LILIUM(リリウム)感謝祭 二輪咲き 感想・レポ(ネタバレ有り) | 人生を無駄にするんじゃないブログ

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基本はハロプロを中心としたイベントやライブの感想ブログです。
他にも映画・読書・漫画・雑記等、も加える予定です。キーワードはとにかく思いついたら書いてみる事です。
最近は人生の岐路に立たされてるのでそれ系の内容も・・・。

 8/31 LILIUM感謝祭初日に観覧してきました。

そこで披露された新作演目「二輪咲き」についてレポしたいと思います。

時系列で言うとLILIUMの10年前にあたるエピソード「LYCORIS」の前日譚。
つまり本編より昔のお話になります。

※セリフ等は飽くまで記憶の範囲内によるものです。

今回の感謝祭からLILIUMに新登場したメンバーは、

<マーガレット親衛隊>

・ヒマワリ→室田瑞希(アンジュルム3期)
・モンステラ→相川茉穂
(アンジュルム3期)

<クラン生>

・リコリス→飯窪春菜(娘。10期)
・ピーアニー→野中美希 (娘。9期)


※以下の4人を、娘。12期3人生田衣梨奈が担当。
それぞれの割り当ては明言されてない為、不明。

<クラン生>
・オダマキ
・チャイブ
・カンナ
・ペチュニア


※舞台は後方に低めの壇が置かれており、中心部分の階段で舞台と繋がる構成。

【二輪咲き レポート】


暗転した舞台。そこにLILIUMのOPと同じナレーションが流れる。
そして舞台上にメンバー全員が登場。
原作と同様にの照明が落ちて、メンバーはお薬(ウル)を飲む。
飲み終るとメンバーは掃け、舞台上に残ったのはシルベチカともう1人の少女のみになる。

サナトリウムクランの何気ないある1日の事。
クランの一室で浮かない表情で佇むシルベチカ

そんな彼女に、「どうしたの?シルベチカ?」とリコリス(飯窪春菜)が声をかける。
シルベチカは友人の存在に気付き、「リコリス」と名を呼び返した。
まるで夢の中にいるように、上の空なシルベチカの声色。
そんな彼女へリコリスが次の言葉をかけようとした瞬間、あらぬ方から怒号が飛んできた。

「シルベチカ!今日、一緒にお昼を食べる約束でしょ!」
声の主はチェリーだった。約束をふいにされたようでご立腹なのが見て取れる。
彼女の傍らには友人のリリーの姿があった。

そんな事も意に介さずシルベチカが呟く。
「私、どうしてここにいるの?私、死んだはずじゃ・・・?」

呆然とする一同。チェリーから「生きてるじゃん!」と突っ込みが入る。
しかし、「確かに、高い所から落ちて死んだはずだわ。」と引かないシルベチカ。

苦笑しながら「繭期の具合が良くないのね」とリコリス。
「お薬が足りてないのかも」とリリーもフォローに入る。
妄言は繭期の典型的な症状であることは彼女らも身に染みて知っていた。

そんな事ない、と言わんばかりに元気にポーズをとってみせるシルベチカ。
しかしすぐに「眠くなってきたわ」と瞳をこする。
「会話の途中に眠くなるな!」本日の二度目のチェリーの怒号が飛んだ。

そこへ退屈を極限に持て余したカトレア達が乱入。
「退屈、退屈、退屈よ。」
「今日は何をして暇を持て余そうか!?」
3人はいつもの明るさで場をかき乱し、退屈しのぎの材料に相撲を見出すと
駆け足で去って行ってしまう。

さらに問題児マーガレットも新親衛隊を引き連れ登場。
「田吾作!与平!門左衛門!」といつものように親衛隊の名前を豪快に間違えて見せる。

「ヒマワリです!モンステラです!ミモザです!」
と本名を告げるも、
プリンセスの「名前なんてどーーでもいいっ!!」でかき消される。
重度の繭期で自らをどこかのお城のプリンセスを信じ込んでしまっている彼女は
「じいや」「ばあや」と探し回ったりといつもの妄言を語った後、
親衛隊を引き連れ掃けていく。

