「初めまして。たくみ君でいいのかな?」
お城を出ると、相楽がギイ王子と託生を待っていた。
託生は相楽に深々とお辞儀をすると
「相楽です。よろしくな。」
そう言って相楽は手を差し出した。
そっと手を伸ばして握手をする。
暖かい手・・・。
この人はいい人なんだろう、そう思った。
「じゃあ行くか?」
「よし、たくみ行くぞ。」
2人の一歩後ろを歩こうとしていた託生の手をギイ王子が引っ張った。
「一緒に歩けよ。お前迷子になるぞ?」
託生は・・・
胸が苦しかった。
触れられただけでこんなにドキドキするのに・・・。
ギイ王子にはその思いを告げる事は出来ないんだと。
( だって・・・僕に残された選択は・・・どちらかしかないんだから。僕が消えるか、ギイ王子が死ぬか・・・。 )
託生はそう考えながら歩いていた。