通い始めてちょうど一ヶ月目に「あんたも根性やな、明日もおいで」と地主から嬉しい言葉をいただいた。喜び勇んで家に帰り『売ってくれるらしい。一坪百万円と言われても買うぞ』と坊守に言ったが、実はまるで手元にはお金のない時期でもあった。


チャンスが目の前に来た時に限って「お金がない」「忙しい」「それどころではない」などと試されるようだ。


当時はバブル期でもあり、幸いにも25年の住宅ローンを組む事ができて、小さいながらも本堂と庫裡が完成。当時は固定金利が当たり前だったが、私はあえて金利の高い変動を選んだ。この判断は数年後に見事功を奏した。


本院の土地探しも神がかり的な経緯だった。ミヤマキリシマが生息する経塚山で、早朝に瞑想をしていた。するとピカッ!と光り輝く場所があり、車の反射かと思ったが私は『神さまのお告げかもしれない』とその場所に行った。


なんと以前に、夢で見た風景そのものではないか。早速地主を探し挨拶に行ったが「あの土地はうちが持っている中では一番景色のいい場所だから売るつもりはないね」


そこで『ああそうですか』と諦める私ではない。次の日から『親父さん、こんにちは!』と日参した。今でいうストーカーかもしれないが、神さまが教えてくれた場所(日出町大神)だけに、そう簡単には引き下がれない。




大分市内の多くの物件を紹介されたが、坊守が「ここしか考えられない」という土地があった。しかし三人の地権者が「死んでも売らない」と言われるので私は諦めていた。


理想は大分駅や高速インターに近く、絶対に叶えたい条件が眺望だ。そんな三拍子揃った夢みたいな物件が、大分市にあるはずがないと皆さん口を揃えていう。


候補に上がったのが、某駅に近く国道沿いの住宅も多い場所で、IT会社の洒落た造りの社屋と工場、しかも広い駐車場もあった。


役員・総代と共に見学をして、購入金額まで掛け合った。建物をリフォームすれば、立派な寺院と納骨堂ができると判断した。


だが気になるのは、片側3車線でいつも渋滞している。物件としては気に入っていたのだが、寄り付きの悪さが気になり、坊守の「私はあそこしか考えられない!」という言葉が脳裏をよぎる。