場にドッ、と疲れた雰囲気が漂う中でひときわ幼いクラン生が姿を現す。
野中美希演じる新キャラのピアーニーであった。
学年的に後輩に辺り、皆の妹分であるらしい彼女をチェリーは抱きしめる。
どうやら上級生の中でもチェリーは特にピアーニーを可愛がってるらしい。

愛玩動物的可愛がり方をするチェリーは「迷惑そうだから止めろ」の声も聞き入れない。
「迷惑じゃないわよねぇ!?」チェリー先輩の言葉に「迷惑じゃないわけでも・・・」と
言葉を濁すピアーニー後輩。それでも「迷惑がってても可愛い!」とハグを続ける。
そんな先輩の愛情を受けながらも、ピアーニーは「転校生が來るらしいです」と告げる。

<暗転>


舞台中央に集められたクラン生達。後方の階段の両脇に紫蘭と竜胆が立つ。
「これから転校生を紹介する」という紫蘭の言葉と共に、陰気な少女が現れた。
マリーゴールドと呼ばれた彼女は皆の前に立っても俯き、一言も話そうとしない。

見かねた紫蘭が「さぁ、自己紹介するのだ」と促す。
それにマリーゴールドは暗い声で「どうして?」と返す。
「これから共に生活をする仲間に対して自己紹介するくらい当たり前だ。」

「当たり前ってそれはあなた達にとっての当たり前。私にとっての当たり前じゃない。」
静かに、しかし明確な暗い意思を持って自己紹介を断るマリーゴールド。
それは自己紹介だけでなく、この場に存在する全てへの拒絶にも感じられた。

しかし去り際に初めて正面を見据え、彼女は眼下のクラン生達に言い放った。
「私にとって当たり前の事は1つだけ・・・みーんな大ッ嫌い。」
言葉を失う一同を他所に、去っていくマリーゴールド。
竜胆が「とにかく仲良くするんですよ」と精いっぱいのフォローをする。

紫蘭たちが去った後、誰ともなく話し始める。
「あれどう思う?」「どうって言われても・・・」
「それよりあの子ダンピールなんだって。紫蘭と竜胆が話してるのを聞いたわ」

ダンピールの単語にざわめく一同。カトレアの「ダンピールと暮らすなんて嫌!」を
皮切りに口々にダンピールへの嫌悪感を口にし出す。

「チェリー!あなたも嫌よね!?」振られたその言葉にチェリーは顔を青くしながらも
大げさに同意してみせる。しかし、リリーにそのわざとらしさを突っ込まれ、
それがさらに大きな動揺を呼ぶ。最終的に彼女は固まってしまった。

そんな輪に加わる事なく、1人離れた場所からリリーを見つめる少女。
リリーがその視線に気づくと、少女はそのまま立ち去ってしまう。
「スノウ・・・とても悲しそうな顔で私を見ていた。」
視線の主の名をリリーが呟く中、不意に男子寮から来訪者がやってくる。
女子寮侵入の常習犯のキャメリアであった。

「何しに来たのよ!」と凄むチェリー。
しかし、キャメリアは堂々とシルベチカの肩に手を回し
「シルベチカに会いに来たんだ!」とこれまた堂々と目的を告げた。
言われたシルベチカも笑みを浮かべ、嬉しそうに彼の名を呼び返した。

「そうやって人前でいちゃつくもんじゃないわ!隠れてやりなさい!」
チェリーのお叱りにキャメリアが反発し、取っ組み合いが始まる。
「あなた達仲が良いのね。」リリーが感心したように言うと、
示し合わせたように2人が同じタイミングで否定して見せる。
熟練のコンビ芸とも言えた。

喧嘩が膠着状態に入った時、突如年中貧血のもう1人の男子が駆けて来て地面に倒れこむ。
彼の乱入が図らずも喧嘩の仲裁をした形になった。

「大丈夫!?ファルス!!」
自分を助け起こそうとしたリリーにお礼を言うファルス。
その流れから、リリーをお茶に誘いさらに伝説の壁ドンを喰らわせる。
「はっ!壁ドン!!」「ねぇ、今どういう気分?」

