現れた偉人たちは皆、口をそろえて現代の日本人に伝えたいことがあると言っています。
神々には日本の行く末が見えてはいますが、あくまでも人間の意志を尊重していると言います。
神々に救ってもらおうと考えるのではなく、人間が自分たちの手で社会をどう変えるかが大事なことのようです。
信じる、信じないはあなた次第。
一つの物語としてお楽しみください。
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つい先ほど永倉新八さんが来られた、と土方さんに伝えたことから
永倉新八さんの話に移った。
「新八さんは尊敬するに値する」と土方さんが突然言った。
「俺はあれ(後ろでイギリスが糸を引いていたこと)が分かった時点で、
それ以上生きる気になれなかった。
戦いにおいては気を抜けば殺されてしまうので、
まだ生きると思っていたら気を緩めることはなかった。
あの時代は戦いがあったから、一瞬、隙を見せればいつでも殺られる。
つまりいつでも死ねるということだ。
そういう意味では、俺は弱かったよ。
その先を生きるということをせずに、自ら死を選んだようなものだ。
それが良かったかどうかはわからんが。
(俺に比べると)あの後の明治を生き抜いた永倉さんは尊敬しかないよ」
としみじみと土方さんが言う。
土方さんも死後、百五十年経って、自分の一生を振り返った時に
様々な思いが去来したことだろう。
それでも最後まで新撰組の旗印である誠の心を貫いたという自負を
持ち続けている土方さん。
一つの思いを、一つの心を、貫く生き方の難しさは
現代のような情報過多な時代においては尚更難しい生き方のように思えるが、
言い訳は必要ない。
いつの時代でも、そのように生きようと思えば生きられる、
その見本が土方歳三ということだろう。
そして、「話は変わるが、この間、江戸の町家の人が十人ぐらい訊ねて来てくれた。
武士ではないので、不思議に思って『どなたに聞いたのか?』と問うと、
『町家の代表が鈴木三樹三郎さんから聞いた』と言っていたけど、
鈴木三樹三郎さんとは意外だったな」と私が伝えると、
「そこまで行っているのか?」と驚いた様子の土方さん。
あちらの世界では土方さんの口コミは大きな影響力があるようだ。
「ほかの幕末の人とも話したい気持ちはあるが、こちらから呼ぶことはしたくない。
私に興味を持って会いに来てくれる人だけでいいと思う」と伝えた。
「ところで、土方さんの生まれ変わりは現代に生きているのかな?」
と私が尋ねたところ、土方さんは「ああ、そうだな」と一言。
沖田総司さんの生まれ変わりのA党B氏の話をしていたときとは、
ずいぶんとトーンが違う。
どうやら、土方さんからはその生まれ変わりの人に近づくことができないようだ。
勇ましく活躍する沖田さんの生まれ変わりを応援し、見守りつつも、
自身の生まれ変わりには近づくことができないという切なさが伝わってきた。
成長を願っていても、なかなか思うようにはいかないのが人生である。
「そうだよなぁ。土方さんと
現代に肉体を持った生まれ変わりはまた違うからなあ。
私の発信したSNSが廻り廻って、
土方さんの生まれ変わりに届いて、土方さんの思いに気付くかもしれないし。
そういう役に立てれば嬉しいな」と私が言うと、
「ありがとうな」と言いながら私の言葉にもの凄く喜んでいる土方さんが見えた。
次回は神々シリーズです!お楽しみに!
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