千鶴来高校映画鑑賞部  -4ページ目

千鶴来高校映画鑑賞部 

部員二人による活動報告書(および実験的対話型映画感想記)
傑作★★★:わくわく、もう一回観たい!
秀作★★☆:うんうん、悪くないよ
良作★☆☆:まあまあ、こんなもん
凡作☆☆☆:……うん。


映子「君がいると、人生は面白い。「先生と迷い猫」が本日の映画ね」


雨西「世間からはヘンクツと言われる元・校長先生の家に、毎朝やってくる三毛猫のミイ。先立たれた妻を思い出すことに耐えられず苛立つ日々。だが、ミイが突然来なくなるとなぜか心配になり探し始める。そんな中で街の人たちと関わっていき――てな、感じだな」


映子「なかなかに良かったわね。こういうハートフルな作品はたまに観ると心に染みるわ」


雨西「何をおいてもまず触れなきゃならないのは、主演のイッセー尾形だな。ちょっとした仕草に至るまで味があるから観てて飽きない、流石の演技力」


映子「逆に言うと、イッセー尾形がいなければ成立しない作品でもあるわね。話としては静かな内容だから。要約するなら、いなくなった猫を探すってだけだし」


雨西「だからこそ、人は何か心の支えにしているってテーマが活きるんだろな」


映子「ラストでミイちゃんが帰ってきたのかどうなのかをぼかしてあるけど、最後の鳴き声は校長先生の夢じゃなく、庭にひょっこりと戻ってきたって信じたくなっちゃうわよね」


雨西「という訳で評価は「★2つ」くらいかな。ストレスが溜まって殺伐とした生活を過ごしているあなたにおススメの1本だな」


雨西「友情、努力、勝利。そして恋。本日の映画は「バクマン。」だ」


映子「高い画力を持ちながらも日々を流されるように過ごす最高。そんな彼が些細な出来事をきっかけに秋人に「俺と組んで漫画家になろう!」と誘われる。はじめは拒否するものの、秘かに思いを寄せるクラスメイトの亜豆と「お互いの夢がかなった時に結婚する」と約束した事で、二人の夢が動き出す――とまあ、こんな感じね」


雨西「原作漫画は少しだけしか読んだことないけど、そういうのは関係なしに楽しめる映画だったな」


映子「少年漫画がテーマだけのあって、すごく熱かったわね。漫画家の華やかなイメージとはうらはらの過酷な現実とかも印象深いわ」


雨西「冷静に考えると納期1週間が永遠に続くって、正気の沙汰じゃないよな。気軽に「この漫画は打ち切りコースだな」とか言っていた自分がちょっと気まずくなったぞ」


映子「佐藤健の最高くんや小松菜奈の亜豆ちゃんのキャストは、最初はちょっと原作イメージとは違うかなとも思ったけど、映画が進むにつれてばっちりハマった感じ。漫画の実写化としては大成功の部類だわ」


雨西「恋愛要素や最後にライバル漫画家たちが協力してくれるとことか、ベタベタの展開といえばそうだけど、まさに「友情、努力、勝利」だから、逆にそれがよかった。濃密な2時間に仕上がってた」


映子「というわけでここは素直に「★3つ」ね。一度でもラノベ作家になりたいと思ったそこのあなたは、これを観て何かをクリエイトする過酷さを知るといいわ」


映子「なぜ彼女は歩いたのか? 「私に会うまでの1600キロ」が本日の映画ね」


雨西「気軽な山歩きの経験すらなく、何のトレーニングもせずに1600キロ踏破に挑もうとするシェリル。それはどん底の人生だった自らをやり直すため。ただその決意はスタートしてすぐに後悔へと変わる。過酷な道を歩き続ける彼女が、1600キロの道のりで見たものとは――というストーリーだな」


