とても寒い夜だった…
高架沿いを宛ても無く歩いていると、少しずつ賑やかになって来たらしい。
難波に来ていたのだ。
ひろしさんは人の少ない暗い道を選んで進んだ。
寒い夜だった…
寒くて寒くて寒くて仕方無かったと言う。
寒さが限界に来た時、
ふと見上げると
白い看板が目に入ったと言う。
そして、
吸い込まれる様に階段を下りてしまったと言う。
そこにあったのが僕のお店だったのだ。
僕はひろしさんに、
何でそんな事したか聞いた。
断る事は出来ないとひろしさんは答えた。
ひろしさんは仕返しされないのか聞いた。
わからないと答えた。
僕は又怖くなった。
話を少しそらしたかったので
「ご飯は?」と聞いた。
食べてないと答えたので、お通しに作っていたおでんの残りを出すと、
「美味しい、美味しい」と繰り返しながらペロッと平らげた。
たくさんあったので
又お皿におでんをのせた。
あまりにも美味しそうに食べるので僕も食べたくなり二人で一緒におでんを肴に今度は熱燗を呑んだ。
僕は日本酒が極めて弱く、酔っ払うと大変なんです。
日本酒のせいで気が大きくなってしまった僕は、飲めや歌えや食えやとひろしさんにすすめた。
ひろしさんは遠慮等全くせず「ありがたい、ありがたい」と何度も言いながらゴクゴク呑んだ。
とっくに夜は明けていた。
…つづく