和解成立後③ FEAR からの続き
ユリは僕のことを「おじさん」、再婚するというユウヤのことを「パパ」とカイトに教え込もうとしていました。
それに対して猛烈に抗議した僕に対して、ユリは相変わらずののらりくらりで、態度を変える様子もありません。
それでも僕は、裁判所で「約束したこと」を守るために、その間もずっとユリたちの家賃を払い、生活費を出し続けていました。
そして、もしユリが再婚してカイトも一緒に住むのなら、再婚する相手というユウヤも一回きちんと見ておかなければいけないと思い、腹立たしい気持ちを抑えてユウヤと会い、話をする機会さえ持ちました。
正直、ユリがとんでもない悪党に騙されているのかもしれない、という疑いもあったんです。
ユリは僕から和解金として何千万もふんだくったわけだし、その金目当てなんじゃないか、って。
ユリが詐欺師に騙されて、金を取られて捨てられたとしても、それは大人であるユリの責任だけれど、カイトに危険が迫ったらまずい、と思ったんです。
でも会ったユウヤの印象は、最大限によく言えば「優しそうな人」でした。
つまり、ユリには全く逆らわないんだろう、と。
いいことでも悪いことでも、ユリがこうしたいと言ったら、どんなことでも、はいはい、とそのままやるんだろうと思いました。
ユウヤはユリの高校時代の同級生でした。
察するに、その時代からずっとユリを追いかけていて、なんでもユリの言うことを聞いてきた従順な存在がユウヤだった。
だから、前の旦那(=僕)の名前でクリニックに行って精子を出して来いと言われても、怒りもしないでおとなしく変装(※)して行って、精子を出してこれたんでしょう。
(※サングラスをして帽子をかぶって精子を出しに行ったそうです。クリニックもそんな姿で採精しに来た奴に、本人確認取ってないんだよね。どっちもおかしいよね)
会った時、ユウヤは僕に、言いました。
「ユリの希望は僕と結婚して、生まれてくる子とカイトと一緒に、1つの家族として暮らしていくことなんです。
僕もカイトを自分の子供のようにかわいがっていますよ。
どうかカイト君のためにも、養子縁組をさせてください」
つまり、「親権をこっちによこせ」ということ。
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