中小企業の元気が日本の未来を拓く | 第一経営グループ代表 吉村浩平のブログ

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14日と15日は中小企業家同友会全国協議会の第48回定時総会が大阪で行われました。今年の総会の大きな特徴は二日目に行われたパネルディスカッション「持続可能な社会をつくり、地域と日本の新しい未来を切り拓く~エネルギーシフトの学習と実践を~」です。


中同協として、なぜ今エネルギーシフトなのかを改めて問い直し、そして「企業づくり・仕事づくりの視点」「地域づくりの視点」「暮らしづくりの視点」「国づくりの視点」「同友会づくりの視点」という5つの視点から問題提起がされました。


きっかけは2011年の東日本大震災であり、その後2013年に中同協としてドイツのエネルギー政策の視察に行ったことです。日本が「大量生産・大量消費」のアメリカンスタイルの生活にどっぷりと浸かっていることの異常に気がついたと言います。


自分たちのエネルギーは自分たちで作ることで、94%を輸入資源に頼っている今のエネルギー自給率を引き上げることができる。そのためにも持続可能な社会を目指すものとして、小規模で地域分散型の再生エネルギーをつくる運動を展開する必要があると言うことです。


今回の総会では、そうした理念に基づく「中小企業家エネルギー宣言」を満場一致で採択しました。パネルディスカッションの中で示された、中小企業家だからこそ連携の力で、人・モノ・カネ・情報の壁を突破できるという力のこもった訴えに、そして同友会が草の根の運動として進めようとする5つの「つくる視点」に見るスケールの大きさと時代を創ろうとする先見性に改めて感動するものがありました。


さて一日目は、嘉悦大学の黒瀬教授が「情勢をどう見るか~中小企業の元気が日本の未来を拓く」というテーマで報告をされる第1分科会に参加しました。報告は「停滞を続ける日本」の実態について、第二次安倍政権になってからのGDP成長率が欧米と比較して圧倒的に低いという数字から始まりました。


さらに実質賃金が5年連続マイナスで相対的貧困率や生活保護世帯が増加しているという統計、一方で失業率の減少といっても正規雇用と比較して年収が100万円以上低い非正規雇用が増加しているからという話、大企業の「当期利益主義」による不正会計等、コーポレートガバナンスが崩壊しているという話、そして「時代錯誤のトリクルダウン論」という指摘など、前半部分では主にアベノミクスの失敗を痛烈に批判しています。


そして後半では、黒瀬先生が最近の著書の中でも提唱している「独立中小企業」への脱皮の必要性を縷々述べられました。ちなみに独立中小企業とは、「自分の仕事は自分で創り出し、正当な価格を貫ける中小企業」と定義されています。


ここからは4つの経営戦略について長年のフィールドワークで取材してきた具体的な企業の戦略を紹介しながら時間いっぱい報告されました。(1)事業領域(ドメイン)を「反大量生産型・高付加価値分野」として明確な設定をする戦略をとっている企業。


2)個々のお客様に密着する「One to Oneマーケティングと経験技術」の戦略、そしてまた(3)お客様のニーズや表現できない潜在ニーズを「つぶやき」の中に聞き取り、それを「場面情報」として分析して市場開発に生かしているという幾つかの事例は、先生の本でも紹介されているものですが、やっぱり刺激を受けるものでした。


戦略の(4)は、企業内での上下左右の情報共有、お客様や他企業との情報共有など、企業を情報発見システムに昇華させるというものです。この点では中小企業ならではの強みと同友会が進める「人間尊重経営」の大切さを言われていました。


最後に、そうした大きな流れができたとき、中小企業の発展が市場経済の形を変え「人間化」し「民主化」できるという壮大な社会変革の展望にまで言及されたのには、さすがに飛躍しすぎではないかとびっくりしましたが、でも厳しい経営環境、不合理な経済財政政策を目の当たりにしている中では、とても夢のある話だなと感じるものでした。


ちなみに分科会終了後には、会場ではなく事前にアマゾンで取り寄せて読んでいた「独立中小企業を目指そう」という著書に、「いいですよ」と気持ちよくサインをいただきました。