉山さんを支えていた事を。」
「ああ。」
「ああって・・・。」
そんな簡単な言葉で・・・
「知ってて・・・
知ってて新さんから葉山さんを・・・。」
奪い返したんですか?そう言おうとした俺に
「あの2人はそういう関係じゃない、真行寺。」
ギイ先輩は目をそらさずにそう言った。
「そういう関係じゃない?嘘ですよ。
だって・・・俺直接聞きました。
ずっと好きな人がいるって。
そいつを1人にしておけないって・・・。
新さん俺にそう言いました。」
「どうしてそれが託生だってわかるんだ?」
「俺に別れ話を告げる先に葉山さんも来ていたからです。
俺は・・・
騙されてたんです。」
吐き捨てるようにそういった俺に
「お前は本当に三洲がそういう奴だと思ったのか?」
ギイ先輩はそう聞いた。
「お前は・・・
それが三洲の本心だと思ったのか?」
本心だからこそ俺に話したんだ、新さんはそういう人だ。
「はい。事実、葉山さんと新さんが一緒にいるところを何度も見ました。楽しそうに笑ってる2人を。」
大学に行く途中、帰り道。
新さんと近い大学を選んだから姿を見かけることが多かった。
あっちは気づいていなくても、俺にはすぐにわかった。
楽しそうに笑いながら歩く2人に・・・
新さんが幸せならそれでいい、何度も自分にそう言い聞かせて・・・。