海外での離婚③ アメリカの離婚「養育計画」とは? からの続き

 

 

というわけで、最初にそのオリエンテーションを受けて、離婚する夫婦は2人とも、「子供は別れても自由にどちらの親とも会えるもの」「何より優先させなければいけないのは、子供にとっての幸せ」という認識をはっきりさせた上で、養育計画を作成することになります。

 

基本、どの国でもそうですが、裁判での審判に進むとお互いのけなし合いが絶対に始まるし、揉めれば揉めるほど弁護士費用も掛かり、精神的にもお互いが消耗し、葛藤がどんどん深まる。


だから、「こういう取り決めが、子供のことを誰よりもよく知っている親同士の間で、先にきちんと同意できていますよ、これが子供のために一番いいことですよ」という計画を調停員のアドバイスを元に作成し、揉めずに裁判所に提出して収めましょうよ、ということが勧められるわけです。

 

どっちが浮気したとか、お金を使い込んだとか、とにかくそういう離婚の理由はそこでは問われない。「子供がどうしたら離婚後も幸せに生きていけるか」に集中するんです。

 

また、DVだとか児童虐待、果ては子供への性的な虐待等が疑われる場合は、例えばカリフォルニアでは児童虐待の専門機関、子ども家庭サービス局(Department of Children & Family Services, DCFS)が連絡を受け、本当にそういうDV行為があったかの客観的調査を入れます。

 

双方の親、また子供からも話を聞き、証拠もない一方的な話で突然DV認定したりはしません。

 

そして、DVだとか虐待だとか言われるケースが大体高葛藤なのは最初から察しが付くわけですが、だからといって子供と親との面会が即禁止になるというのはほとんどない。

 

もし本当にDVや児童虐待があったと認定された場合でも、監視付の面会は認められることが多い。

 

それは基本にあるのが、会わせないことが問題の解決にはならない、子供にとっては父と母の両方が大切な存在、むしろ継続して会わせていくことで問題が解決したり、未然に防げたりすることがある、という認識を社会が持っているから。

 

 

それはやはり、行政の努力も大きいと思う。

 

 

正直、会わせないとやっぱり養育費を払わなくなる一方の親(たいてい父親)が多いんですね。

 

そうなるとひとり親家庭の貧困化が進む

そうした家庭への保護予算が拡大して、行政が倒れそうになる

これではあかんから、責任ある親本人にとにかく養育費払わせよう

そのためには会わせ続けて、目の前に現実に子供がいる状況を作ろう。

 

とした行政府の苦しい懐事情等があったのも事実でしょう。

 

でもそれって、今の日本でも同じような問題が議論されているように思います。

 

 

また、それだけきちんと面会交流を行わせられる背景には、連れ去ったら連れ去った方が大変なことになる、という認識がきちんとできているということもある。

 

面会交流を邪魔する・無視する親には、「法廷侮辱罪(裁判所で約束したことは裁判所命令となるので、裁判所の命令を守っていないことになる)」による収監、罰金、監護者変更、損害賠償等々の請求を行うことができますし、本当に転居先も告げずに子供と引っ越して、行方不明になる様な連れ去りの場合は、カリフォルニアでは地区弁護士事務所の子供誘拐部門に通報すれば、係官が子供の連れ戻しを行うことができます(州によって機関は異なりますが、基本は同じです)。

こうして、一度収監されたり子供を係官に連れ戻されたりしてしまったら、監護権を取り上げられたり、子供と会う時に制約がつけられたりして、面倒なことになる。

 

つまり、連れ去ったら大変だってわかっているから、普通の知能がある普通の人だったら、連れ去ろうという判断にはならないわけです。

 

 

僕は本当に、今僕らが日本で抱えている問題って、この辺にあると思っている。

こういうことがきちんとしていたら、僕たちは今こんな目に遭っていない。


連れ去った親だって、はっきり面倒なことになるとわかっていたら、連れ去ったりしない。
面会交流に関しても、「一回会わせたら今度は相手に連れ去られるかもしれないから、絶対に会わせない」みたいな話にならない。

 

つまり、子供の連れ去りを巡ったドロドロの高葛藤というのは起こり辛い。

 

逆に、連れ去ってもOK、むしろ先に連れ去ったもの勝ちの現状があるから、日本では連れ去りが起こるんです。

 

要するに、家裁がよく言う「高葛藤」とは、家裁自身がそうさせちゃっているからじゃないの?って僕は思わずにはいられないし、アメリカ政府が日本のハーグ条約締結後の対応が変わらないのに激怒しているのは、そういう認識の違いがあまりに大きいからだと思います。

 

 

※現在、仕事多忙につき、今週はあまり更新できないかもしれません。

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海外での離婚② アメリカの離婚セミナー からの続き

 

断っておきますが、僕は何でもアメリカのやり方の方がいいと言っているわけではありません。アメリカ社会にも問題は山積みだし、日本の方がずっといいと思うシステムもある。

 

ただ、こと離婚後の子どもの問題に関しては、日本ははるかに遅れていて、子供たちの最善の利益からは程遠い状態でいるのが現状だと言わざるを得ない。

 

僕がざっとネットを見渡したところ、そういう情報ってあまり見当たらなかった。
なので、具体的にどこがどのようにそうなのか、というのを、僭越ながら(笑)僕ができる限りでわかりやすくお伝えしていきたいと思います。

 

 

裁判所での裁判離婚が基本のアメリカでは、離婚の際、夫婦が離婚するということだけでなく、子供がいれば子供のことをしっかりと決めてからでないと、離婚ができません。

 

離婚後の子どもの監護(日々のお世話のこと)や面会交流に関しての取り決めを、「養育計画(Parenting plan)」といいます。

 

