この記事は、穂吉のブログの「2012-05-24 17:04:48」にUPした『日本の神話10. 第一部 創世 第一章 世界の始まり』という記事を再編成してUPしています。
最初のお話し 『日本の神話01』 前回のお話し 『日本の神話09』
『我が夫を捕えるには、これよりもっと強い追っ手を差向けねば・・・』
伊邪那美様は、朽ちたご自身の肉体より生まれた『八種雷神(やくさのいかづち)』に、伊邪那岐様を追うように命令しました。
更にそれだけでも『まだ足りない』とも思われます。
そこで更に沢山の黄泉の軍勢をも、伊邪那岐様へと向かわせたのです。
伊邪那岐様は十拳剣を抜いて、後ろ手に振りかざしながら逃げ走ります。
そしてやっとの思いで現世(うつせ)と黄泉の国の境の黄泉比良坂(よもつひらさか)が見える所まで辿りつきましたが、尚も黄泉の軍勢はしつこく追いかけてきます。
伊邪那岐様は、このままでは良くないと思われ周囲を見渡しました。すると美しい桃の実がなっていたのです。
伊邪那岐様はその実を3つ捥ぎ取ると、その3つの桃を黄泉の軍勢に次々と投げつけました。
するとどうでしょう。
黄泉の軍勢は蜘蛛の子を散らすが如く、ちりぢりに逃げ去って行くではありませんか。
桃の聖なる力が、黄泉の穢れを振り払ったのでした。
黄泉の軍勢が去ったあと、最後にやってきたのは妻の伊邪那美様でした。
伊邪那岐様は、千人の力でやっと動かせる程の大きな岩、『千引石(ちびきのいわ)』を持ち上げ、黄泉比良坂の出口を塞ぎました。
そしてその大岩を挟んで、ご夫婦の神たちは話しを始めました。
『愛しい我が夫、伊邪那岐。こんな惨いことをしたあなたに、私は復讐いたします。私はあなたの住む現世の住人を一日に千人ずつ殺します。』
その言葉に夫である、伊邪那岐様は、
『愛しい我が妻、伊邪那美よ。お前が千人殺すのであれば、私は現世に毎日、千五百の産屋(うぶや)を建てよう。』
このやりとりがご夫婦の決別となりました。
伊邪那岐様は、生ける者の世界、現世(うつせ)へと帰って行かれました。
一方、伊邪那美様は、このことによって完全に泉の国の住人となられたのです。
そして黄泉の国の神の上に立つ神となり、『黄泉津大神(よもつおおかみ)』と呼ばれるようになったのでした。
- 追 記 -
『古事記』で黄泉の軍勢は、『千五百(ちいほ)の黄泉軍(よもついくさ)』と記されています。
千五百とは「大勢」と云う意味であって、「1500」という数を実際に表わしているわけではありません。
同様に『千五百の産屋』もこの場合も数字ではなく、「沢山」と云う意味で用いられた数字です。
「千人殺す(この場合もたくさん殺すという意)」という言葉を受けて、「ではそれ以上、もっと沢山の子が産まれる」という意味であげられた数字です。
そして『黄泉比良坂』とは坂ではなく、崖のようなところと考えられていることが一般的なようです。
次回は、黄泉の国から帰還した伊邪那岐様により、新たに沢山の神々が誕生する場面です。
ここまで読んでくださって、誠にありがとうございました。
おしまいっ

