OldLionの備忘録

OldLionの備忘録

年老いたライオンは錆びない。狩りを続け、振る舞いは日々深みを増していく。
いつまでも自分を忘れず、狩りを忘れぬライオンでありたい。
そんなライオンになるための日進月歩。

新しい仕事に就いて早3ヶ月が経過した。こうして気が向いた時だけ文章に残しているので、後から振り返って、転職したドンピシャのタイミングで記録を残すなんてことはしないわけである。自分が転職した先は、エコシステムビルダーという仕事だ。東南アジアも含めた各国のスタートアップアクセラレーションを担当する組織と一緒に仕事をする。そういう仕事である。どちらかというと日本という国を通してどの分野に強みを持っていくかということを企業や大学や自治体だとかと話をしながら突き詰めて考えていく。

 

前々から、この「エコシステム」という思想に対して強く惹かれていた。

エコシステムというのは、言い換えれば生態系である。普通は生態系をイメージするときにピラミッド型を想像する。例えば人間が頂点に他の生物が劣後してピラミッドの下に位置していくという具合である。実は同じ構造で把握されがちなのが国家同士の関係であったり、企業と個人の関係だったりする。例えば部品組み立てをする国は設計・企画をする国に劣後しているというような単純な図解である。あとは人間を所得によってピラミッド化したり、企業間の関係を系列と親会社という受発注の関係で括ったりといった具合である。経済学ではこの上下関係を雁行型で表したりする。

 

しかし、どの生態系は実はピラミッドにはなっていないことが最近わかってきたわけである。それはどちらかというとバブル型、複数のバブルがお互いにノードで繋がっている、同心円での繋がりを表している。

これまでのピラミッド型・雁行型の果たしてきた罪は少し重いように思う。構造を単純に表す一方で、現実に上下関係や支配関係を連想させ、あたかもそれが社会に固着しているような印象を与えるからである。

 

例えば個人のスキルアップを連想してみよう。ある個人は会社というノードに属することから始まる。しかし、どのノードにも共通するスキル、例えば営業や製品開発によって自己のノードとしての濃度を強化できてくると、より個人のノードと企業のノードの深い結びつきが始まるのである。この時、会社と個人には従属関係が存在しない。そして何より、個人というノードも企業というノードも他のどのノードにも接続可能なのである。

 

しかし、個人には認知の限界が存在し、自己のミッションを遂行することに集中する限りにおいては他のバブルと繋がろうというエネルギーを持つことができない。自分が認知できる範囲でのノードと繋がっている。Facebookで自分と近しそうな人に友達申請を送るか?というと送らない。しかし、近しい人同士はおそらく分かり合えるのである。

 

この同心円でつながる関係を本来的な意味でのエコシステムと呼ぶ。
我々が解決しなければならないのは、世界の関係性がピラミッド型ではなく実はノード型である可能性を伝えていくことにあるだろうと思われるのだ。

 

巷にいわゆる仲人のような人が存在できるのは一般的にこういう理由があるからである。

結婚できないという人を、結婚できそうな人と繋げるというのもそうだし、人材紹介で紹介をしていくというのでもそうだ。

 

エコシステムビルダーというのは、国毎やローカル自治体のエコシステムの可能性について仲人していく仕事なのである。自分達は東京都の下請けだ、、、と考えている自治体は等しく他の都市との連携を模索しなければならない。ましてや国単位でも大きい意味ではそうだろう。

 

この数年間で、この仲人という仕組みがかなり過小評価されるようになっているのが実情である。

ネットで誰でも繋がることができるし、ネットの情報を自己判断することで適切な相手と連携が可能であるという仮説である。あらゆるサービスの限界費用が下がり、エージェンシー費用というものが跳ね上がらないように、自己コントロールできるように、あらゆるものはSaaS化したのである。(この話は別のブログで書いている)

 

しかし実際は仲人は必要なのである。ある種自分には見えていない接続点を客観的にアドバイスをしてもらうことで一歩を踏み出すことができることがあるのである。いやむしろ仲人がこれからの時代の主役になるだろうとすら考えている。

 

というわけで、社会理解に紐づいて、今はこの業界がおそらく一番楽しいのだと思うのである。