台八百七十三話 | 台所放浪記

台所放浪記

料理とか随想とか

時事ネタです。1974年に起きた連続企業爆破事件で指名手配

されていた桐島聡と見られる人物が、偽名を用いて就職しながら

49年間潜伏した後、入院先の病院で死亡したというニュース。

 

連続企業爆破事件というのがよく分からないので調べたところ、

1960年代末期の学生運動から派生した極左テロ思想で過激派の

[東アジア反日武装戦線]という団体が、1974年から1975年に

かけて起こした爆弾テロ事件で、多数の死傷者が出たそうです。

台所とはさすがに世代が違っていて、自分が学生の頃には、

学生運動などというのは既に下火を通り越して、絶滅危惧種の

ようになっていました。全くいない事はなかったんでしょう

けど、自分の周りにはそんな活動をしていた人は、1人も

いませんでした。酒席での雑談で話題が政治理論になった際に、

友人が「政治には興味ないねん。ノンポリですわ」と語って、

周囲が「いつの時代の学生なんよ?ノンポリて」とウケていた

のを憶えています。

 

桐島聡であると名乗った人物は数日前に亡くなりましたが、死の

直前に操作関係者に一連の事件について後悔していると語ったと

報じられています。少し話が飛びますが、昔読んだ中崎タツヤの

漫画で、不良の息子を更生させようとして説教をした両親に

向かって息子が、善人が少しでも悪い事をすると、それが本性

だったとか、悪事を働くために善人のふりをしていた等、

ものすごいバッシングを浴びるが、不良というのは何か少しでも

良い事をすると、見かけによらず良い人だというような評価に

なって、世間というのは馬鹿だから、後から出た方を信じ込むの

で、不良をやっているのだと答えて、両親がしばしの沈黙の後、

「いろいろ考えとるなあ」と納得するという話がありました。

 

台所が考えるに、事件当時の桐島容疑者においても、約50年後に

後悔する自分というのは想像できなかっただろうと思います。

人間の考えや感じ方というのは常に不変ではありません。

将来も今現在と変わらない自分のようなものは、わりあい想像

できても、将来変わる自分だとか、今現在とはどう変わるという

事について的確に想像するのは、非常に難しいです。しかし

ながら、悪事に手を染めた事を後に後悔するであろう自分という

のは、悪事を働かなかった事について後悔する自分というもの

よりは、まだしも想像しやすいはずだと考えられます。

したがって、中崎タツヤの漫画の不良が言う事にも一理はある

ものの、後悔のない人生を送るという観点からすると、

悪い事をしないというのは、それだけで一定の価値があるように

思います。長いので、次回に続きます。