映子「いやー、思ってた以上に面白かったわ。こういう一人旅ってちょっと憧れるけど、その辛さがよくわかるわ」


雨西「壮大な海をみて自分のちっぽけさを知る感じなのかね。確かにこれまでの辛い人生の見つめ直すには、ここまでやらなきゃダメなのかもしれんな」


映子「オープニングからよかったわよね。足の爪が剥がれて、ブーツまで谷底に転がり落ちて…。そのシーンだけで過酷さと、シェリルの無謀さが伝わるいいシーンね」


雨西「その後に彼女がテープで即席の靴を作るのも含めてな。少しづつ逞しくなっていく彼女がよく表現されてる」


映子「そしてそこまで精神的に強くなっているからこそ、ラストの涙が活きているのかもねー。お母さんに会いたいって言えるのは、母の死と初めて向き合った事でもあるし」


雨西「旅の辛さに散々グチはこぼすけど、泣かせなかったのはそのためだったんだろうね」


映子「私的に疑問なんだけど、途中知り合った男とセクロスしてたじゃん。アレはいいの?」


雨西「ドラックに溺れて刹那的に男に抱かれていたそれまでとは違って、本当に人寂しくなっていたって解釈すればいいと思うぞ。それも自分の弱さを受け入れているって事で」


映子「なるほどねー。ま、そういうわけで評価は「★3つ」で。ちなみに原題は「 wild 」だけど、そのままじゃわかりにくいとはいえ、邦題ももう少し過酷さが押し出されたものがよかったなーと思ったり」


雨西「身長1.5cmになった男は、ヒーローになれるのか? 「アントマン」が本日の映画だ」


映子「ようやく刑務所から出所するものの、職もなく、子供の養育費さえも払えないスコット。途方に暮れた彼は、天才科学者ビム博士の家に忍びこむ。そこで不思議なスーツを盗み出した事で、彼の人生は変わろうとしていく――といった感じで始まるストーリーね」


雨西「マーベル作品だから期待はしていたけど、かなり面白かったな」


映子「小さくなるっていう地味にも思える能力だけど、それを活かした戦闘はスピーディーだし、爽快感があったもんねー」


雨西「仲間としてアリさんたちを活用しているのもいいアイディアだよな。アリの背中に乗っている所とか、カッコ良くもあり、滑稽でもあって」


映子「強くなるための特訓も楽しいし、ストーリーもほぼ勧善懲悪だからわかりやすいし、マーベル作品にしかできないアベンジャーズネタも入ってるし。私としては文句のつけようがない映画だったわ」


雨西「続編が決定しているみたいだけど、ラストに誰だかが病気で苦しんでいるシーンあったから、小さくなって身体に入るって展開になるのかね? アントウーマンも出てきて作品の幅が広がるといいよな」


映子「というわけで、評価は文句なしの「★3つ」よ! いい意味で期待を裏切ってくる事を信じて、続編も待つべし!」


映子「熊川哲也が魔法をかける。童話を超えた完全無欠のファンタジー。「Kバレエ 『シンデレラ』 in Cinema」が今日の映画ね」


雨西「日本が世界に誇るバレエダンサーの熊川哲也さんが監督のバレエ舞台の映画版だな。バレエって初めて観たわけだけど、いい意味で想像とは違ってたな」


映子「そーね。もっと堅苦しいっていうイメージがあったけど、全然だったわ。くすっと笑える場面も所々にあって、すごく楽しかった」


雨西「当り前の事だけど出演しているダンサーたちがすごかったな。技術的どうこうとかはわからないけど、人間の身体があんな風に軽やかに動かせる事が衝撃だわ」


映子「それに綺麗だったしね。シンデレラの神戸里奈さんがドレスアップした所は本当に輝いてたし、王子様の伊澤諒さんはきらっきらしてたし」


雨西「一番印象に残っていた場面は、時計が12時になって魔法が解けてしまう所かな。おおがかりですごく緊迫感と迫力もあった」


映子「逆にいま一つわからなかった場面もあったけどね、大きなオレンジを持った怪力男とか。あと陽気なバレエ教師とかもちと蛇足的に感じたかなあ」


雨西「その辺りは予告編で熊川さん本人が言ってたように、「100人いれば100通りの受け止め方がある」みたいだから、自由に解釈すればいいんだろ。そういうのもバレエの楽しみ方って事で」


