船内の楽器広場で、毎朝七時から九時までウクレレを手にした。四十人を超える仲間が集まり、笑い声と弦の音が交じる賑やかな時間。それでも、どこか胸の奥に小さな空白を感じていた。
「そうだ、ここにベースが入れば、もっと深くて厚みのある音になる」
学生の頃、グループサウンズやフォークに憧れ、いくつものギターを渡り歩いてきた。しかし、ベースギターだけは不思議と縁がない。そんな私が、今回手を伸ばしたのがウクレレベースだ。
小さな体からは想像もつかないほど、低音は豊かで温かい。弦を弾くたび、音楽の土台が静かに整っていくのが分かる。新しいことに挑む自分が、少し誇らしい。
さて、この一音が、どんな景色を連れてきてくれるのだろう。