ここで客席のボルテージはMAXに。
さらに新技のエア壁ドンを披露し、リリーを口説き落そうとした所で
助走をたっぷりつけたチェリーの蹴りを後頭部に喰らってしまう。

その騒ぎに紫蘭が気づいてしまい、男子2人はムチで追いかけられる羽目に。
いつもの光景なのだろうか。女子たちは視線で追って2人を見送った。

2人が去った後、リリーは「シルベチカとキャメリアが付き合ってるってクラン中の噂よ。」
チェリーはその言葉に明らかに動揺しながら「そ、そんなの私に関係ないし!」
そんな様子を見ながらリリーは「よーし!今夜は飲むぞ~!」とおどけて見せる。

<暗転>

場面は変わり、再びリコリスとシルベチカは2人きりに。

「最近何かおかしいの。昔あった事が思い出せない。
まるで誰かに思い出すなって言われてるみたい。」

自らの違和感を告げるシルベチカにリコリスは何も言わない。

「それに夢を見るの。嵐の夜に身を投げて死ぬ夢。
誰かが泣きながら私の名前を叫んでたわ。」


ここでリコリスが口を開く。
「それは予知夢かもしれない。繭期のヴァンプは感覚が鋭敏になって普段は気づかない
事に気付いたりするの。嗅覚が鋭くなったり・・・。」

リコリスはシルベチカの掌に自らの掌を重ね、言葉を続ける。

「触れた相手の死が見えたり。」

「そんなイレギュラーと呼ばれる現象があなたの身にも起きているのかもしれないわ。」

<暗転>

重々しい雰囲気の中、階段上に立つファルス。
そこに竜胆と共にマリーゴールドが現れた。
彼女は付いてきたのではない、竜胆に無理やり連行されたのだ。
不穏な空気を感じ、抵抗する彼女へファルスが告げる。

「これは君がこのクランの本当の仲間になる為の儀式さ。君の夢は僕が叶えてあげる。」

その口調にいつもの面影は無かった。誘うように甘く、毒のように黒い。

言い終ると同時にマリーゴールドを噛むファルス。
悲鳴をあげ、マリーゴールドの体が床に崩れ落ちる。

これが彼のクランの入居者に行われてきた恒例の儀式だった。
数百年もの間、続いてきた血の盟約の儀式。

ファルスがイニシアチブを発動すると、糸に吊られた操り人形の如く
マリーゴールドの体は起き上がり、ファルスの足もとに跪く。

「ようこそ、僕の永遠の繭期へ。」

その言葉は、彼女がファルスのクランの真の住人となった証でもあった。


<暗転>


舞台上にはチェリーと彼女に呼び出しを受けたシルベチカの2人。
チェリーは言いにくそうに、探り探りでシルベチカに話しかける。
普段の直球勝負な彼女はそこには居なかった。

