リビングのドアを開けると、そこには見覚えのある顔。
「遅かったな、赤池。」
「三洲?真行寺。お前らも引越しの手伝いか?」
そう言った僕は
「赤池君、はやく入って。」
葉山に押されて部屋に入った。
「遅いっすよ、葉山さん。」
「ごめんね、真行寺君。あれもこれも買ってたらこんな時間に・・・。」
「料理冷めちゃいましたよ。」
料理?
何がどうなってるのかわからずにいた僕に
「座ったらどうだ?赤池。」
三洲がそう声をかけた。
「あ、ああ。ってか1人の食事じゃないじゃないか、葉山。」
そう言ってキッチンの方を見ると・・・
「それ・・・。」
「ほらね、やっぱり忘れてたでしょ?」
苺がのったケーキを持った葉山がそう言って笑った。
「普通忘れないだろう。」
「でも赤池君なら忘れてると思ったもん。予定ないって言われた時確信した。」
呆れたように笑う三洲に葉山はそう答えてテーブルの上にケーキを置いた。
「これ、真行寺君が買ってきてくれたんだよ?麓のケーキ屋さんからね。」
丸いケーキにはご丁寧に
『しょうぞうくんおたんじょうびおめでとう』
とひらがなで書かれたートがのっていた。
「料理は三洲君と真行寺君が準備してくれたんだよ。僕は赤池君を呼び出す係りだったんだ。」
そう言って笑う葉山に・・・
「ったく・・・そうならそうって言えよな。」
僕は照れ隠しでそう言った。