Power of all 大なるままに -17ページ目
<< 前のページへ最新 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17

吉瀬美智子に惚れてます。

Power of all 大なるままに-2009011613240000.jpg
「Number」


という雑誌の表紙に写る男の顔を、私は藤沢駅前のコンビニで見つけた。その雑誌が、表紙を飾るその男の特集号であることを確認した私は、いつものように立ち読みすることなく、その雑誌を購入した。男の名前は、



「清原和博」



である。






「球場に来てバットを振って、そこで稼いだ金で高級外車を乗り回し、美人を連れて高い酒を飲む。それがプロです。プロ野球選手が必死に努力してる姿を見せるなんてカッコ悪いんですよ。誰も出来ないような事を、バッと出来るように見せるのがプロなんです。」






以前、とあるインタビューでそう応える清原の映像を見て、私は清原のプロ意識に触れたような気がした。心の底から本気でそう思っているのかは解らなかったが、




「人に夢を与えるのがプロ」



という事を、彼はしっかりと自覚していたのだろうと思う。





毎年、好成績を残しながらもタイトルを取れなかった事や、ケビン山崎との肉体改造、桑田との確執など、清原は様々な話題を振り撒いてきた。しかし私の中に最も強く印象に残っているのは、それらの出来事ではない。







吉原の色里に遊びに行く清原の姿がFridayされた時、私はそこに写る彼の姿に強い感銘を受けた。






清原はビシッとしたスーツ姿で、両手で大きな花束を抱え、それを彼が贔屓にしている女性にプレゼントしていたのである。


それと同時期に、同じく色里で遊ぶ姿をキャッチされ、無様に慌てふためいていた出川哲朗とは違い、清原はその女性に堂々と敬意を表していた。







昨年のクリスマスイブに、飯島愛さんの遺体が発見された時、その死を悼む声と同時に、彼女の過去を引き合いに出して、罵声を浴びせる声を耳にした。




「あんな仕事をしてたから」




「真面目に生きてないとああなる」










など、世間ではそうした声が多くあがった。




しかし、この世で生きている誰でもそれぞれが何かしらの事情を抱え、何とか生きているのが現状で、飯島愛さんを中傷した輩が言う所の、



[まっとうな生き方]



というのがどういうものなのか、私にはよくわからない。


彼女を中傷した輩のうち、はたして何人が、まっとうで真面目な生き方をしているのだろう。





「俺達の年代の男はさ、皆、飯島愛の世話になってるからなぁ。ショックだけど、ゆっくり休んでほしいよな。」




クリスマスイブの夜、世間の喧騒を忘れての仕事中に、先輩達は口々に彼女の死を悼んでいた。





私は、こういう人間を信用する。




人は皆、自然な成り行きの中で、女性の腹から生まれてきた。




本当の意味で、男よりも女性の方がずっと強いと私は思っている。




自分よりも身体の大きな野郎と向かいあっても何て事はないが、意を決した時に見せる女性の眼差しは、何よりも力強く、私の心のやらかい場所を締め付けるという、



[夜空のムコウ状態]



へと私を導き、それと同時に




「お前にゃ無理だ魚住。」






と、海南大付属高校バスケ部・牧伸一が、私の敗北をそっと告げる。








女性は強い。











先日、私がまったく頭の上がらない女性の1人である姉から、一通のメールが送られてきた。





「これでも読んで、男を磨きな。」



そこに添付されていたURLを開くと、そこには姉の眼から見た私に対する露骨な評価が、くだされていた。










出川哲朗ブログ


[俺の女の口説き方]


http://girlswalker.com/geinou/degawablog/















( ̄▽ ̄;)ちーん。

















どちらかというと、清原に和博に近づきたいと思っている。

夢か幻でいい。

Power of all 大なるままに-2009012011120000.jpg
「すぐに電話がほしい。」



いつもより重たい空気を感じる、たった一言だけのゴリラからのメールを見た私は、トイレに行って彼に電話をした。





「どうした?」




ゴリラは次の日曜日に、結婚式を控えていて、私は受付を担当する事になっていた。




「祝儀ドロがでないようにしっかり見張るからな(^.^)昨日の今日でラーメンの誘いか?」



私はペラペラと喋り続けたが、ゴリラの反応は薄い。ゴリラはゆっくりと、穏やかな口調でこう言った。






「あのさ…結婚式出来なくなっちゃったんだ。」






「…なんかあったのか?」










「嫁さんが倒れて、腹の中の子も死んだ。嫁さんは今ICUに入ってる。とりあえず結婚式に来る事になってた奴らに、連絡を回して欲しい。」






日頃、誰に対しても強気な姿勢を崩さない彼の声色が、驚くほど弱気になっていた。私は唖然となりながらも、冷静な対応を心がけた。



「わかった。しっかり伝えとくよ。病院は…けいゆうか?」



「ああ。」



「すぐに行く。」




私は会社を早退し、桜木町の病院に向かった。









その電話がきた前日も、私はゴリラと共にラーメンを食べに、環2家に行ったばかりだった。車中の話題は無論、彼の結婚についてと、子供の事だった。





「予定じゃ女の子なんだろ?」



「そう。女の子。でも俺は男がいいんだけどな。女の子じゃ心配で仕方ないよ。彼氏とか出来て、そいつがDVとかだったら…たまったもんじゃねーだろ?」





「ないな。そんな事になったら、俺はその男に、

[本当の暴力とは何か]

