あの“きまり”、どこに書いてある? ~よーいドン! のピストル | いくつ知ってる?法律トリビア【第一法規】

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こんにちは、第一法規「法律トリビア」ブログ編集担当ですカナヘイピスケ

 

東京オリンピックまであと3年ですね。

リオデジャネイロオリンピックの閉会式でくり広げられた、

日本のカッコいいパフォーマンスを、今でも昨日のことのように思い出します。

さて、100メートル走やマラソンなどで、

スタートの時に「パン!」とピストルを鳴らしますね。

このピストルを鳴らす人は、つまり銃を持っているわけですが、

これは法律で認められているのでしょうか?

答えは「銃砲刀剣類所持等取締法」という法律にあります。

まずは条文を見てみましょう。


◯公安委員会の許可が必要

 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)
 (許可)
  第4条第1項

   次の各号のいずれかに該当する者は、所持しようとする銃砲又は刀剣類ごとに、その所持について、住所地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。
   ・・・
   五 国際的又は全国的な規模で開催される政令で定める運動競技会における運動競技の審判に従事する者として適当であるとして政令で定める者から推薦された者で、当該運動競技の出発合図の用途に供するため、運動競技用信号銃又はけん銃を所持しようとするもの

   ・・・

まず、この規定を見ると、

 

よーいドン!で鳴らす銃は、「運動競技用信号銃」と呼ぶことがわかります。

そして、

・国際的・全国的な規模の運動競技会(政令で定めるもの)で運動競技の審判をする人

であって、

・政令で定める者から推薦された人

は、銃砲ごとに、都道府県公安委員会の許可を受けることとされています。

この中で、運動競技会と、審判を推薦する者は、政令で定めるとされています。

そこで、その下にある政令「銃砲刀剣類所持等取締法施行令」を見てみましょう。


◯どんな競技会で銃砲を使えるの?

まずは、どんな競技会で銃砲を使えるか、を見ていきます。

 銃砲刀剣類所持等取締法施行令(昭和33年政令第33号)
 (運動競技用信号銃等の所持が許可される運動競技会等)
  第4条

   法第4条第1項第5号の政令で定める運動競技会は、前条第1項第1号から第3号までのいずれかに掲げる運動競技会又は日本体育協会若しくはその加盟競技団体が主催して行う次の各号のいずれかに掲げるものとする。

   一 国民体育大会
   二 日本陸上競技選手権大会
   三 日本選手権水上競技大会
   四 全日本スピードスケート選手権大会
   五 近代五種競技日本選手権大会
   六 日本アマチユア選手権自転車競技大会
   七 日本カヌー選手権大会

この規定には国体をはじめ7つの大会名が書かれていますが、

 

第4条の本文を見ると、そのほかに、

第3条第1項の第1号から第3号までに掲げられている競技会も対象とされていることが

わかります。

そこで、第3条を見てみましょう。

 銃砲刀剣類所持等取締法施行令
  第3条第1項〔抜粋〕
   一 オリンピツク競技大会
   二 アジア競技大会
   三 近代五種競技世界選手権大会
   ・・・

なるほど、オリンピックやアジア大会も対象になるのですね。


◯誰に推薦してもらうの?

次に、先ほど挙げた、

・政令で定める者から推薦された人

について見てみましょう。

誰から推薦されることが必要なのでしょうか。
これも、「銃砲刀剣類所持等取締法施行令」に書かれています。

 銃砲刀剣類所持等取締法施行令
  第4条第2項
   法第4条第1項第5号の政令で定める者は、日本体育協会とする。

このように、「日本体育協会」の推薦を受けた人が、公安委員会の許可を受けて、

「運動競技用信号銃」を所持することができるわけです。

ここで一つ気になるのが、

「私も『日本体育協会』だ!」と言い出す人がいたらどうなるか、ということです。

しかし、心配しなくても大丈夫そうです。

施行令第4条第1項には、どの「日本体育協会」かが細かく書かれています。

 銃砲刀剣類所持等取締法施行令
  第4条第2項

   法第4条第1項第4号の政令で定める者は、財団法人日本体育協会(昭和2年8月8日に財団法人大日本体育協会という名称で設立された法人をいう。以下「日本体育協会」という。)とする。


このように、

 

昭和2年8月8日に「財団法人大日本体育協会」として設立された法人を指す…

と明記されているので、今急に同じ名前の団体を作っても、審判の推薦はできない、

ということになりますね。

というわけで、安心してスポーツ観戦ができますね。

(この記事は、2017年7月26日時点の情報に基づいています)

 

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いかがでしたでしょうか。

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是非、次回もお楽しみにつながるうさぎつながる花1

by 第一法規 法律トリビア編集担当