この記事は、穂吉のブログの「2012-06-02 16:55:07」にUPした『日本の神話19. 第一部 創世  第二章 高天原にて』という記事を再編成してUPしています。



最初のお話し 『日本の神話01』     前回のお話し 『日本の神話18』



 賑やかな祭囃子の音に紛れて、天手力男神(あめのたぢからおのかみ)は、天岩屋戸の陰に隠れました。

 岩屋の前の舞台では、天宇受売命(あめのうずめのみこと)が天香久山(あまのかぐやま)から採ってきた「日陰蔓(ひかげのかずら)」の長い蔓をたすき掛けにし囃子にあわせて舞い踊り始めました。

 祭囃子も天宇受売命の舞いも、徐々に熱を帯び激しく早くなっていきます。

 更に天宇受売命は惜しみも無く、乳房も女陰をも露わにし裸同然の姿になり踊り続けました。

 それを見ている神々は、男神も女神も大声で笑い激しく囃し立てます。

 そんな楽しそうな神々の笑い声は、岩屋の中にも漏れ聞こえておりました。

 神々の楽しそうに笑う声を聞いた天照大御神様は、不思議に思い、少しだけ岩屋戸を開けて外の様子を伺いました。すると楽しげな祭りの様子が見えたのです。

『私がこうして籠っているのだから、天上界も芦原中国も暗闇のはずなのに、どうして宇受売命よ、おまえは舞い、そしてなぜ他の神々は楽しげに笑っておるのじゃ。』

 それを聞いた天宇受売命は答えます。

『天照大御神様、実はあなたよりも、もっともっと尊い神がこの天上界にお出ましになられたのでございます。私たちはそれがあまりに嬉しく、それを祝う為にこうして祭りを開き、舞い踊っている次第でございます。』

 ご自分が岩屋に隠れている間に新たな神が誕生した。それを知った天照大御神様は、驚きを隠せませんでした。

 と、その時です。

 驚きひるんだ天照大御神様の御前に、布刀玉命(ふとたまのみこと)(男神)と天児屋根命(あめのこやねのみこと)(男神)のお二柱は、大きな榊に取り付けた『八咫鏡』を差し出したのです。

 すると天照大御神様のすぐ目の前に、突如として光り輝く女神が出現されたのです。

 その余りの眩しさに、天照大御神様は驚かれました。

 驚きのあまり我を忘れた天照大御神様は、目の前の光り輝く女神が、実は鏡に映ったご自身の御姿であることに全く気が付きません。

 それどころかこの眩しい女神が、今、天宇受売命が申した新しい神なのか?と思うと、この神をもっと間近で見てみたいものじゃと、もう少し岩戸を開けられ、御身を前に乗り出したのです。

 と、その時です。

 岩屋の横に隠れていた天手力男神が、天照大御神様の御腕を掴むと力を込めて外へと引き出したのです。

 それを見届けた布刀玉命は、すかさず岩屋戸を閉めました。

 そして天照大御神様が、二度と岩屋の中にお籠りになられぬよう、『注連縄(しめなわ)』を岩戸の前に張り巡らせたのです。

 こうして天上界にも、地上界である芦原中国にも、温かく優しい太陽の光が差し込むようになりました。そして再び光ある明るい世界に戻ったのです。



- 追 記 -

日陰蔓(ひかげのかずら)とは、山に生えている茎や枝が蔓のようにのびる植物全般の事をさしているようです。具体的にどの蔓性植物の事を差しているかまでは解りません。


そしてこの文章から以降の文章では、『天照大御神』様と原初の三神以外の神々に対して「様」を付けることを省きます。
原初の三神とは、
『天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)』様、
『高御産巣日神(たかみむすびのかみ)』様、
『神産巣日神様(かみむすびのかみ)』様の三柱です。

不敬と感じることもあるかもしれませんが、ご了承ください。




ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

おしまい。
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