「私とあんたはクランに入る前からの幼馴染よ。だからそれを踏まえて聞きたいんだけど」
「あんたはキャメリアと付き合ってるの?」

「え?なんの事?」その質問に小首をかしげ、きょとんとするシルベチカ。

「わ、私もあんたが相手なら割り切れるっていうか・・・。」

「そんな事ありえないわ。私はキャメリアと付き合ってなんかいない。
私はキャメリアなんかより幼馴染のあなたの方が大切なのよ。」

笑顔で平然とキャメリアとの交際を否定するシルベチカ。
そして、その予想外の返答に驚くチェリー。

そこへ「シルベチカ。調べものがあるんだけど一緒にいいかしら?」と
リコリスが現れ、そのままシルベチカを連れて行ってしまう。

<暗転>

クラン内の書庫。そこにはリコリスとシルベチカの2人しか居なかった。

「調べものって何かしら?」
呼び出された用件について尋ねるシルベチカ。

「あぁ、調べものっていうのは嘘。あなたとチェリーを引き離す為の口実よ。
あなたにはチェリーと話して欲しくないの。」

いつものリコリスとは明らかに様子が違う。

そんなリコリスにシルベチカは言葉を返す。

「私、チェリーがキャメリアを好きな事を知ってるわ。
だからチェリーを応援しようと思って・・・」

そこまで言った所で、リコリスが核心的な一言を告げる。

「だからよ。そんなことして欲しく無い。キャメリアは・・・私の物よ。」

そう告げる彼女の瞳には見た事の無い感情の色が宿っていた。

<暗転>


秘密の地下室。その階段上に立つファルス。
そこへ竜胆がピアーニーを連れてくる。傍らに待機する紫蘭の手には短剣があった。

「喜びなさい。ピアーニー貴女はウルの適合試験に選ばれたわ。」
「御館様が貴女を見出したのよ。ピーアニー。」

いつもの監督生の姿とは明らかに違う。
淡々と狂気じみた事を告げる2人にピーアニーは震えながらファルスに縋る。

「助けてファルスお兄様・・・。紫蘭お姉さまと竜胆お姉さまがお狂いになられたの!」

ファルスは足元に縋る憐れなる彼女を前に、何も言おうとはしない。

「御館様、準備ができました。」

腹心の報告に「ご苦労。」と返すと、ファルスはピーアニーへ視線を落とす。

縋った相手こそが狂気の源と悟り、ピアーニーは絶望した事だろう。
交差する視線に震えながら何とか言葉を紡いでいく。

「御館様・・・?嘘よ・・・御館様って血盟議会の偉い方のはずじゃ・・・。」

「本当は御館様なんていないんだよ。このクランを作ったのは僕だからねぇ。」

傍から聞けば繭期がもたらす妄言としか考えられない一連の言葉。

「嘘よ、だってここは何百年も前からあるクランですもの!」
震える声色を隠し切れぬまま、彼女は数字と理屈で対抗しようとした。

「そう、僕はずっとここに居た。何百年もの間ずっとね。」

そう妄言としか考えられない・・・だが。
その言葉にピーアニーはある可能性を見出した。

「そんな・・・まさかファルスお兄様がTRUMP・・・?」

はたしてその推測が当たっていたのか外れなのか。
彼女には知る由も無かったが、確実に言える事はその言葉が
ファルスに変調を齎したという事実であろう。

「TRUMP?僕が?」不意にファルスの語気が荒くなる。そして、高らかに笑い出した。
それは喜びの笑みでは無い。自嘲や怒り、様々なものが入り混じった
複雑すぎる感情が笑みという形を取ったに過ぎなかった。

「僕がTRUMP!?TRUE OF VAMPだって!?あんなヤツと一緒にするな!
クラウス!!僕から死を奪ったヤツなんかと・・・!!」


TRUMPという単語が彼を激昂させていた。
「TRUEなんかじゃない!!僕はFALSEだ・・・」
地面に吐き捨てるように、俯きながら呟いた。

「それでも私たちにとってあなたはTRUMPです。」と竜胆。
「ピアーニーの体へ、スティグマをお刻み下さい。」そう言い紫蘭が短剣を差し出した。

静かな狂気に満たされた空間の中、ファルスの手の中の短剣が光る。
逃れようとするピーアニーの腹部へ、ファルスは深々と刃をを突き刺した。
よろめきながら倒れこむピーアニー。彼女の傍らにかがみ、ファルスが叫ぶ。

「ピーアニー。立ち上がれ!君が不老不死だと!僕と同じだと証明して見せろ!」

しかしピーアニーは立ち上がらず、そのまま絶命してしまう。
彼女の中に不死の力は宿りはしなかったのだ。
彼が育てた一輪の花が、また手折られ朽ちた。
しばし失意の中、立ち上がれないファルス。

