「あれは・・・あの子は寂しかったから・・・。」
真行寺の母親は呟くようにそう言った。
「まるで隔離されたような学校に入って・・・男子しかいない全寮制。誰かに救いを求めたかっただけなんです。」
自分に言い聞かせるように・・・。
「外の世界に戻ったら・・・
きっと・・・
きっと兼満も目を覚まして・・・。」
そう言うと俺を見て
「その時あなたがいたら兼満は・・・
離れたくても離れられませんよね?」
涙を流した。
「あの子には幸せになって欲しいんです。祖母がなくなって心のよりどころを失ったあの子を支えてくださった事は感謝します。でも・・・。」
言いたい事はわかる。
「あの子が世間から後ろ指をさされるような・・・そんな生き方を親としてさせたくないんです。」
後ろ指・・・
「あの子に言っても聞いてくれない。それだけじゃなく、せっかく取り戻せていた私達の関係も壊れてしまうんです。」
( 最近、母とよく話しをするんですよ。家族って感じするっす。 )
嬉しそうに話してた真行寺。
この人だって・・・
真行寺を愛してるんだ。
だから・・・
怖いんだろう自分が嫌われるのが・・・。
「ひどい事をお願いしてると思います。」
そう言うと真行寺の母親は再度土下座をした。
「でもあなたにお願いするしかないんです。
あなたから・・・
あの子に別れると話してもらえませんか?」