リカバリー
リカバリーされる事は無い
かさぶたが出来て
それが取れるだけだ
それは回復では無い
そうして日々を過ごすうちに
忘れてゆくだけだ
本当の私たちに宿る霊の回復は無い
忘却と
純粋な回復は違う
リカバリーされる事は無い
かさぶたが出来て
それが取れるだけだ
それは回復では無い
そうして日々を過ごすうちに
忘れてゆくだけだ
本当の私たちに宿る霊の回復は無い
忘却と
純粋な回復は違う
リカバリーされる事は無い
2009/06/05
彼は自分が音楽を奏でれない事を悲しんでいた
彼は中途半端な自分の脳髄を悲しんでいた
それでも自殺未遂は繰り返された
しばらく経つと
彼は又海の絶壁に佇んでいた
特に大きな思想はいつも無かった
全ての彼の呼吸してる時間
彼を培うものがただそうさせた
彼は人並みに苦悩もしたし闘いに身を投じもした
けれどしばらくすると
又崖から飛び降りた
崖の上では彼の頭は茫洋としていた
彼が年老いてないとしても
これまで生きてきた彼の記憶は
その場特に思い出されなかった
苦しみも思い出されなかった
思想も無かった
狂言めいた事もしなかった
靴は脱がされて
いつもきちんと剥き出しの両足で立っていた
私はいつかいつかと思っていた
いつかいつか彼がこの世から去るか
いつかいつか彼もまあまあ生きのびるのかと
私には彼に何かしてあげる事は出来ないのは知っていたし
この世の誰も彼に何かをする事は出来なかった
そしてそれを彼自身が一番知っていた
病院に訪れる度
私はいつもそう感じていた
見舞いに訪れると
彼も私も笑い
普通に話をした
彼は中途半端な自分の脳髄を悲しんでいた
それでも自殺未遂は繰り返された
しばらく経つと
彼は又海の絶壁に佇んでいた
特に大きな思想はいつも無かった
全ての彼の呼吸してる時間
彼を培うものがただそうさせた
彼は人並みに苦悩もしたし闘いに身を投じもした
けれどしばらくすると
又崖から飛び降りた
崖の上では彼の頭は茫洋としていた
彼が年老いてないとしても
これまで生きてきた彼の記憶は
その場特に思い出されなかった
苦しみも思い出されなかった
思想も無かった
狂言めいた事もしなかった
靴は脱がされて
いつもきちんと剥き出しの両足で立っていた
私はいつかいつかと思っていた
いつかいつか彼がこの世から去るか
いつかいつか彼もまあまあ生きのびるのかと
私には彼に何かしてあげる事は出来ないのは知っていたし
この世の誰も彼に何かをする事は出来なかった
そしてそれを彼自身が一番知っていた
病院に訪れる度
私はいつもそう感じていた
見舞いに訪れると
彼も私も笑い
普通に話をした
2009/06/05
川に流されたし
岩の苔にぬめり導かれながら
のろのろとたゆたい
それでも少しずつ
確実に流されながら
全ては置いてゆく
私はこの身
裸体となって
一人流さるる
途中裸体から流れる
かすかに岩や石に傷ついた
血を
その行く末見守りながら
岸に淀み
それでも確かに
私は先へと流され
真っ逆さまに落ちる
滝壺めがけて
私の裸体はゆらゆら
前へと流れ
向かうは轟音に記憶消される滝壺へ
私の生きてきた記憶は
そこで消され
私はただの物体と化す
ついに激流の坂を降りる時
私の視界にちらりと
彼は何なのか
小さな名前も分からぬ魚が映った
岩の苔にぬめり導かれながら
のろのろとたゆたい
それでも少しずつ
確実に流されながら
全ては置いてゆく
私はこの身
裸体となって
一人流さるる
途中裸体から流れる
かすかに岩や石に傷ついた
血を
その行く末見守りながら
岸に淀み
それでも確かに
私は先へと流され
真っ逆さまに落ちる
滝壺めがけて
私の裸体はゆらゆら
前へと流れ
向かうは轟音に記憶消される滝壺へ
私の生きてきた記憶は
そこで消され
私はただの物体と化す
ついに激流の坂を降りる時
私の視界にちらりと
彼は何なのか
小さな名前も分からぬ魚が映った