「ごめんね、たくさん付き合ってもらっちゃって。」
「別にいいけど。こんなに買い忘れるって・・・葉山お前大丈夫なのか?」
僕の手には棚の入った箱以外にも袋が3つ、葉山も同じくらいの荷物を持っていた。
まあ葉山の持っているものはほとんど食べ物だけど・・・。
「いや、いざ生活してみたらあれもこれもって・・・。」
「まったく・・・三洲が言ってた通り、お前は寮に入ったほうが良かったんじゃないのか?」
「寮だと自由にバイオリンの練習できないから。」
それはそうだろうが・・・
こっちの気苦労も考えて欲しいものだ。
「赤池君、ちょっと寄ってってよ。」
「お礼に晩御飯でもご馳走してくれるのか?葉山の料理は・・・遠慮したいとこだな。」
「もう・・・赤池君に作れる料理なんてないから。ピザでも取るよ。予定ないんでしょ?」
そう言って葉山はマンションのエントランスのドアを開けた。
「僕も1人で食事するのも寂しいし。」
「結局はそこなのか。まったく・・・。」
こうしてこの先も葉山に振り回されるのが僕の運命なんだろうな。
そしてそれを別に嫌じゃない自分もどうなんだろうか・・・。
「どうぞ、赤池君。」
そんな事考えてると葉山の部屋の前で、葉山に言われるがままに中に入った。