映子「というわけで評価は「★2つ」で。バレエなんか全く知らないって人は、世界観が広がるので是非どーぞ」


雨西「さあ、人生のホームワークを始めよう。「ヴィンセントが教えてくれたこと」が今日の映画だ」


映子「アルコールとギャンブルに溺れるダメ親父のヴィンセント。そんな彼がひょんな事から隣に越してきたいじめられっ子のオリバーの面倒を見ることに。小学生相手にも容赦のない毒舌を連発し、ろくでもない事を教えていく。二人の間にはいつしか奇妙な友情が生まれ――てな、感じね」


雨西「主演のビル・マーレイはいまだに「ゴーストバスターズ」のイメージが強いけど、いい歳の取り方してるなって再確認できた映画だったな」


映子「それはそれとして、作品の評価としては気ままなダメ親父をどこまで許せるかで変わってくるわね。オリバー君にケンカの仕方を教えたり、一緒に競馬をしたりは面白かったけど、さすがにあれだけ借金まみれだったのはちょっとね…」


雨西「認知症の奥さんに尽くしているのはわかるけど、だったらもう少しちゃんとしろよって、どうしても思ってしまうな。そこで感動が薄れてしまった感はある」


映子「まあ、あんな風に自由気ままな人生は憧れなくもないけどねー」


雨西「というわけで評価は「★1つ」くらいかね。ストーリーはわかりやすいし、キャストみんなの演技力も高いから時間があったら観るのも一興ってことで」


映子「世界まだ終わらない。今度は人類の番だ。「進撃の巨人 -エンド・オブ・ザ・ワールド-」が本日の映画ね」


雨西「前編でエレンが巨人化してからの続きだな。ちなみに星1つ評価だったけど」


映子「見事にパワーダウンしちゃったわね。ほぼほぼ予想通りの展開だったし」


雨西「巨人たちがかつての文明時代の兵器だったりとか、不発弾を穴を塞ぐのに使ったりとかな。あー、やっぱりこうかって感じだ」


映子「エレンとシキシマが兄弟だったっていう、どうでもいいオリ設定もあったわね。巨人VS巨人をメインにしたかったんだろうけど、単なる怪獣映画みたいに見えちゃったわ」


雨西「演出もこんなんでいいのかなって所があったな。長谷川博己が傾きながらワイン持ってた所は「は…?」って声が出だぞ」


映子「一番の見どころは冒頭に友情出演してた草なぎ剛だったわね。実写化としては失敗扱いされるのは避けられないでしょーね」


雨西「プラスに考えるとするならば、原作の漫画はこういうラストにはならないだろうって事だな。諌山先生頑張ってくださいってのが総評ってことで」



雨西「いっちょ、ハジけますかっ♪ 本日の映画は「ガールズ・ステップ」だな」


映子「誰に対しても調子よく接してしまうあずさ。ある日ひょんな事からダンス部を結成するはめになってしまう。集められたのは”ジミーズ”と呼ばれる面々。ダンスを通じて彼女たちには友情が芽生えていき――ってな感じね」


雨西「なんというか、エンターテイメント映画としてはどうなのかなーって感じだったな」


映子「超王道っていってるくらいだから、ストーリー展開がベタなのはいいとしても、それぞれが抱えているものが重すぎて観てて楽しいものじゃなかったのは確かね」


雨西「妊娠+流産しておいて、ダンスなんかしてる場合じゃないだろって思ってしまったもんな」


映子「本当に塚本高史演じるうさんくさいケニーさんや、山本裕典のチャラ男がいてくれて助かったわ。ある種の清涼感になってたし」


雨西「ラストのダンスはまあ軽やかで華々しかったけど、2時間の映画に対してわすか2分程度だったしな。それまでの流れのせいでどうにもインパクトが薄くなるし…。ダンスがメインだけに残念」


