子どもの頃
冬になると、諏訪湖は凍った

学校の体育はスケート

スケート靴を持って歩き
諏訪湖のリンクへ行く

場所は初島の前
岸との間の湖

小学校2年生までのことだった

氷の上には
スケートの人
穴釣りの人

穴をあけると
氷は二十五センチほど

氷は白く曇っていた

ときどき、湖が鳴いた

ミシミシというより
「ピーン」

氷のどこかに
ひびが走るような音

少し怖かったけれど
それが凍った湖だった

遠くには
セスナ機が降りたこともある

氷の上に飛行機が降りる
そんな冬の諏訪湖だった

それから何十年かたって
八剱神社の氏子総代として
御渡観察に通うようになった

冬の朝、湖の氷を見る

氷の厚さ
氷の表情
風の跡

氷が十五センチほどになった年

あと数日、風がなければ
御神渡になったかもしれない

けれど
一晩の風で

湖の氷は岸へ打ち寄せられた

子どもの頃に見た湖
総代として見た湖

目の前にあるのは同じ諏訪湖
それでも、氷の表情は違っていた

諏訪湖は
いつもそこにある

けれど、その氷は

時代を映す
鏡のようにも見える

 

(2026.3.14)

 

 

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