法律は、地球の形も決めている!? | いくつ知ってる?法律トリビア【第一法規】

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こんにちは、第一法規「法律トリビア」ブログ編集担当ですカナヘイピスケ

 

法律は私たちの社会のいろいろな決まりを定めているものですが、

さすがに人類が誕生する前から存在している物体の形を

法律が決めるなんてことはできないだろうと思っていました。

ところが、このたび、地球の形を決めている法律を発見してしまいました!

 「ちょっと何言ってるか分かんない」

とか

 「あなた疲れているのよ」

などと言われるかもしれませんが、本当です!
さっそく見てみましょう。

その法律は、「測量法」といいます。

時々、道や建設現場などで、測量器を真剣にのぞき込んでいる業者さんを見かけますね。

「測量法」というのは、そのような測量を正確に、

そして全国で統一された基準で行うように、いろいろな決まりを定めているものです。

測量が全国どこでも、誰が行っても、統一した基準で行われるためには、

大本をたどると、「地球の形はどうなっているか」というところまでさかのぼって

決めておかなければならない、というわけです。

そのため、「測量法」は、まずすべての測量の基礎となる測量として、

国土地理院が行う「基本測量」というものを定めています。
 

測量法(昭和24年法律第188号)
(基本測量)
 第4条

  この法律において「基本測量」とは、すべての測量の基礎となる測量で、国土地理院の行うものをいう。


また、国や地方公共団体が費用を出して行われる測量や、

役所の許可などを受けて行われる事業のために実施する測量などを、

「公共測量」と呼んでいます。
 

測量法
(公共測量)
 第5条

  この法律において「公共測量」とは、基本測量以外の測量で次に掲げるものをいい、・・・
  一 その実施に要する費用の全部又は一部を国又は公共団体が負担し、又は補助して実施する測量
  二 基本測量又は前号の測量の測量成果を使用して次に掲げる事業のために実施する測量で国土交通大臣が指定するもの
  イ 行政庁の許可、認可その他の処分を受けて行われる事業
  ロ その実施に要する費用の全部又は一部について国又は公共団体の負担又は補助、貸付けその他の助成を受けて行われる事業

 

そして、これらの「基本測量」や「公共測量」は、

「測量の基準」にしたがって行わなければならないと規定しています。
 

測量法(昭和24年法律第188号)
(測量の基準)
 第11条第1項

  基本測量及び公共測量は、次に掲げる測量の基準に従つて行わなければならない。

 ・・・


では、その「測量の基準」を見てみましょう。

「測量の基準」には、測量にとってとても大事なことがいくつか示されていますが、

その中でも特に大切なのは「位置」をどのように決めるか、ということでしょう。

測量する地点の位置がどこか、ということが統一的な基準で決まっていないと、

いくら測量してもだめですよね。

「位置」に必要な要素として、まず経度と緯度があります。

これはすぐに思いつくと思いますが、

もう一つ位置を決める指標として欠かせないものがありますね。

この世界は3次元なので、「高さ」が必要になります。
「高さ」は、測量の基準では、「平均海面からの高さ」によって示すこととされています。
 

測量法
(測量の基準)
 第11条第1項

  基本測量及び公共測量は、次に掲げる測量の基準に従つて行わなければならない。
  一 位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。・・・


ここからが核心に迫っていくことになりますが、

経度と緯度は、「世界測地系」というものにしたがって測定しなければなりません。
 

測量法
(測量の基準)
 第11条第2項

  前項第1号の地理学的経緯度は、世界測地系に従つて測定しなければならない。


そして、「世界測地系」によると、緯度・経度の測定は、地球の形を「回転楕円体」、

つまり楕円を回転させた立体と想定して行うものとされています。
 

測量法
(測量の基準)
 第11条第3項

  前項の「世界測地系」とは、地球を次に掲げる要件を満たす扁平な回転楕円体であると想定して行う地理学的経緯度の測定に関する測量の基準をいう。
  一 その長半径及び扁平率が、地理学的経緯度の測定に関する国際的な決定に基づき政令で定める値であるものであること。
  二 その中心が、地球の重心と一致するものであること。
  三 その短軸が、地球の自転軸と一致するものであること。


ここで、なぜ「円でなく楕円なの?」と思いますが、実は地球の形は、球ではなく、

南北方向の長さよりも赤道方向の長さの方が300分の1くらい膨らんでいるそうです。

そこで、地球の形は、楕円を回転させたものと想定するわけです。

この膨らんでいる割合については、「測量法」の下にある「測量法施行令」という政令は、

国際的な決定に基づいて、地球の膨らんだ方向の軸の長さ(長半径)を約638万メートル、

膨らんでいる率(扁平率)を約298分の1と定めています。
 

測量法施行令(昭和24年政令第322号)
(長半径及び扁平率)
 第3条

  法第11条第3項第1号に規定する長半径及び扁平率の政令で定める値は、次のとおりとする。
  一 長半径 637万8137メートル
  二 扁平率 298.257222101分の1


ということで、世の中で行われている測量のおおもとになる地球の形は、

法律によって、楕円を回転させたものだと「想定」されているのですね。


(この記事は、2018年11月26日時点の法令情報に基いています)

 

 

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いかがでしたでしょうか。

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是非、次回もお楽しみにつながるうさぎつながる花1

by 第一法規 法律トリビア編集担当