「法鉄」の世界 ~「国鉄法」何が書かれていた? ⑤ | いくつ知ってる?法律トリビア【第一法規】

いくつ知ってる?法律トリビア【第一法規】

このブログでは、第一法規が、日常生活ですぐに役立つ…とは限らない法律のトリビアを発掘していきます!

 

こんにちは、第一法規「法律トリビア」ブログ編集担当ですカナヘイピスケ

 

法律という切り口から鉄道の世界を探る「法鉄」シリーズ。
 
引き続き、「日本国有鉄道法」に何が書かれていたか、見ていきたいと思います。
今回は、国鉄の予算や、運賃の決め方に関する規定を見ていきます。

 


  つながるうさぎ 法鉄記事の一覧はこちら ⇒ 「法鉄」の世界 ~ 記事まとめ つながるうさぎ


 

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

◯国鉄の予算は、国会で議決される
 
第36条から第51条までは、国鉄の会計・財務に関する規定が置かれていました。

まず予算について。

国鉄は予算を作ると運輸大臣に提出します。
運輸大臣は、国鉄の予算について大蔵大臣と協議・調整し、閣議で決定してもらいます。

そして、内閣は、その予算を国の予算と一緒に国会に提出し、

国会は、国の予算と同様に、国鉄の予算を議決します。

議決されると、内閣から国鉄に通知をされ、

国鉄はそれで初めて予算を実施できることになっていました。 
 

 日本国有鉄道法(昭和23年法律第256号)〔※現在は廃止〕
  第39条の2第1項

   日本国有鉄道は、毎事業年度の予算を作成し、〔…略…〕、運輸大臣に提出しなければならない。

   第2項

   運輸大臣は、前項の規定により予算の提出を受けたときは、大蔵大臣と協議して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。

   第3項

   内閣は、前項の決定をしたときは、その予算を国の予算とともに国会に提出しなければならない。 

  第39条の9

   日本国有鉄道の予算の議決に関しては、国の予算の議決の例による。

  第39条の10第1項

   内閣は、日本国有鉄道の予算が国会の議決を経たときは、運輸大臣を経由して、直ちにその旨を日本国有鉄道に通知するものとする。

   第2項

   日本国有鉄道は、前項の規定による通知を受けた後でなければ、予算を実施することができない。


◯運賃は法律で決められる

運賃を設定・変更するときには、「財政法」などの規定を準用することとされていました。

  第51条

   日本国有鉄道における運賃の設定及び変更に関しては、財政法〔…略…〕第3条〔…略…〕の規定を準用する。


「財政法第3条」というのは、国が独占する事業の料金を決めたり変えたりするときは、

 

法律で定めるか、又は国会で議決しなければならないと定めている規定です。

 財政法(昭和22年法律第34号)
  第3条

   〔…略…〕法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。


国鉄という法人が行う鉄道の運賃にこれを準用する(=同じように取り扱う)と

いっているので、国鉄の運賃は、法律で定めるか、国会の議決を経ることが
必要ということになるわけです。

実際、国鉄の運賃は「国有鉄道運賃法」という法律によって定められていました。

この法律によると、国鉄の運賃については、公正妥当なものであること、
賃金・物価の安定に役立つことなどが原則として定められていました。

そして、営業キロ1キロメートルごとの価格が書かれていました。 

 国有鉄道運賃法(昭和23年法律第112号)〔※現在は廃止〕
  第1条第1項
   日本国有鉄道の鉄道及び連絡船における旅客運賃及び貨物運賃並びにこれに関連する運賃及び料金は、この法律の定めるところによる。
   第2項
   前項の運賃及び料金は、左の原則によつてこれを定める。
   一 公正妥当なものであること。
   二 原価を償うものであること。
   三 産業の発達に資すること。
   四 賃金及び物価の安定に寄与すること。
  第3条第1項
   鉄道の普通旅客運賃の賃率は、営業キロ1キロメートルごとに、600キロメートルまでの部分については7円90銭、600キロメートルを超える部分については3円90銭とする。

「国鉄法」を探るシリーズ、次回は最終回です。お楽しみに!

※この記事の作成にあたっては、「日本国有鉄道法解説」(日本国有鉄道法研究会著、
 1973年、財団法人交通協力会出版部刊)を参考にさせていただきました。

 


  つながるうさぎ 法鉄記事の一覧はこちら ⇒ 「法鉄」の世界 ~ 記事まとめ つながるうさぎ


 

↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑

 

いかがでしたでしょうか。

↓過去の法鉄シリーズが収録されているブログ本も、

是非お手にとって見てくださいねつながるうさぎ

 

ブログ本『法律って意外とおもしろい 法律トリビア大集合
法律って意外とおもしろい 法律トリビア大集合

 

是非、次回もお楽しみにつながるうさぎつながる花1

by 第一法規 法律トリビア編集担当