今回、

日本の友人には誰一人

知らせないままの一時帰国

 

 

 

事務的な手続きに忙殺され

多忙を極めた

 

 

 

それでもどうしても

行っておきたかった店が二つある

 

 

一つは何といっても魔法使いのところ

 

残念なことに先日の地震で

東北新幹線が運休となっていたこともあり

訪れることは叶わなかった

 

 

 

もう一つが

2017年香港へと旅立つ前夜に

最後の晩餐をとった店

 

 

2017年1月25日以来

5年ぶりの来訪

 

当時はまだ比較的予約が取りやすい店であったが

 

その後

すっかり人気店に成長し

 

 

一時帰国のたびに

予約を取ろうとするも

取れたことがなかった。

 

 

だが今回はかなり早めから

一時帰国を予定していたため

 

 

まずこちらに電話して予約

特に細かいことは言わず

日時と名前だけを告げ

お店に向かった

 

 

東銀座の駅を出て

お店に向かう

 



胸が高鳴る

 

 

店の前につく


 

 

一息ついて

扉を開ける

 

大将と顔が合う

 

 

大将の顔がほころび

開口一番

「お久しぶりですね!」

 

と。

覚えていてくれた!

 

「お名前と声で

 そうかなと思っていたんですよね」

 

と。

なんとありがたいことか!

 

もうそれだけで胸一杯である。

 

 

出てきたおかみさんも

「おひさしぶりですね」

しかも

「お好きなイクラはもう終わっちゃって」

 

日本にいたときでさえ

行っても一年に1−2回

それなのに。。。

 

席につき

ビールで喉を潤す間に大将が尋ねる

「その後もずっと香港に?」

 



 

一気に縮まる5年間の空白

 

 

「自分がご飯が好きだから」と

初めにトロの握りを持ってくる

独特の構成も変わらず

 

 



ああ。

よかった。

このためだけにでも

日本に帰ってきてよかった

 

 

一口噛み締めるたびに

胃袋だけではなく

 



 

魂を満たしてくれる

 

 



そんなお店は

この日も満席

 

コロナ禍においても

ほとんど客足は途絶えることは

なかったと

「ありがたいことに」

と控えめにいう大将

 

 



流石だ

自分が惚れ込んだ店が

そうであるというのは

本当に嬉しい

 

 

「コロナだから気がついたこともあります」

 

という大将

 

そのとおりだ

自分が

春たちける日に吐露した思いと

同じことをさらりと言ってくれる大将

 

 

 

そうだ

単純に良い店だから

この店が好きなのではない

 




どこか

スピリッツを共有できるものを

感じられるからこそ

 

自分にとっての

Only oneのお店になるのだ

 

 

たっぷりと3時間半



 

 

5年前と基本構成は変わらないものの

全てのクオリティに磨きがかかった

おまかせを心ゆくまで堪能

 



 

コースの終盤にさしかかるころには

御年77歳になられる

大将のお母様もお出ましになり

「お久しぶりですね!

 確か遠くへ行かれていたんですよね?」

 

 

そういうのが一番嬉しい

 

 

ただの高級店や有名店では

決して味わうことのできないもの

 

 

それはこうした

心の交流

 

 

香港に戻りまた頑張るということと

近いうちに必ずや再訪することとを

誓いお店を後にした

 

 

つかの間の日本滞在も

残りわずか。