「法鉄」の世界 ~プラットホームには、どんな決まりがある? | いくつ知ってる?法律トリビア【第一法規】

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こんにちは、第一法規「法律トリビア」ブログ編集担当ですカナヘイピスケ

 

法律という切り口から、鉄道の世界を探る「法鉄」シリーズ。

前回の記事では、車掌さんに関する規定を見てみましたが、

その最後に、プラットホームの長さについての規定が登場しました。

多くの人たちの出会いと別れの舞台である、プラットホーム。

そこには、どんな決まりがあるのでしょうか。
 


  電車新幹線 法鉄記事の一覧はこちら ⇒ 「法鉄」の世界 ~ 記事まとめ 新幹線電車


 


○プラットホームのサイズ

まず、プラットホームの長さについては、前回ご紹介したように、

・そのプラットホームに停まる列車の、一番前の旅客車から、一番後ろの旅客車までの

 

 長さ以上であること

・ただし、車掌がそれ以外の車両に乗る場合は、その車両も含めて長さを決めなければ

 ならないこと

という規定があります。
 

鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年国土交通省令第151号)
 (プラットホーム)
 第36条第1号

  プラットホームは、次の基準に適合するものでなければならない。
  一 プラットホームの有効長は、当該プラットホームに発着する列車の最も前方にある旅客車(車掌が旅客車以外の車両に乗務する場合は、当該車両を含む。以下この条において同じ。)から最も後方にある旅客車までの長さのうち最長のものの長さ以上であって、旅客の安全かつ円滑な乗降に支障を及ぼすおそれのないものであること。ただし、地形上等の理由によりやむを得ない場合であって、車両の旅客用乗降口の閉鎖その他の必要な措置が講じられているときは、この限りでない。


この規定に続いて、プラットホームの幅についての定めがあります。

それによると、

・プラットホームの幅
・プラットホーム上にある柱や壁と、プラットホームの端との距離

は、お客さんが安全に、そしてスムーズに移動できる長さであることが必要とされています。

 

鉄道に関する技術上の基準を定める省令
 (プラットホーム)
 第36条第2号

  プラットホームの幅並びにプラットホームにある柱類及び跨線橋口、地下道口、待合所等の壁とプラットホーム縁端との距離は、旅客の安全かつ円滑な流動に支障を及ぼすおそれのないものであること。

 


○お客さんがスムーズに移動できるように

また、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」によると、

新しく旅客施設を造るときや、大規模な改良を行うときなどは、

高齢者や障害者の方がスムーズに移動できるように定められた規準に適合することが

必要とされています。

 

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)
 (公共交通事業者等の基準適合義務等)
 第8条第1項

  公共交通事業者等は、旅客施設を新たに建設し、若しくは旅客施設について・・・大規模な改良を行うとき・・・は、・・・省令で定める基準・・・に適合させなければならない。


この規定に基づいて、

「移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準を定める省令」

には、プラットホームについて、以下のような詳細な基準が定められています。

・プラットホームの端と車両の床面の端との間隔は、できるだけ小さくする
・プラットホームと車両の床面は、できるだけ平らであること
・隙間や段差があるときは、車いすでも乗り降りができるような設備を備える
(※よく駅員さんが、車いすの人が乗り降りできるように、板を渡していることがありますね)
・排水のための傾きは、1%が標準
・床の表面は、滑りにくい仕上げをする
・ホームドアや点字ブロックなどを設置する
・列車が接近したら、文字や音声で警告する設備を設ける
・照明が設置されている

 

移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準を定める省令(平成18年国土交通省令第111号)
 (プラットホーム)
 第20条第1項

  鉄道駅のプラットホームは、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
  一 プラットホームの縁端と鉄道車両の旅客用乗降口の床面の縁端との間隔は、・・・できる限り小さいものであること。・・・
  二 プラットホームと鉄道車両の旅客用乗降口の床面とは、できる限り平らであること。
  三 プラットホームの縁端と鉄道車両の旅客用乗降口の床面との隙間又は段差により車いす使用者の円滑な乗降に支障がある場合は、車いす使用者の円滑な乗降のために十分な長さ、幅及び強度を有する設備が一以上備えられていること。・・・
  四 排水のための横断勾配は、一パーセントが標準であること。・・・
  五 床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
  六 発着するすべての鉄道車両の旅客用乗降口の位置が一定しており、鉄道車両を自動的に一定の位置に停止させることができるプラットホーム・・・にあっては、ホームドア又は可動式ホームさく(旅客の円滑な流動に支障を及ぼすおそれがある場合にあっては、点状ブロックその他の・・・設備)が設けられていること。
  七 前号に掲げるプラットホーム以外のプラットホームにあっては、ホームドア、可動式ホームさく、点状ブロックその他の視覚障害者の転落を防止するための設備が設けられていること。

・・・

  九 列車の接近を文字等により警告するための設備及び音声により警告するための設備が設けられていること。・・・
  十 照明設備が設けられていること。

 


○危険物が通る配管は、プラットホームから離れたところに設置しましょう

「危険物の規制に関する規則」と、

それについての詳細を定めた「危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示」

によると、

危険物が通る配管を地上に設置する場合は、

1日に2万人以上が利用する駅のプラットホームから水平距離で45メートル以上

離れていなければならない

・・・とされています。

 

危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)
 (地上設置)
 第28条の16

  配管を地上に設置する場合は、次の各号に掲げるところによらなければならない。
  二 配管・・・は、住宅、学校、病院、鉄道その他の告示で定める施設に対し告示で定める水平距離を有すること。

 

危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)
 (施設に対する水平距離等)
 第32条

  ・・・配管は、次の各号に掲げる施設に対し、当該各号に定める水平距離を有しなければならない。
  十 一日に平均2万人以上の者が乗降する駅の母屋及びプラットホーム 45メートル以上

 


○同じプラットホームで乗り継ぎができるようにしましょう

「鉄道事業法」と「鉄道事業法施行規則」によると、

鉄道事業者は、他の事業者と協力して、お客さんがスムーズに列車を乗り継げるように、

同じプラットホームで、対面で接続することなどの努力をしましょう・・・

と定められています。

 

鉄道事業法(昭和61年法律第92号)
 (乗継円滑化措置等)
 第22条の2第1項

  鉄道事業者は、利用者の利便の増進を図るため、他の運送事業者その他の関係者と相互に協力して、連絡運輸、直通運輸その他の他の運送事業者の運送との間の旅客の乗継ぎ又は貨物の引継ぎを円滑に行うための国土交通省令で定める措置を講ずるよう努めなければならない。

 

鉄道事業法施行規則(昭和62年運輸省令第6号)
 (旅客の乗継ぎ又は貨物の引継ぎを円滑に行うための措置)
 第37条の2 

  法第22条の2第1項の国土交通省令で定める措置は、次に掲げる措置とする。
  一 他の鉄道事業者との間の相互直通運転又は同一のプラットホームでの対面による接続


このように、プラットホームについては、

私たちが安全でスムーズに鉄道を利用できるように、

多くの決まりが定められていることが分かりました。


(この記事は、2018年8月20日時点の法令情報に基づいています)
 

 

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いかがでしたでしょうか。

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是非、次回もお楽しみにつながるうさぎつながる花1

by 第一法規 法律トリビア編集担当