小学校低学年
担任の先生が、読書教育に力を入れていた

わたしも母に連れられて
「読書会」に参加した

でも…
あまり読書は好きではなかった

そんな中でも
何度も読んだ本がある

竹村良信さんの
「諏訪のでんせつ」

このころの諏訪の子どもたちは
ほとんどの子どもたちが
この本を手にしていた

そんな感じで
わたしも学校で手に入れた

いつの間にか
夢中になって読んでいた





八ヶ岳と富士山の話
諏訪の神様の話
諏訪湖の話
温泉の話

その中に
神さまの夫婦喧嘩
家出の伝説もあった

お明神さまのお妃神が
下社へ別居する

お妃神が上社から下社へ向かう途中
お湯を湿し持っていた綿の雫が
歩きながら落ちていく

その跡に
温泉が湧いたという話

その話の中で
途中で休んだ場所

そこから
豊富なお湯が湧いた

その場所が
たしか

「湯小路」

そんな記憶が
ずっと残っていた

いま、わたしが住んでいるのは
小和田の湯小路区

だから余計に
気になっていたのかもしれない

本当に
そう書いてあったのだろうか

あすかの諏訪ばなしを書くにあたり
どうしても
確かめてみたくなった

そう思って
図書館へ行ってみた





棚には
三冊並んでいた

初版本 昭和四十年

改訂版 昭和四十五年

第三版 昭和五十一年

書架から三冊一緒に取り出し
奥付を確認して

「温泉と御神渡り」

の話を読み比べてみた

本を開くと
なんだか少し
ワクワクした

子どもの頃を思い出したのか

夢中になって読んでいた本を
また開いている

そんな気持ちだった

紙の感じ
挿絵の雰囲気
読んで汚れたページの感じ

あの頃の本と
同じ感じだった

何度も読まれて
少し汚れたようなページも
どこか懐かしい





確認しようとしていた地名は
三冊とも同じだった

書かれていた地名は
「小和田」

改訂版では
挿絵の配置が少し変わっていたけれど
文章は同じ

改訂版と第三版は
ページまで同じだった

そう
本の内容は変わっていなかった

けれど

いま、わたしが暮らしている場所は
小和田地区であり
そして湯小路区

地図では
小和田

暮らしの名前は
湯小路

だから
子どもの頃の記憶も
間違いではなかったのかもしれない

そんなことを思いながら
図書館で
昔の本を閉じた

ちょっと残念で
そして少し
ほっとした気持ちで

図書館を後にした

 

(2026.3.14)

 

 

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