アニメ【鬼滅の刃】柱稽古編の放送が始まりました。この章で
物語上最も大きな出来事というのは産屋敷邸の爆発ですが、
何となくアニメの見せ方的に、胡蝶しのぶの戦死を一番の盛り
上がりどころとしてフォーカスしようとしている気がします。
カナヲが完全に自我に目覚める名シーンで、伏線段階の今から
楽しみです。
炭治郎が「錆兎が生きていたら…」と言っていましたが、それと
先日の歴史の話題にちょい乗りして、維新史で横死せずにその後
も生きていたら面白そうな人という事について考えてみました。
最初に思い浮かぶのは坂本龍馬で、これはまあみんなわりとそう
じゃないかなあと。明治政府に入らずに海援隊を発展させて、
列強との外交や維新後相次いだ士族の反乱、特に西南戦争は、
異なった結末を辿っていた可能性が大いにあったと思います。
次に思いついたのが橋本左内(1834-1859)で、この人も
吉田松陰(1830-1859)と同様、幼いころから学問に励んだ神童
で、15歳で【啓発録】という著書を記しています。思想としては
公武合体寄りの開国佐幕思想で、主君の福井藩主・松平春嶽の
命を受けて14代将軍継嗣問題では、一橋慶喜を擁立しようと
画策していました。
安政の大獄で、松平春嶽が隠居謹慎を申し付けられると、将軍
継嗣問題に介入した件について、左内も幕府の取り調べを受けま
した。その結果、遠島の刑罰が下される予定でしたが、井伊直弼
が左内の死罪を強固に主張したため、伝馬町で斬首されました。
享年25歳。左内の場合は、その後の幕末の志士らとは異なり、
きちんと藩と主君の命を受けた上での政治活動であって、一個人
の私心でこんな事をするはずがないのですが、取り調べの際に
それを申し開きした事が、主君を庇わずに罪を着せようとして
いて心証が悪いという無茶苦茶な理由での処刑でして、美徳の
強要がグロテスクになってしまう例だという感想です。
開国後の諸外国との交渉に備えて、改革によって幕府の権力を
立て直そうとして活動していた橋本左内の処刑を伝え聞いた
西郷隆盛は、幕府は狂っているという趣旨のコメントを残して
います。安政の大獄におけるこれらの横暴な思想弾圧は、倒幕
思想の発展を招く事になって、桜田門外の変、坂下門外の変、
各種の天誅というテロリズムの多発につながっていきました。
いや~、歴史って本当に面白いですね(水野晴郎風)。