「え?」
「だから俺、春から恋人と一緒に住むんだ。」
「ここには帰ってこないの?」
「来ないよ。
母さんか父さんかなんて・・・
選べないから。
遊びには来るからさ。」
突然兼満に言われて驚いた。
てっきりここに戻ってきてくれるものだと思っていたから・・・。
「でも・・・相手のご家族は納得してらっしゃるのかしら?」
「大丈夫。」
「あなたは男の子だからいいけど・・・相手は女の子でしょ?ご心配じゃないのかしら?」
そう聞いた私の耳に入ってきたのは・・・
「母さん・・・相手の人・・・男なんだ。」
考えてもいなかったものだった。
「え?」
「言ってなかったっけ?俺の高校の先輩だって。」
「き・・・聞いてないわよ?」
「そうだったっけ?てっきり言ったつもりだったよ。ごめん。」
兼満はそう言うと荷物から写真を取り出した。
「この人が俺の大切な人。三洲新さんって言うんだ。」
そこに写っていたのは綺麗な顔をした男の子で・・・。
「な・・・なんで?だってあなた別に・・・。」
「男が好きなんじゃないよ。新さんが好きなんだ。」
笑顔でそう答える兼満・・・
何も言えなかった。