化学の計算について | 大学受験対策のプロ

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特に、化学や日本史を克服するにはどうすればいいのかを中心に、受験全般の話題も取り扱っています。

今回は化学の理論(計算系)について
特に計算式の作り方の問題点を
話したいと思います。

化学の計算は、モルの計算が基本になります。
その計算で苦しむ生徒は本当に多いです。

ある程度簡単なものなら何とかこなせるんだけど、複雑になったらもう手が出ません、
という生徒の意見をよく耳にします。

モル計算でつまずいている典型的な人は
比を使って計算している人が多いです。

そこで、まずは化学じゃなくて一般的な例えで
計算式を作る事を考えてみましょう。

【問題1】
A君はバーベルを10kg持ち上げ、
B君はバーベルを5kg持ち上げられます。
ではB君がパンチマシーンを殴って20トン
と計測されたら、A君は何トン出ると予想されますか?

これを見たら殆んどの人が
40トンと即答出来るでしょう。
ところが、こうなると皆さんはどうしますか?

【問題2】
A君はバーベルを12.45kg持ち上げ、
B君はバーベルを14.26kg持ち上げます。
ではB君がパンチマシーンで22.4トンと計測されたら、A君は何トンと計測されるでしょうか?

この場合、比を使って計算する人が
圧倒的に増えます。

12.45 : 14.26 = X :  22.4

このような式を作りませんか?
しかしこのやり方で計算をしてしまうと、
化学の問題には通用しなくなるんです。

化学で計算式をを作る時は、
掛け算だけで計算式を作っていく考え方が
必要になってきます。
それを、私自身は倍率計算と呼んでいます。
(これは私独自の呼び方です)

【問題1】で、皆さんがなぜ40トンと分かったかというと
A君はB君の2倍だとすぐに分かったからでしょう。

【問題2】でも、A君はB君の何倍なのか、
その倍率を考えれば良いのです。
問題ではA君は12.45kg、B君は14.26kg
と書いてありますから、
「B君に何を掛ければA君になるのか」と考えれば、
14.26に何を掛けたら12.45になるのか?
ということになります。

つまり、

を掛けたら良いワケです。
これがB君からA君の値を出すための倍率です。

なので、B君がパンチマシーンで22.4トンと
計測されたのなら、A君のパンチマシーンの値は

こういう掛け算で計算出来ます。

この計算方法の大きなメリットは2つあります。

1つ目は、
化学の計算問題では複雑な問題だと
比の計算がいくつも必要になってきます。
しかし掛け算だけで計算式が作れるようになったら
計算式は1つ作るだけで済むということです。

比で計算する人達は、何個も比の計算をしているうちに
自分が何をやっているのか途中で分からなくなって結局答えまで辿り着かなかったりします。
しかし掛け算だけで作る場合、そういう事が起きません。

そして2つ目は、掛け算で計算式を作ると
約分が沢山出来るので、計算が格段に楽になるということです。

こういった問題を考えてみて下さい。
(ちょっとややこしいですけど)

【問題3】
車で東京へ向かう途中、
ガソリンを使い果たしたので
ガソリンスタンドに寄った。
手持ちのお金が全くないので、
ATMでお金を引き出してからガソリンを
入れることにした。
ただし、ここから東京までは135kmあり、
ガソリン1Lで車は15km走る事が出来る。
また、ガソリン1Lは120円であり、
ATMでお金を下ろす時には、
100円引き出すよう申請すると
手数料を取られて90円が手元に来るものとする。
(つまり申請額の10%が手数料として引かれる)
この時、ATMにいくら引き出し申請すれば良いか?

この問題を倍率計算で解く時、
このように考えます。

まずは単位の関係を整理すると
1Lで15km走る
1Lあたり120円

なのでこういう風に捉えられます
15km = 1L =120円

これは、kmをLに変える倍率は15分の1、
更にリットルから円に変えるには120倍、
という事を表しています。

東京まで135kmだから、
これを、kmからL、そしてLから円に
変えていけばいいので、

という風に掛けていけば、135km走るのに
いくらお金が必要かが計算出来ます。

そして最後にATMで申請する額は、
90円引き出すには100円申請しなくてはならないので

手元に来る額90円 ⇒ 申請額は100円
つまり、欲しい額から見て申請額は何倍かというと

という倍率なので、
先程の「必要な金額」の式にこの倍率を掛ければ
ATMで申請する額が算出出来ます。

なので計算式はこうなります。

これを計算すれば良いワケですが、
これは約分していくととても楽に計算出来ます。

135が15の9倍なので、今度は9と90も約分出来ます。
こうして約分していくと、簡単に計算出来て
答えは1200円とすぐに分かるでしょう。

この問題を比で計算すると、
比の計算を3回しなくてはなりません。
もし1回目で計算ミスしたら
2回目以降の計算は不毛な作業になってしまいます。

これは、あくまで簡単な例えで説明したモノですが
化学計算は、まさにこのような作業です。
しかも化学の問題の場合は
数値が小数なのででややこしい。

ところが、化学の問題もこの計算方法を使うと
簡単に約分出来るように作られてたりします。
なので、この倍率計算が大いに活躍するのです。

むしろ、難関大レベルの問題になってきたら
このやり方を使わずに解けば、
時間もかかるし計算ミスも起きるので、
化学の得点は格段に低くなるでしょう。

だからこそ、私の授業では、
真っ先に倍率計算の練習から始めます。

そうすることで、どの分野を習っても
計算問題が楽に解けるようになります。