を徹底的に教えてやるね。つーか俺に娘ができたとして、その彼氏が娘に[お前]とか言った時点で俺は許せない。それ以前に声をかけるのもやめてほしい。」




「そんな彼氏は殺すしかないよな。(^.^)あ~。なんとか男になんねーかな。」




「女の子の予定でも、男が産まれてくる場合だってあるだろ。俺も女の予定だったらしいしね。名前も[大]じゃなくて、[知佳]って決定してたんだ。だから俺の事は知佳って呼んでもいいよ。」




私の言葉を聞いて、ゴリラは楽しそうに笑った。





車の中では、年末に発売されたばかりの80年代ヒットのベストアルバムが流れていた。



[結婚式でかける曲を一緒に選んでくれ]



と、私はゴリラに頼まれた。



ポル「じゃあ…とりあえずZIGGYで。」



ゴリ「グロ~リア~♪ニージュアラ~ブ♪おま~えの熱いハートあ~♪」



ポル「じゃあフォルテシモ。」




ゴリ「あ~いが~♪すべ~てさ~♪今こそ~♪ちかーうよ~♪」





その後、私達はプリンセス・プリンセスや、鈴木雅之を立て続けに熱唱した。ラーメンを食べた後も、ゴリラは娘の将来について嬉しそうに語り続けていた。










病院に到着し、私はまっすぐにICUに向かった。病室から出てきたゴリラは、憔悴した表情で私に話し掛けてきた。



「来てくれてありがとう。まだ嫁さんの状態は回復しない。とりあえず、今日は親族以外は病室には入れないみたいなんだ。明日になったら多分面会できるから、嫁さんを励ましてやってくれ。」



私は頷いて、ゴリラの左胸にパンチをいれ、外に出た。










翌日、私はゴリラの家にゴリラと嫁さんのご両親を迎えに行き、病院に向かった。ICUでの面会を許された私は、様々な医療機具に繋がれたゴリラの嫁さんに対面した。痛々しい姿に言葉を失ったが、嫁さんは会話も普通にでき、笑顔も見せていた。


母体には大きな負担がかかっていたようだが、正常な機能を取り戻せるメドもたったようで、ゴリラは一安心した様子だった。


しかしあれほど楽しみにしていた結婚式と、春に産まれてくるはずだった子供の2つを同時に失ったショックが大きい事には変わりなく、私はどう言葉をかけていいのか解らず、ただ彼の側にいた。


病室を出ると、ゴリラが私に声をかけてきた。



「明日、赤ちゃんは火葬されちゃうんだけど、その前に…見てやってくれないか?今日の夕方からなら見れるから。大ちゃんに抱いてやってほしいんだよ。六百グラムしかないけど、ちゃんと手足がついてて、立派だから。」





「わかった。後でくるよ。」






私は一度帰宅し、再び病院を訪れた。









指定された病室に行くと、ベビーベッドを眺めるゴリラの姿があった。





「俺の娘だから見てやってくれ。」




私は、暖かそうに布団にくるまる赤子に眼をやった。普通のサイズの約6分の1しかない女の子だったが、その姿形は間違いなく人間のそれで、優しいあどけなさが、顔の表情に滲み出ていた。今にも動きだしそうで、ただ眠っているだけのように見えた。



「身体から水分が抜けて大分見た目が変わっちゃったけど、手足が長くて俺みたいだろ?俺の大事な娘だから、抱いてやってくれよ。」



ゴリラは赤子を抱き抱え、私の両腕に預けた。










涙が溢れた。












両腕に伝わる彼女の命の重さと、もう二度と彼女が動く事はないという確かな現実が、私の背骨を揺さぶった。








誰だって、死ぬのは恐い。







しかしゴリラの娘は、その恐怖と戦った。この世にいれたのは、ほんの僅かの時間だったかもしれないが、彼女は小さい身体で死と向き合い、独りで旅立った。とても強いと思った。













「この子が生きたということを、ずっと忘れないで欲しい。」












真っ直ぐな視線をこちらに向け、私の手を強く握りしめたゴリラの温かい掌から伝わる無念が、何とも言えずに切ない夜だった。












赤ちゃんへ




















ずっと忘れないからな。
<< 前のページへ最新 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17