オレクサンドル・グウォジク vs アドニス・ステベンソン | R I N G C H E C K !

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こちらも超 ~ 楽しみにしていたスタイルウォーズ ! ! WBCライトヘビー級統一戦。










快進撃を続けるロンドン五輪銅メダリストのウクライニアン、 暫定王者の グウォジク と、 一撃必倒の左バズーカ砲を誇りつつ、 保守的マッチメイクで長期政権を築き上げた ( 言い過ぎ ^ ) スーパーマン ステベンソン との統一戦。




五輪上位陣も続々世界獲りに成功を収めていますね。 個人的には世間一般で言われているほどステベンソンの実力に疑問を持ってはいませんが、 今回は さすがに些か分が悪い相手だなぁ、 という事前予測は 勿論 立てておりました …





▼ オレクサンドル・グウォジク vs アドニス・ステベンソン






初回から真っ直ぐプレスし、 前足を思いっきり踏みながら左バズーカ砲の脅威を明確に示すステベンソン、 いきなりの強振にグウォジクは何度か被弾してしまうも 、 表情もペースも崩さず、 あくまで冷静に足と手を止めずに距離合わせに徹しています。




ステベンソンの得意なカウンタータイミングは、 オーソがワンツーで飛び込んで来る際のワンとツーの間。 相手のワンで小さくテイクバックし、 ツーより先に着弾させる。 ここに左バズーカ砲の照準を常に合わせています。




しかし … 相手はグウォジク … かつてのウクライナトップチームの中でも、 ウシクとグウォジクは クラシックなスタイルとハイテクな多軸性が 特に優れたバランスで融合しているタイプ。 彼らはオーソドックス、 サウスポー、 いずれのスタンスに対しても距離合わせで苦労するシーンは ほとんど見せません。 今回も高いモビリティと連動したコンパクトなショットで、 徐々にステベンソンのシンプルな外装を剥がしていきます。




グウォジク、 ワンツーでのアタックをステベンソンに狙われている事を察知すると、 ジワジワ目の前でプレスしつつ、 ワンツーをジャブワンツーに変化させてみたり、 上体を大きく左にスリップさせながら いきなりの二軸の右など、 自身のフレーム、 フィジカルアビリティを生かしたパンチで2R以降は終始リングジェネラルシップを掌握していく。 3R冒頭には早くも強烈な右クロスを被せ いきなり幻のダウンを奪う ( 何故かレフェリーはスリップと判断 )




以降Rも、 ステベンソン 時折の左バズーカ砲の脅威は失われていないものの、 距離が合い コンスタントにパンチをヒットさせているのはグウォジク という展開が続く。 グウォジク、 中盤には最早活殺自在なレベルでステベンソンをコントロール。 ステベンソンの右ジャブからの強烈な左ボディを軽く左にサークルしてスカすシーンなどは … とてもライトヘビー級のモビリティとは思えません … 。




10R ハーフタイム付近、 ステベンソンが意地の左バズーカ砲を炸裂させ、 明確にグウォジクの腰が落ちましたが … この最後のチャンスをステベンソンは生かす事が出来ず … 同R終盤には逆にグウォジクにまとめられてしまう、 そして運命の11R …














これまた二軸の右からの … 冷酷な連打 …












危険な倒れ方をしたステベンソンは、 そのまま 集中治療室へ搬送 … まさに時代の変化・世代交代を感じざるを得ないシーンでした。




しかし改めてステベンソンを省みれば、 売春斡旋と暴行罪でムショ務めを終えた27歳という年齢でボクシングを始め、 アマでは世界選手権やコモンウェルスゲームスに出場、 29歳でのプロデビュー、 そして35歳での世界タイトル獲得。 ヘスス・ゴンザレス、 チャド・ドーソン、 タボリス・クラウド、 サキオ・ビカ、 アンドレイ・フォンファラ、 バドゥ・ジャック … S級とは行かぬまでもA級の強豪と豪快に渡り合ってきた現在41歳 ( ! ) ですよ。 ハイテク世代の台頭 & 技術革新目覚しいボクシング界において、 その代表格のような選手を目の前にしても尚、 自身の豪打を生かす事を中心と捉えたシンプルなスタイルで終盤まで意地を見せてくれました … グウォジクは確かに隙の無いパーフェクトなボクサーファイターであり新チャンピオンだと思いますが、 ステベンソンもまた ( 一時期の保守的な部分も含め ) 魅力的な王者でした。 素晴らしいタイトルマッチを魅せてくれた 両選手に拍手。





結果 : グウォジク 11R TKO勝利