「目が覚めたかい?葉山君。」
ホテルから葉山を連れ出して、その足で空港にむかった。
チャーターしたヘリで沖縄を後にし、鹿児島空港でおりる。
ストレッチャーに乗せたまま点滴をして葉山を運ぶ僕を不審に思うものは誰もいなかった。
「ここ・・・。」
「ここは俺の親戚の病院だよ。手荒な真似をして悪かったね。」
そういいながら点滴を追加する。
「先生・・・僕どうして・・・。」
「葉山君、少し夢を見てたみたいだ。」
「夢?」
「ああ・・・楽しそうな夢を見ていたみたいだね。」
頭を撫でながらそう話すと
「そっか・・・
夢だったんだ。」
葉山はそう言ってまた目を閉じた。
点滴の中には睡眠剤を少量混入してあった。
ここ暫くの出来事は全部夢で・・・
君は何のとりえもないただの患者。
そう思わせるために・・・。
「見つかるわけにはいかないからね。」
そう言って僕は部屋を後にした。