人魚姫 16 | watermelon

watermelon

鈴木拡樹君を愛してやまない管理人のブログです。
年に数回、拡樹くんの観劇ができるように日々お仕事頑張ってます。
最近は娘の影響でBTSのジョングクくんの笑顔と透明感のある声に惹かれてます。

「あ、いた。何処行ってたんだよ利久。」



そこにいたのは・・・




矢倉。



「どこって・・・託生の所だよ。」



そう答えると



「託生に会えるのか?だったら俺も連れて行け。」



矢倉は少し脅すようにそう言った。



「無理だよ。今はたくさん人来てたから。明日には戻ってくるって行ってたからそれからにしたら?」



きっと人間の世界の事を知りたいんだろう、そう思って答えた利久に



「ばか。そんな場合じゃないんだよ。」



矢倉は大声でそう言った。



「え?」

「明日までに・・・




明日までに運命の相手とキスしないと・・・」






キスなんて出来るような感じじゃなかったけど・・・









「託生は海の泡になって消えちまうんだよ。」



消える?



「野沢の奴、肝心な注意書きを見てなかったって今連絡してきたんだよ。

3日目までにキスできない場合・・・海の泡となって消えますので、よほどの覚悟がない限り飲まないで下さい。

そう書いてたけどどうしようって。」

「そ・・・そんな・・・。」



消える?



託生がいなくなる?



「だって・・・託生はキスできなかったら人魚の国に戻れるからって・・・。

さっきそう言って・・・。」



「それは託生が注意書き知らないからだ。

早く・・・


早く託生に教えないと。」



焦る矢倉に



「キス以外にないの?託生が消えない方法はないの?」



利久はそう聞いた。


「運命の相手の心臓を貫いてその血をあびれば・・・


人魚として暮らせる。」



矢倉は躊躇いながらそう言った。



「そんな・・・。」

「運命の相手の事なんてしらねーよ。託生を助けなきゃならないんだ。キスできないなら、そいつの血を託生にあびてもらうしかないだろ?」



どうしよう。



託生は王子のことが・・・



でも王子は違うって・・・



日が沈みかけた海で・・・利久はどうしたらいいかわからずにお城を見上げていた。