それはホロコーストのリハーサルだった | 第一経営グループ代表 吉村浩平のブログ

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土曜日の夕方にNHKで放映された「それはホロコーストのリハーサルだった~障害者虐殺70年目の真実」という番組を録画で見ました。ナレーションは大竹しのぶさんです。11月にNHKのEテレで放映されたものですがその時は見逃していました。今度は総合テレビでの放映です。

昨年8月にもNHKのEテレで少し違う構成で放映されましたが、その時に日本障害者協会の藤井克徳さんがドイツで取材してこられた模様をベースにしています。番組の中で紹介はないのですが藤井さんに同行されているのが、当社の外部監査委員の一人で “きょうされん”理事でもある斎藤なを子さんです。今回もメールで放映の情報を頂いていました。
私は先日、ナチスの虐殺から逃れるユダヤ人の亡命を助けようと、ビザを発給し続けた日本人の外交官「杉原千畝」という映画を観たばかりです。そのユダヤ人大虐殺のリハーサルの役目を果たした障害者の虐殺という事実が、いま明らかにされたのです。

2010年にドイツ精神医学の学会が、過去に患者の殺害に積極的に関わってきたことを明らかにして謝罪し、そして昨年の秋に「なぜ医師たちが殺人に自主的に関わるようになったか」など調査報告をまとめたということです。
大竹しのぶさんはナレーションの中で、ナチスによって作られたプロパガンダの効果を言います。映画や新聞等を使って、繰り返し、繰り返し「国の予算の多くがそこに使われて、障害者が国や国民、家族の負担になっている」こと、だから福祉予算を削減することの正当性を国民の中に刷り込んで行ったと言います。

その延長線上に医師が障害者を殺害することの正当性を信じる思考回路が出来上がったのかも知れません。マスコミを最大限利用するという手法は、まさに今どこかの国の首相が力を入れて行っていることのように思うのですが、そういう意味ではNHKもなかなか頑張っていると応援したくなります。
藤井さんは「どんな問題にも、戦争にも、悪行にも最初がある。前触れがある。その段階で気づく力が問われてくる。社会的に弱い立場、障害者に問題が表れやすい。これが前触れの警鐘であるととらえていくことが大事」と話されます。

また第三者調査委員会のハンス教授がインタビューの中で「命の価値を尊重しなくなると人を殺せてしまう。これは過去の歴史ではなく現在にも繋がっている。社会の中に病、障害、苦悩、死が存在することを受け入れる、こういった意見が少なすぎる。命に関する問題に直面した時、他人の価値観に振り回されていないか、それがもたらす結果まで想像できているかと自分に問う必要がある。」と話されているのがとても印象的でした。
1941年、ミュンスター司教が教会の説教で語った原稿が、ナチスの網をくぐって書き写され広く流れて行った、それが障害者の殺戮を止めた要因の一つといいます。ナチスと言えども世論は気にするのです。「過去の歴史ではなく現在にも繋がっている」ならば、私もここに書き写してみようと思います。

「貧しい人、病人、非生産的な人、いてあたり前だ。私たちは、他者から生産的であると認められたときだけ生きる権利があるというのか。非生産的な市民を殺してもいいという原則ができ、実行されるならば、我々が老いて弱ったとき、我々も殺されるだろう。非生産的な市民を殺して良いとするならば、今、弱者として標的にされている精神病者だけでなく、非生産的な人、病人、傷病兵、仕事で体が不自由になった人すべて、老いて弱ったときの私たちすべてを殺すことが許されるだろう」