やがて、「この子もウルにはなれなかったか・・・。」そう呟きながら立ち上がる。

「また失敗か・・・。」漏らす紫蘭の声には明らかに落胆が見て取れた。

「我々が不老不死になる事は、やはり星を掴むような話なのかもしれませんね・・・。」

その諦念の言葉の中に、ファルスは別の物を感じ取った。
それは彼の脈々と継がれてきた血が成させた事かも知れない。
「星・・・。」そうつぶやくと彼は天を仰ぐ。

照明の光が夜空を思わせる青に変わり、そこへ白粒の星が注がれていく。

ソフィはそっ、と静かに諸手をあげると天に向かって伸ばしていく。
その掌の先に天に煌めく星々があった。

「確かに星を掴むような話かもしれない・・・」

「だけど・・・僕は手に入れて見せる。永遠の繭期を!」

絞り出すように叫び、崩れ落ちるファルス。
そんな主の元へ屈んだ紫蘭と竜胆が左右から身を寄せた。

「スノウ!いつからそこに居たのです!」不意に竜胆が叫んだ。

彼女の視線の先には身をひそめるスノウの姿があった。
一連のピーアニーの殺害を彼女は目撃していたのだった。

「スノウ。こっちへおいで。」ファルスはイニシアチブを発動させ、スノウを足もとへ跪かせる。

「どうして貴方が私のイニシアチブを持っているの?」愕然とするスノウ。

ファルスはそのままイニシアチブの記憶操作を発動し、スノウを昏倒させてしまう。

やがて立ち上がったスノウ。「私・・・どうしてここに?ファルス、紫蘭、竜胆まで・・・?」
ファルスのイニシアチブで彼女の記憶はすっかり改ざんされていた。

「もう就寝時間も近いのです。早くベッドへ入りなさい。」
そんな彼女を竜胆がいつもの優しい声で導く。

それに従い去ろうとするスノウ。しかし、途中で足を止め「TRUMP・・・?」と漏らす。

愕然とする紫蘭と竜胆。記憶操作で消した記憶が残留している事など想定外である。
「どうしてその言葉を!?」「御館様の記憶操作が完全ではなくなったのか!?」

慌てる2人を尻目にファルスは笑った。
「そうか!スノウ!君は僕になりかけているのか!!」
彼の研究の成果の証明に成りうる存在を見つけ出し、ファルスは高らかに笑った。

<暗転>


翌日、クランの中を重い足取りで歩くファルス。
向うから歩いてきたクラン生達の会話がすれ違いざまに聞こえてくる。

「ピーアニーがいなくなっちゃったわ。」
「え?クランを出て行ってしまったの?」
「違うわ。殺されたのよ。紫蘭と竜胆が血まみれのピーアニーを庭に埋めるのを見たわ」
「そんな、どうして。私たちもここに居たら殺されてしまうの?」

全員が叫ぶ。「嫌よ!私殺されたくない!!」

その言葉にファルスの足が止まる。
そして、イニチアチブ発動の音と共にクラン生達は崩れ落ちた。
彼女らに背を向けたままファルスが呟く。

「・・・不要な記憶は消してしまおう。永遠の繭期には不要な記憶を。」

やがて立ち上がった彼女たちはピーアニーなど知らない、と告げ方々へ散っていった。

<暗転>


リコリスは泣いていた。シルベチカの前で泣いていた。

「ピーアニーが死んじゃった。」

「ピーアニー?それはあなたのお友達?そんな子このクランにはいないわ。」

「皆忘れてしまったの。イニシアチブを誰かに握られているのね。ここは・・・箱庭よ。」

その先にいる何かを見極めようとするようにリコリスはクランの空を見上げた。

「でも大丈夫、貴女が忘れてしまっていても私が覚えている。
 私達は2人で1人だもの。」


「ねえリコリス、私眠くなってきたわ。」

リコリスの言葉の意味をまるで掴み兼ねるようにしてシルベチカは去って行った。

そこにキャメリアが現れる。

そんな彼にリコリスはこう告げた。「キャメリア、私を抱きしめて。」と。

キャメリアは笑んでそれに答えた。

「あなたにこうされていると不安な事も全て忘れられる。ねぇ、ずっとこうしていたい。」

「僕は離れたりしないよ。」
自分の肩越しに聞こえてくるその答えに安堵したように、リコリスが続ける。

「私達、お爺ちゃんとお婆ちゃんになっても一緒に居ましょう。
だけどもし・・・一緒にいられなくなったら1つ約束して欲しいの。」

「何だい?シルベチカ。」

キャメリアはリコリスをシルベチカと呼んだ。

キャメリアの腕の中にその身を預けながら、リコリスが呟く。

私を忘れないで/私を忘れないで

リコリスの言葉にシルベチカの言葉が重なった。


【完】




私の記憶レポではこの辺が限界でした。
傍から読んでも文章力無いのが分かり、きついです。
他の猛者の方が全て補完してくれる事を願っております。
というよりも感謝祭のDVD化を本気で願っております。

