「赤池君、誕生日おめでとー。」
グラスを合わせるとおなかすいたーと料理に手をつける葉山。
「あ、これね・・・赤池君の誕生日プレゼント。」
葉山が渡した袋はさっき僕と買い物した時に僕が選んだ時計が入っていた。
「葉山、これ・・・。」
「赤池君にはずっとお世話になりっぱなしだったから。それに・・・いつも春休みで赤池君の誕生日祝った事なかったしね。自分で選んだのだから気に入らないって事ないよね?」
そう言って笑うと葉山は料理を口にした。
ケーキにろうそくを立てるか立てないかでもめる真行寺と葉山をよそに
「どうしても赤池の誕生日を祝いたいんだって連絡があったんだよ。」
三洲は俺の横に座るとそう言った。
「赤池には2年生の時からずっと迷惑かけっぱなしだったからってな。崎がいなくなった後も自分を支えてくれたのは俺と赤池、お前だからって。」
「葉山・・・。」
「俺の場合、お互いに助け合ってきた部分もあったが・・・お前には一方的に迷惑をかけたって言ってたぞ。」
別にそんなつもりはない。
葉山が俺を頼ってくれる事が嬉しかった。
どこか特別だと思ってくれてることが。
「祠堂に入って親友と呼べる存在が出来たそうだ。」
「親友?」
「お前とはこれから先もずっと一緒にいたいそうだ。まあ、その中に俺も真行寺も入ってるのがお前にとっては残念だろうけど。」
そう言って笑う三洲。
「俺には・・・葉山は大切な存在だ。」
そう答えて
「いや、家族みたいなものだから・・・そんな事気にしなくてもいいのにな。」
僕は慌てて訂正した。
「葉山だからな。」
「そうだな。」
その一言で片付けた僕は・・・
真行寺と楽しそうに笑う葉山を見ていた。
僕の事をそんな風に思っていてくれたことが・・・
嬉しかった。