恐る恐る扉を開けた…
そこには…




















大きな大きな背中がぁ

ひろしさんはまだ居た。
僕はカウンターに入り、何故か又ビールを抜いた。
そして話の続きを聞いた。
高架沿いの真っ暗な道を歩いている時急に涙が出て来たと言う。
寒くて、お腹が空いて、
そして、
ただただ、淋しくて、
涙が止まらかったと言う。
その時、母親を思い出し、声を出して泣いたと言う。
一人大声を出して泣いたと言う。
その後は、悪い考えは消えてしまっていたと目を丸くして僕に訴えかけた。
「お母さんがひろしさんを助けてくれたんですよ…罪を重ねてほしくないんですよ。」と僕は言った。
ひろしさんの目は潤んでいた。
(僕はついさっきまでひろしさんに罪を犯させる作戦を考えていたのによくもそんな事が言えたものだ。)(けれど本当にそう思った。)
ひろしさんは、よく見ると優しい目をしていた。
ひろしさんは、刑務所に入っている間に母親を亡くした事を悔やんだ。
(僕の実の母親は、僕が小学校二年生の時に癌で亡くなった。)
その時の事をひろしさんに話した。
ひろしさんは僕の話を聞きながら、
「かわいそうに、かわいそうに、」と何度も繰り返し、涙をポロポロと流し、声を出して泣いていた。
つられて僕も泣いた。
しばらく二人で泣き続けた。
……………
いつの間にか
ビールからウイスキーに変わっていた。
そして、僕も酔っ払っていた。
~つづく