【交通系】スカイツリーが有るのに「単なる外装改修」では意味が無い? | TAKAの徒然なるブログ

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私のサイト「TAKAの交通論の部屋」の日記も兼ねて、mixiの日記と一緒に書いて居ます。同じ日記が複数の場所にリンクされています。予めご承知置き下さい。


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皆さんこんばんはTAKAです。

今や「世界最高高さ」を更新して建設中で注目を浴びている「東京スカイツリー」ですが、その事業主体である東武鉄道が、東京スカイツリー関連事業として、隅田川の対岸で新しいプロジェクトを始める事になりました。
それは、東武鉄道のターミナル「東武浅草駅」の改装です。

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浅草駅 開業時のモダンな姿に(時事通信)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1520974&media_id=4
浅草駅ビルをリニューアルします(東武鉄道ニュースリリース)
http://www.tobu.co.jp/file/3215/110302_1.pdf
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東武浅草駅は、昭和6年(1931年)建築の東武のターミナル駅で、関東で二番目になる「デパート併設(当初から松屋がテナント)型のターミナル駅(最初は池上電気鉄道五反田駅)」です。
建物自体は「建築家久野節が設立した久野建築事務所が設計、清水組により施工」の建物で、「昭和初期を代表するアール・デコ様式による大規模建築物」です。

この様な「名建築」ですが、ターミナル駅としては20m6両編成までしか入れなく「輸送力増強の足かせ」となっていて、その為東武は日比谷線直通・半蔵門線直通・栗橋でのJR乗り入れ等の施策を行っていて、今では「ローカルターミナル」になってしまっています。
その上テナントである百貨店の松屋浅草は、営業不振で2010年5月に4階~7階の店舗スペースを閉鎖しており、現在ではB1階・1階・3階の3フロアで縮小して営業してます。(2階は東武浅草駅・現状4階以上は空室)
又「名建築」の由来であった「アール・デコ様式の外観」はアルミ製ルーバーで囲われており、「昔の様子が分からない」状態になっています。

この様な「問題のある建物」では有りますが、東武浅草駅は外国人に人気の観光地浅草から東京スカイツリーに向かう玄関口となる為、今回大規模な改装を行うことになった様です。
改装に際しては、昭和初期の建物の為問題になる耐震補強を実施すると同時に、外観をアルミルーバーを撤去し建設当初のアールデコ様式に戻す工事を行い、内装に関しては待合室設置や外国人旅行センター移設等のリニューアルを行うそうです。

しかし、現在において「ニュースリリース」にて、このビルの抱えている「根本的な問題」についての「対応策」が示されて居ません。
それは「4階~7階の空きフロアを如何するか?」と言う問題です。
このビル自体は、建設当初は上層階は「オフィスビル」として計画された中で、建設途中から「デパートビルに変更」した経緯があり、ビル自体が必ずしも「商業ビルとしては使い辛い」ビルとなっています。
その上、「駅自体のターミナル性の低下」や「浅草自体の繁華街としての機能低下」があり、松屋浅草も営業的に上手く行っていない状況で、現在は上層階が空き店舗となっています。
その「空きフロア対策」が、現状では明らかになっていません。其処が問題と言えます。

東武浅草駅のリニューアルに関しては、実を言えば面白い提案をしている所があります。
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R不動産、浅草探索中 (東京R不動産HP)
第16話 東武ビルディングは何処へ向かうのか
http://www.realtokyoestate.co.jp/column/asakusa/2010/11/001546.html
第19話 東武ビルディングは何処へ向かうのか(其の二)
http://www.realtokyoestate.co.jp/column/asakusa/2010/12/001578.html
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東京R不動産と言えば、リノベーションとかユニークな物件を取り扱う不動産サイトとして、この頃注目を集めているHPです。
実際、手がけた物件が建築誌等でも取り上げられたりしており、面白いアイディア・考え方をして実現していく会社と言うイメージです。
その会社が、東武浅草駅ビルの上層階に「外国人観光客向けのホテルを作っちゃおう」と言うアイディアをブログ上に載せていました。

これは「面白い考え方」です。
実際、上層階東側や屋上は東京スカイツリーが見えますし、西側は浅草寺などが見える、観光客ホテルとしては絶好の立地です。
しかも、浅草・東京スカイツリーに来た外国人観光客が、「此処に泊まって東武特急で日光へ」と言う行動も取る事も想像出来ます。
東武グループには、スカイツリーを売りに出来るホテルとして「東武ホテルレバント東京」が錦糸町にありますが、建物の個性が違う以上東武浅草駅ビル上層階のホテルなら、グレード・コンセプトを分けて「外国人に特化した価格の低めのホテル」にすれば、極めて「相乗効果が高いホテル」が出来ると思います。

後の問題は「東武グループがこんな野心的なことを考えているのか?」と言う事です。
東武グループ自体が、東京スカイツリーや周辺開発で約1300億円の投資をして「社運を賭けて」事業を進めています。
でも、「世界最大のタワー」を作っただけでは、投資を回収できません。それを引き金にして、「如何に周囲の施設で金を吸収し、波及効果を広い範囲に広げるか?」が、東武の社運を賭けたプロジェクトの「成功の成否」を分けると言えます。
そういう点からも、保守的とも言える「東武鉄道」が果たして東京R不動産レベルの「斬新なアイディア」を東武浅草駅ビルの改修に示してくるか?楽しみに見て行きたいと思います。