社会心理学者の加藤諦三氏は「悩みや苦しみの答えは、すでに多くの本の中に書かれている。だから私は勉強をするのです」と語る。そして、私の心に深く残る言葉がある。
「学歴は人を救わないが、学問は人を救う」
確かに、立派な学歴を持っていても人生に迷い、苦しみの中で立ち尽くす人は少なくない。しかし、本当に学び、自分の人生に活かした知識や智慧は、困難な時に進むべき道を照らしてくれる。
それは宗教の世界でも同じである。経典や聖書には、人間の苦しみや悲しみ、そして生きる意味についての答えが数多く説かれている。けれども、ただ読んだだけでは宝の持ち腐れだ。薬の効能書きを何度読んでも、実際に飲まなければ病が治らないのと同じである。
仏教では「解行相応(げぎょうそうおう)」という言葉がある。理解したことを実践してこそ、本当の智慧になるという意味だ。どれほど素晴らしい教えに出会っても、日々の生活の中で実践しなければ、自分を変える力にはならない。
学ぶことは知識を増やすためではない。人生をより良く生きるためである。そして宗教を学ぶことは、神仏の教えを知るためだけではなく、自らの生き方を磨くためである。
本を閉じたその後に、何を実践するのか。そこにこそ、学問や信仰の本当の価値があるのだと思う。


