アミール・カーン vs デボン・アレクサンダー  -  その2 | R I N G C H E C K !

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打撃系格闘技の練習や試合についてのブログでしたが、
現在は海外ボクシングとムエタイの記事が中心です。
知り合い・近親者向けに書いています。





ここから本編です。




※ あくまで個人ブログの私見なので流し読んで反論も下さい





▼ アミール・カーン vs デボン・アレクサンダー






結論から言うと
この試合のペース取りを決定付けたのは
両者の足の位置です。




初回からカーンのアタックのきっかけは 左ジャブ。




バージル・ハンター指導下になってから
より顕著になった鋭い左ジャブです。




カーンはこれを左にサークリングしながら
常にアレクサンダーの前足の外を位置取りし
やや左方向からMAXのスピードで放ちます。




これがアレクサンダーの右を弾いて
実に効果的なアタックのきっかけとなっているだけでなく、
左外側にポジショニングし左を振っていく一連の動作が
左の被弾を嫌うアレクサンダーに左回りを誘発させています。




1R~12Rまでじっくりアレクサンダーの
フットワークに注目してみてください。
試合中8割以上の時間において
左回りを強いられています。




元々アレクサンダーは右利きの矯正サウスポーなので
左回りを多用するタイプではありますが
ここまで一辺倒になることはないですね。




無論、カーンの強打に対して、
正面から右を強振して左をフォロー出来るポジションを
取る為に、セオリーを捨てて左回りに終始した、
という可能性も無きにしも非ずですが、
自らの意思でフットワークの方向を律しているなら、
ボクサーファイターであれば必ずターンを多用して
方向転換を図るはずです。




リゴンドーやロマチェンコだったら要所要所で
ターンして方向転換するか、サークリング
或いはピボットで角度を変えていたはずです。




この試合でのアレクサンダーのフットワークは、
これだけのボクシングの幅を持つカーンに対して
明らかに単調過ぎるし、カーンの戦術にコントロール
されていたと言わざるを得ません。




反対にカーンのポジションを見てみましょう。




終始アレクサンダーの外側に位置し
オーソドックスとしてパンチを振り易い位置取りが図れています。




時折アレクサンダーが強く左を振ってきても、
左回りのアレクサンダーからカーンは常に遠い位置に居る訳で、
カーン自体も左に位置取りしているから
まずクリーンヒットは難しいです。




逆にカーンはその左を難なく外し、そこから右ストレート、
左フックを被せるといったオフェンスに繋いでいました。




アレクサンダーの右フックと右ジャブだけは
カーンも丁寧に外していましたが、逆に言うと、
その右だけに気を付けてディフェンスすれば、
あとは自分の攻撃に集中出来る訳で、
そういう意味でもカーンとしては
やり易かったでしょう。




中間距離では常にこの展開が続き、6R以降は
更にカーンの足までも自在な動きを見せだし
同時にパンチの幅も増えました。




加えてクロスレンジでは1の記事に書いたような
カーンのMAXスピード連打の脅威に晒され、
アレクサンダーも何とかパンチを返していくも
警戒しながらの引き打ちに終始してしまいます。




やりたい事が何もさせてもらえないアレクサンダーは
時折ノーガードを取ってみたり、
必要以上に低くスタンスを取ったり、
状況の打開を図りますが …




根本的な戦術の面で封じ込められているので、
ただの苦し紛れの行為にしかなっていません。





最終12Rをよく見てみて下さい。




もはやどっちがサウスポーかオーソドックスか分からないほど、
オーソドックスのカーンが完璧に距離を支配した
自由自在なボクシングを展開し
サウスポーのアレクサンダーの方が
愚直なボクシングでの挽回に努めています。




完全に勝負あり。




アレクサンダーが明確に取ったRは一つもありませんでした。




1点もアレクサンダーに付けなかったジャッジが居たのも頷けます。





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この試合だけでなく、最近のプロやアマの試合を見ていて、私は、
「 サウスポーがオーソドックスより優位だという時代は終わった 」
と思う事が多いんです。




サウスポー優位という定説から爆発的に増えたサウスポーの選手達。




彼らは もはや マジョリティではありません。




サウスポーに対するオーソドックス達の研究は
今や かなりのレベルにまで進んでいます。




しかしながら・・・・・・




「 これからはオーソドックスの時代だ! 」




なんていう風にも 当然 思いません・・・・・・




左右スタンス同士研究し合っていっても
それは所詮 鼬ごっこですからね・・・・・・




だからこそ・・・・・・




私は最近
PFPに いつもテレンス・クロフォードを
推してしまうのかもしれません・・・・・・





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変な着地で、すいません。




今回は二記事に渡って
カーン vs アレクサンダー の
感想を書かせてもらいました。




最後までお読み下さり、有難うございます。