ルイス・ネリ vs ブランドン・フィゲロア | R I N G C H E C K !

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無茶苦茶楽しみにしていたWBA&WBC世界スーパーバンタム級王座統一戦。 山中慎介選手を(あらゆる意味を込めて)2度に渡り愚弄し、完全に “ 日本国民の敵 ” となってしまったWBC王者 “ パンテラ ” ルイス・ネリ (前戦でSバンタム級王座も獲得し2階級制覇)と、 兄オマールを超えるテクニックを誇るイケメンWBA王者 “ ハートブレイカー ” ブランドン・フィゲロア 、大注目の一戦です。





▼ ルイス・ネリ vs ブランドン・フィゲロア







これまた大方の予想を覆すフィゲロア弟のクロスレンジ選択。初回こそ様子を見たものの、2Rからはほぼクロスレンジを選択し、フィゲロア弟の方がネリに圧力を掛けていく展開。おそらくネリ陣営はフィゲロア弟がスイッチを繰り返しながら長いリードを突いてボクサーファイトしてくる展開を予想していたと思うので、この辺の駆け引きはフィゲロア弟陣営 実に老獪。クリンチ際の片手引っ掛けやラビット気味の組み際の削りなど含め、ダーティさでもネリの上を行くフィゲロア弟の徹底ぶり。





クロスレンジで長身のフィゲロア弟から身体を預けられたネリの方はというと…まさかの展開に面食らったのか(もしくはそれ以上に元々のボク幅が無いのか)正面から連打で押し返しに掛かるも…ここら辺はクロスレンジのマジック、身体ごとフィゲロア弟に圧し掛かられ、後方に正中線を大きくズラされたネリ、元々オープンブロー気味のラリアット打法な上に、所謂 “ 引き打ち ” 状態を強いられ、攻撃を仕掛けているようで、その実 見事にスタミナだけを奪われています。





この展開の場合、ネリはポジショニングの段階で先手を取られているので、位置関係を変えずに その場で強引に押し返そうとしてもジリ貧なだけなのですが…愚直にネリは押し返そうとします…セミの ダニエル・ローマン がエスピノザのプレス&アタック対策として遂行したようなボクシング…取られたポジションを瞬時にまずしっかり取り返す(もしくはウィーブなどのディフェンスボディワークからカウンターを返す)、ヘッドハンティングになりがちな展開を自制して徹底的にボディに集める、といったような パワープレイに寄らないボクシング幅がネリにあれば…大分試合展開は変わっていただろうと思います。





フィゲロア弟はスイッチを繰り返しながらも 放つ左右パンチには独特の当て勘あり。ネリのパンチの打ち終わりに丁度自身のパンチが着弾するような裏打ちタイム感のナチュラルカウンター打法…クロスレンジの攻防でもネリを上回ります。また、オフェンス同様にディフェンスにも独特の “ 受け勘 ” とでも呼ぶべき致命打ズラし感覚があり、ネリの凶悪なパワーショットに対して基本のヘッドムーブだけでなく、オデコ受け、スリッピングアウェイで決して芯には貰いません。















ジリ貧状態から抜け出そうとバックギアに入れサークリングを始めたネリでしたが…戦略でも戦術でも完全にアドバンテージを握られているフィゲロア弟に対しては、単なるネガティブアプローチになっただけでした。7R 決定打となったボディショットもやはりパンチ交錯中、フィゲロア弟の独特な当て勘が生きた一発でした。





こうして3年越しに日本国民の留飲を下げてくれたフィゲロア弟、強いです。これまでも左右スイッチ、ミドルレンジでの差し合い、カウンタータイミング、非凡な物がありましたが、今回ネリに対してこういった戦略・戦術でダーティファイトの部分でも凌駕していたのは素直に脱帽です。 フルトン との3冠戦も非常に楽しみですね!














◎ 結果:フィゲロア 7R KO勝利