( いいのか?託生。 )
何処からか聞こえた声に振り返ると・・・
お城の池の中に利久がいた。
( どうやってきたの? )
「水があれば繋がってるんだ。それより託生。あの王子様が運命の人なんだろ?」
( 何でそれ・・・ )
「野沢に聞いた。」
( 僕にとっては運命の人でもギイ王子にとっては違ったんだよ。 )
託生は寂しそうにそう言って・・・
( 後1日ここにいたら帰るよ。もう一度会いたいって願いはかなったからさ。 )
笑顔を見せた。
「そっか・・・。」
本気の恋の相手を見つけたんだ、利久はそう思った。
「たくみさん、服選んでもらえますか?」
後ろから声をかけられ、利久は水の中にもぐった。
「どうかしましたか?」
島岡さんの言葉に、首を横に振る託生。
「そうですか。ではこちらへ。」
島岡さんに手を引いてもらい、屋敷の中に入った。
「託生・・・。」
利久はあと1日したらまた迎えに来ないと、そう思いながら海に戻った。