映子「メインのジミーズについてだけど、やっぱりダンスありきのキャスティングなのかしら?」


雨西「だとしても、それほど酷い演技ってわけじゃなかったかな。主役の石井杏奈って、「ソロモンの偽証」にも出てたよな。これから何本か出演作が控えてるみたいだし、プッシュされてるのかもしれん」


映子「ま、総評としましては「観てるこっちはそれほどハジけられなかったぞ!」ってことで」



映子「絶対に守り抜く――。今日の映画は「天空の蜂」ね」


雨西「最新鋭の巨大ヘリ<ビッグB>。それが何者かに乗っ取られ、ヘリは原子力発電所の上空で静止した。犯人は政府に対して日本全ての原発破棄を要求。命をかけた8時間のカウントダウンが始まる――という話だな」


映子「基本的に東野圭吾原作の映画は外れナシだけど、今作も面白かったわね。すっごくスリリングだったわ」


雨西「原発破棄がテーマがタイムリーだし、各人の思いもいい感じで交錯しててワクワクしたな。こういう小説を20年前に書けるってのはやっぱりすごい」


映子「最新鋭ヘリなのにあんな細工をされるなんて、セキュリティがガバガバすぎるでしょとか、細かくみていけばツッコミどころはあるんだろうけど、それを気にしないですむだけのパワーがある作品ね」


雨西「自衛隊による救出劇も熱かったけど、自分が一番好きなのはラストシーンだな。犯人が最後の声明文を送信する直前で回線が切られるところ。国の隠ぺい体質を皮肉ってる感じがいい」


映子「私は雑賀を逮捕するために、血まみれになりながらも必死で食らいつく刑事さんが印象的ね。落合モトキさんって、けっこう色んな映画に出てる人なのね。名前をしっかり覚えたわ」


雨西「俳優さんの話が出たけど、上手かったのは本木雅弘と綾野剛かね。本木雅弘は言うまでもないし、綾野はいっちゃった演技がいい」


映子「――というわけで、評価としては星3つね。あえて文句をつけるとするなら、<ビッグB>という呼称がダサいって事くらいの良質な映画よ」


雨西「お前はなんで最後に毒を吐くんだ…」


雨西「その時父は、ヒーローになる。「カリフォルニア・ダウン」が今日の映画だ」


映子「突如起こった巨大地震に崩壊するカリフォルニア。未曾有の大災害の中、レスキュー隊のパイロットであるレイは、取り残された娘を救うために死力を尽くす――という内容ね」


雨西「なかなかこういう作品を面白いとは言いにくい風潮もあるけど、かなり良かったな。パニック災害ものとしてはかなりの高評価だ」


映子「3Dって観終わってから、「別に3Dじゃなくてもよかったんじゃね」って作品もあるけど、これは是非3Dで観て欲しいわよね。地盤がうねったり、崩壊していく様がすっごく迫力あったわ」


雨西「きっと東日本大震災の映像が参考にされてるんだなと思うと、複雑な思いもあるけどな…」


映子「ま、まあそれはそれとして主演のドウェイン・ジョンソンも流石だったわね。あの屈強な肉体が見事に躍動してたわ。やっぱ筋肉っていいわあ」


雨西「俳優転身直後はなかなか作品に恵まれなかった感もあるけど、もう完全にポジションを確立してるな。俳優として活躍すればするほど、プロレスラーとしての活動が少なくなって昔からのファンはガッカリしてるらしいが」


映子「あえての不満点を挙げるなら、主人公サイドの一方でダニエルが他人を犠牲にしてまで助かろうとしていたけど、中盤あたりで死んじゃったじゃない。個人的には最後まで生き残ってほしかったなーって」


雨西「わかる気もするな。乱暴な意見だけど、ああいう状況じゃ倫理観とか別にしてとにかく生きるって選択肢を選ぶのは間違いじゃない気もするし」


映子「ねえ、この映画を観てると無性に「絶体絶命都市」をやりたくならなかった?」


雨西「すっげー同意だわ。今年の東京ゲームショウに密かに期待しような」