二輪咲きというのは「リコリス」「シルベチカ」の事でしたね。

基本、この話は前日譚なので今回追加された新キャストの役柄は
「LILIUM」本編にたどり着く前に死んでしまっていると思います。
(恐らくファルスの実験の材料化なにかで)

8/31 追記:

<個人的考察(リコリスという存在について)>

大外れな可能性もありますが、私は「シルベチカ多重人格説」の立場をとります。
リコリスは、シルベチカのもう1つの人格と考えております。

根拠としては、
①リコリスはシルベチカとしか会話をしていない。
②ラスト付近の「貴女と私は2人で1つ」というセリフ。
③ラストのキャメリアがリコリスを見て「シルベチカ」と呼んだ。
④「私を忘れないで」で2人の声が重なる。

恐らく、完全にファルスのイニシアチブ支配下に置かれた存在がシルベチカ。
ウルの影響でファルスのイニシアチブへ抗体を持った人格がリコリスなのだと
思います。だからこそ、リコリスだけは改ざんを受けずにピーアニーの事を記憶している。

そして、シルベチカはキャメリアの事を何とも思っていないけれど、リコリスは
キャメリアを心から愛している。なので主人格のシルベチカがチェリーの恋を応援しようとした時に出現し、シルベチカをその場から立ち去らせた。

時折、シルベチカが口にする「眠くなってきた」は人格交代のサインではないでしょうか。
主人格シルベチカが眠ったあと、リコリスはキャメリアに抱擁をせがみ愛の言葉を語ります。
その時は、人格こそリコリスですが、姿形はシルベチカのまま。
だからキャメリアは彼女をシルベチカ、と呼んだのだと思います。
キャメリアは最初から最後までシルベチカ以外を愛してはいないのです。

「あなたと私は2人で1人」

だからこそ、シルベチカが塔から落下した時にリコリスという人格も亡くなったと思います。
「老いさばらえた私を見ないで!」この言葉はリコリスの叫びでしょう。
イニシアチブ支配の弱いリコリスだからこそ、箱庭からの脱走を試みたのだと思いますので。

情報に脳をかき回され、考察に勤しむ時間は代えがたい幸せです。

そして、自らの死を予言するシルベチカ。
SPECTERのサトクリフ的なあれですね。イレギュラーという名の現象のようです。

色々と客席陣の繭期を悪化させる最高の舞台でした。

9/1追記:

リコリス役の飯窪はるなんのブログにて公式見解来ました。

以下、http://ameblo.jp/morningmusume-10ki/theme-10059753252.htmlより抜粋。

ここで、言える範囲でリコリスのことをお話ししたいと思います(*^^*)

リコリスとシルベチカは、ふたりでひとりなんです。

シルベチカにとってリコリスはお友達だけど、それはイマジナリーフレンドなんです。

シルベチカは多重人格者で、リコリスはシルベチカの中の人。

だからシルベチカ以外からはリコリスの姿が見えない、、、


今回は、特にロジックの罠は無くてシルベチカ多重人格で正解だったみたいです。
ただし「言える範囲」という事なので、まだ謎は隠されていそうです。

9/2追記:

上記ブログ本文、ラストシーンの書き換え

様々な方が詳細なレポを残して下さったお陰で私の記憶の拙さが露見。
色々なものが綻びはじめ恥ずかしい限りです。

冒頭のカトレア組・マーガレット組登場のタイミングはマリーゴールド自己紹介の
後だったみたいです。

その中で、特に宜しくなかったのが間違いが
ラストの核心を付くリコリスとキャメリアの会話。

そこの会話の順番だけ修正を入れさせて頂きました。

【訂正前】

私を忘れないで/私を忘れないで と、2人の声が重なった後に、


「分かっているよ、シルベチカ」 と、キャメリアが答える。


【訂正後】

「何だい?シルベチカ」 と、キャメリアが答えた後に、

私を忘れないで/私を忘れないで」 と、2人の声が重なる。


他もちょこちょこ小さく間違っているのですが、キリがないので
あえてそのままにしておこうと思います。

完全正解はDVDを待ちたいと思います。どんなレポより実物が一番です。
初日のみの参加なので分かりませんが、初日と異なりカメラが
複数台あったそうなので、DVD化しますよね・・・?
リリウム感謝祭。



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