「法鉄」の世界 ~鉄道警察って、どんな組織? | いくつ知ってる?法律トリビア【第一法規】

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こんにちは、第一法規「法律トリビア」ブログ編集担当ですカナヘイピスケ

 

法律という切り口から鉄道の世界を探る、「法鉄」シリーズ

今年の「鉄道の日」特集は、鉄道に関する組織の規定について見ています。

第二弾は「鉄道警察」について。

ドラマや警察密着のドキュメンタリー番組などで

「鉄道警察」の活躍を目にすることがありますね。

あの「鉄道警察」というのは、普通の警察署からお巡りさんが来ているのでしょうか。

それとも、普通の警察とは違う組織なのでしょうか?

 


  電車新幹線 法鉄記事の一覧はこちら ⇒ 「法鉄」の世界 ~ 記事まとめ 新幹線電車


 


○「鉄道警察」は、法令上の正式な用語?

まずは、「鉄道警察」という言葉が法令上の正式な用語かどうか、確認しておきましょう。

「警察庁組織令」という政令は、

警察庁の組織構成と、各部署が担当する事務について定めていますが、

その中に、生活安全局地域課の担当として、「鉄道警察に関すること」という事務が

挙げられています。
 

警察庁組織令(昭和29年政令第180号)
 第2章 生活安全局
 (地域課)
 第16条

  地域課においては、次の事務をつかさどる。
  一 地域警察に関すること。
  二 水上警察に関すること。
  三 鉄道警察に関すること。

  ・・・

  七 水難、山岳遭難その他の事故における人命の救助及びこれらの事故の防止に関すること。

  ・・・

  九 遺失物法・・・の施行に関すること。

  ・・・


このように、生活安全局地域課の担当する事務として、

地域警察や、落とし物の処理などとともに「鉄道警察に関すること」が挙げられているので、

鉄道警察とは、地域の安全を守る活動の一つであることが分かります。


○鉄道警察は、都道府県警の下に設けられる

次に、「鉄道警察隊の運営に関する規則」によると、

鉄道警察は、都道府県警察本部の下に設けられ、主要な駅の所在地か、

その近くに置かれると規定されています。
 

鉄道警察隊の運営に関する規則(昭和62年国家公安委員会規則第3号)
 第2条第1項

  都道府県警察は、本部(方面本部を含む。)に鉄道警察隊を設けるものとする。

 第2項

  鉄道警察隊は、当該都道府県警察の管轄区域内の主要な駅の所在地又はその近傍地に置くものとする。


また、必要に応じて、分駐隊などを設けることとされています。
 

鉄道警察隊の運営に関する規則
 第2条第3項

  都道府県警察は、必要に応じ、鉄道警察隊に分駐隊その他の組織を設けるものとする。

 


○鉄道警察隊の任務とは

それでは、鉄道警察隊の任務とは、どのようなものとされているでしょうか。

「鉄道警察隊の運営に関する規則」を見ると、鉄道警察隊は、鉄道施設において、

・個人の生命・身体・財産の保護
・犯罪の予防・検挙
・事故の防止

などを行うことが任務とされています。
 

鉄道警察隊の運営に関する規則
 (任務及び事務)
 第3条第1項

  鉄道警察隊は、鉄道施設において、個人の生命、身体及び財産を保護し、犯罪の予防及び検挙、事故の防止その他鉄道に係る公共の安全と秩序の維持に当たることを任務とする。


具体的には、

・鉄道施設で警らをする
・線路など、重要な鉄道施設の警戒警備を行う
・鉄道施設における雑踏警備
・鉄道事故の防止、鉄道事故が起きたときの人命救助

といったことを行うこととされています。
 

鉄道警察隊の運営に関する規則
 (任務及び事務)
 第3条第2項

  鉄道警察隊は、前項の任務を遂行するため、次に掲げる事務をつかさどるものとする。
  (1) 鉄道施設における警らに関すること。
  (2) 線路、運転保安設備その他重要な鉄道施設の警戒警備の実施に関すること。
  (3) 鉄道施設における雑踏警備の実施に関すること。
  (4) 列車・・・への警乗の実施に関すること。
  (5) 列車による現金その他の物品の輸送の警備の実施に関すること。
  (6) 列車による危険物の輸送の取締りの実施に関すること。
  (7) 鉄道事故における人命の救助及び鉄道事故の防止に関すること。
  (8) 鉄道事業者その他の関係団体、機関等(以下「鉄道事業者等」という。)との連絡に関すること。
  (9) 鉄道に関する統計に関すること。

 


○活動拠点には、赤色灯を設置する

鉄道警察隊の活動拠点となる施設には、

名称を表示し、また、赤色灯を設置しなければならないと規定されています。
 

鉄道警察隊の運営に関する規則
(施設)
 第6条の3

  鉄道警察隊の活動拠点とする施設は、その名称を表示するとともに、赤色灯を設けたものでなければならない。

 


○事件・事故の処理は、初動措置の後、警察署に引き継ぐ

さて、事件・事故が起きたときに、鉄道警察は、初動的な措置を行った後、

その処理を関係警察署に引き継ぐこととされています。

ここでいう初動的な措置とは、犯人の逮捕や、現場の保存といったことをいいます。

ただし、乗車券を偽造したり、列車への投石、鉄道係員の職務妨害、列車内での窃盗などの

場合は、初動的な措置に限らず、鉄道警察隊が処理できるとされています。
 

鉄道警察隊の運営に関する規則
(事件等の処理範囲)
 第4条

  鉄道警察隊は、事件又は事故について、犯人の逮捕、危険の防止、現場保存等現場における初動的な措置を行つた後、その処理を関係警察署に引き継ぐものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当する犯罪に係る事件で鉄道警察隊が処理することが適当と認められるものについては、・・・鉄道警察隊が処理することができる。
  (1) 刑法・・・第162条、第163条、第235条及び第246条に規定する犯罪(同法第162条、第163条及び第246条に規定する犯罪にあつては鉄道運輸に係るものに、同法第235条に規定する犯罪にあつては列車内又は駅の構内において行われたものに限る。)
  (2) 鉄道営業法・・・に規定する犯罪
  (3) 新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法・・・に規定する犯罪

  ・・・


列車の安全な運行や、乗客の安全を守るために、日々活動している鉄道警察隊のみなさん。

これからもよろしくお願いします!


(この記事は、2018年10月9日時点の法令情報に基づいています)

 

 

 

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いかがでしたでしょうか。

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是非、次回もお楽しみにつながるうさぎつながる花1

by 第一法規 法律トリビア編集担当