大抵どの州でも子供がいる場合の離婚は、僕の知る限りではこの「養育計画」を決めてからでないと、離婚が認められません。

 

離婚届の親権者の項にチェックで、あっさり離婚後の子供の話が終わってしまう日本のシステムというのは、僕にとってはむしろカルチャーショックでした(笑)。

 

とにかく、離婚と養育計画はセットでやってくる、と考えてください。

 

アメリカの現在の離婚後の子どもに対する考え方は、「親と子ができる限り頻繁かつ継続的なコンタクトを維持すること」です。とにかく、できるだけたくさんどちらの親にも会わせよう、というのが基本にある。


養育計画はこの考えに基づき作成されます。

 

これは、いつどのような形で親と子が会うのか、子供の学校や健康、福祉等に関する問題をどのように決定していくのか等を決めるものです。また、子供の前で他方の親の悪口を言ってはいけない、夏休みや冬休みはどう過ごすか、他方の親に会いに行くときの送り迎えはどうするのか等、離婚しようとしている二人の現状に合わせて、細かな約束事項まで決めることができます。

 

ただ、離婚するってやっぱり夫婦が揉めて関係性が悪くなったからそうなるものですから、「一緒に仲良く離婚後の付き合い方を考えて、子供のための養育計画を作りましょう」とか言われても、普通に考えて最初の反応は「ムリ!!」ですよね。

 

というわけで、そこで昨日言ったオリエンテーション的なセミナーをまず受講しなければならなくなるわけです。

 

理由はともあれ、お互いがどれだけ最低の人間かを裁判所にアピールしても無駄なこと。

 

子供を相手に会わせなかったり悪口を言ったりすることは、子供にとって害にしかならない。

 

離婚したら関係を割り切って、子供のために協力していくことが、子供の幸せのためなのだ、まず子供の幸せを考えよう、とまずそこで「教育」が行われるわけです。

 

 

続きます

 

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海外での離婚① ナイト・ミュージアムからの続き


多くのアメリカの州では、子供がいて離婚する際、裁判所命令で「Families in Transition Seminar(転換期の家族用セミナー)」などと呼ばれる、離婚後の家族の付き合い方のセミナーに参加することが義務付けられています(アメリカの離婚の基本が、裁判所での裁判離婚、というのを思い出してくださいね)。

 

例として、ジョージア州のセミナーの紹介文をちょっと抄訳してみました。

 

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経験のあるカウンセラーとセラピストによって行われるこのセミナーは、子供の成長の過程、その中での親の役割の変化、子供と両親との関係を豊かにするための面会交流の提案等といった内容で行われます。

 

離婚は家族にとって、とりわけ急にひとり親の家庭で暮らさなければならなくなる子供にとって、非常に難しいプロセスとなるでしょう。調査によれば、子供が最初に見せる離婚への反応は、見捨てられることへの恐怖です。従って、両親は双方で子供たち一人ひとりに対し、子供と常にコミュニケーションを取り、彼らが見捨てられるわけではないということを繰り返し伝えていかなければなりません。両親の間に離婚が起こったことで、子供たちが自分自身を責めるというのはよく見られる現象です。そして親は、親が別れることになったのは子供たちの責任ではないのだということを、双方の言葉で何度も繰り返して子供に伝えていく必要があるのです。

 

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日本でも、子供が産まれる前に母親学級や父親学級に行くのと同じ感じで、離婚後の両親学級を自治体が企画し、離婚する人全員に強制参加させたらいいのにと思うけど、「これから離婚します~」というクラスに出るのはみんな嫌でしょうか(笑)。


でも離婚するのは親の責任なんだから、子供のためにもぜひやったらいいと思う。

子どもがいる場合、離婚届に「セミナー参加済」のハンコがないと、離婚届けが受理されないとかにしたらいい(笑)。

 

 

実際、今のままの当事者任せの形では、何も変わらない。

 

自治体が思い切って介入して、こういうことを積極的に教育して促進していかなかったら、

 

・子供を連れ去った方の親が、自分が嫌だから子供まで連れ去られた方の親に会わせなくてもOK!

・連れ去られた方も養育費払わなくてOK!

・子供が精神的にも経済的にも不安定になってOK!

・結局子供自身が苦労してOK!

 

って無責任な悪循環が変わらないよね。

 

 

アメリカの調査では、子供とちゃんと面会ができているほど、ちゃんと養育費も払われるという結果が出ている。それは別に国に限らず、普通に人としてどう考えても、そうでしょう。

 

精神的な面でも、実質的な面でも、離婚してもどちらの親も育児に関わり、ずっと子供と付き合い続けていくことが、子供のためにも親のためにも、ひいては社会のためにもなると、僕は思います。

 

 

昨日のナイト・ミュージアムの話に戻ると、無職でブラブラしながら夢物語ばかり語る、どうしようもないダメ男だったラリーが、何とかしなきゃと奮起したのは、息子のためだった。
あれで息子に会うことまで完全にストップされてしまっていたら、ダメ男のラリーはそのままダメ男のままで死んでいたかもしれない。

 

さらに、息子のニッキーも、最初はダメ親父のダメぶりにうんざりしていたけど、ちゃんと仕事をして、博物館で夜のドタバタを一緒に楽しみ、最後には博物館のピンチを救ったラリーが、ルーズベルト大統領に「君の父親は偉大な男だ(Your father is a great man.)」と褒められ、「知ってます(I know.)」と答える辺りで、本当に嬉しそうな顔をしていて、例え離婚した後でも、自分の実の父親(母親も)が素晴らしい人なんだと思いながら成長していくことが、子供にとってどれだけ大切なのかとしみじみ思いました。

 

一方的に連れ去って、いない方の親の悪口を子供に吹き込み続けている親に、本当に知ってもらいたいと思います・・・。

 

 

続きます

 

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