千鶴来高校映画鑑賞部  -3ページ目

千鶴来高校映画鑑賞部 

部員二人による活動報告書(および実験的対話型映画感想記)
傑作★★★:わくわく、もう一回観たい!
秀作★★☆:うんうん、悪くないよ
良作★☆☆:まあまあ、こんなもん
凡作☆☆☆:……うん。


映子「好きだ――。「俺物語!!」が今日の映画よ」


雨西「イカツイ顔面と屈強な肉体をもつ男の中の漢が主役の美女と野獣的恋物語だな」


映子「第1話を読める小冊子はわりと面白かったんだけど、映画にするとちょっとね…」


雨西「すっごいわかる。少女漫画らしく猛男も、凛子も、砂川もいい子なのはわかるんだけど、なんか「めんどくさっ、こいつら」って思っちゃうよな」


映子「私たちの心が汚れているってツッコミは抜きにするとして、いちいちまどろっこしいのよね。ぶっちゃけ、お化け屋敷で凛子ちゃんを助けた所でエンディングでもよかったわ。「え、まだこいつらくっつかないの…?」って素でつぶやいたもの」


雨西「肉体改造俳優として有名な鈴木亮平はさすがだったけどな。コスプレ感満載の格好なのに、ちゃんと自分らしさも出てたのはすごい」


映子「まあ、それがあるからこそまだ観れるとも言えるけどね」


雨西「映画としての評価は「★なし」だな。原作漫画はそれなりに面白いんであろうことは伝わったけど」


映子「もう10巻まで出てるのね。猛男くんと凛子ちゃんはあれだけラブラブなのに、なんかネタがあるのかしら。なんか逆に展開が気になってくるわ」



雨西「宇宙人だらけのロマンティックコメディ!!「ギャラクシー街道」だな」


映子「ヒットメーカー三谷幸喜が送る、広大な宇宙に浮かぶ小さなハンバーガーショップで巻き起こる、有象無象の群像劇ね」


雨西「感想だけど、そのヒットメーカーの特色が悪い方にでちゃった感じかね」


映子「一言でいうなら単なる馬鹿騒ぎだもんね。この手の作品はそれぞれのエピソードが最終的に一本になるから面白いのであって、収束せずにとっ散らかってるだけよね」


雨西「登場人物各々の個性がしつこすぎるくらいに強すぎたのもなあ…。このしつこさがダメな人はとことんダメな作品な映画になっちゃったな」


映子「そうなるとキャスティングが豪華なのもお寒い印象になるだけだしね」


雨西「評価は「★なし」だな。ネームバリューで期待値は自然に高くなるだけに、落差が酷く感じる一作ってことで」


映子「次回作で才能が枯渇してないってのを証明できるように祈ってるわ」



映子「あの天才運び屋が始動する――!「トランスポーター イグニション」よ」


雨西「ジェイソン・ステイサムの人気シリーズが、主演を変えて6年ぶりにリスタートした作品だな」


映子「まあ、正直前作があんまりだったから、ここからテコ入れをするのも一つの手かしら」


雨西「ステイサム版のフランクは型物って感じだけど、エド・スクレインは真面目って感じかね。どっちがいいかは好みの問題だけど、映画のイメージが壊れないキャスティングで自分はいいと思う」


映子「んで、この映画の肝のカーチェィスだけど、やっぱいいよねー。疾走感や迫力は言うまでもないし、特にスピンしながら散水栓を開けていく所が最高ね! 飛行機から乗り移るのも無駄に豪快で」


雨西「同じ格好をした3人の美女とかいうのも謎めいてよかったし、途中で同じ車種の車に乗り換えて前のは爆破する所もけっこう好きだな。前作までにはなかった逃げ方だし」


映子「というわけで評価は「★3つ」ね! 何も考えずにスピード感を楽しめる一作よ」


雨西「映画館の帰りに車を運転する時は、テンション上がり目だろうし、十分に注意しないとダメだろうな」



雨西「本当の迷宮はここから始まる――。「メイズ・ランナー2 砂漠の迷宮」だ」


映子「前作で夜ごとに姿を変える巨大迷宮から抜け出したトーマスたちが、謎の組織によって広大な砂漠にある施設に連れて行かれる所から物語は始まるわ」


雨西「前作を観た時から懸念はしてたけど、もうほとんど迷宮感はない作品になってるな」


映子「どちらかというとサバイバルや銃撃戦が主になってたわね。それに謎のウィルスに犯されてうんぬんってのも、それほどオリジナリティがあるわけではないし」


雨西「仲間の裏切り要素もけっこうなベタ定番だしな。それでも話のテンポはよかったから、飽きずに鑑賞する事はできたのはよかった」


映子「評価は前作と同じで「★2つ」ってところで。とりあえずラストの3作目は観たくはなったし」


雨西「続けてシリーズ物の映画を観たせいで余計に思うけど、なんで冒頭を前作のラスト5分程度から流す感じにしてくれないんだろうな。その方がすんなりと映画に入れるのに…」



映子「偽りの世界を破壊せよ――。「ダイバージェントNEO」よ」


雨西「前作で5つの共同体のどれにも該当しない異端者<ダイバージェント>だと判明したトリスが、命を狙われながらも、なんとか逃亡した所から始める物語だな」


映子「んー、感想としては前作と同じね」


雨西「というと、「確かにVFXはすごかったんだけど…」的な感じだな」


映子「ガラスが霧散したりとか、世界が崩壊していくのとかは観てて楽しかったけど、ほとんどが後半に詰め込まれてたでしょ。わたし的にはストーリーがハマらなかった分、前半で飽きがきちゃったのよね」


雨西「比較すると、トリスが逞しくなっていく様を描いてた前作の方がまだ楽しめた気はするな。5つの共同体設定も、もうそこまで関係のない感じになりそうだし」


映子「最新のVFXを活用するなら、もっともっと現実と偽りの世界を混在させたようなストーリーの方がよかったかもね」


雨西「まあ、評価は「★1つ」くらいか。ここまで来たからには3作目も観るつもりだけど、「あ、まだあんのか…」って思ってしまったのも事実だし」


映子「映画の冒頭で少しだけ見れるけど、主演のシャイリーン・ウッドリーは絶対にロングヘアの方が似合うなと思いましたマル」


雨西「見惚れるほどの、復讐。本日の映画は「ジョン・ウィック」だ」


映子「かつて裏社会にその名を轟かせた凄腕の殺し屋ジョン・ウィック。そんな彼は愛する女性ヘレンと結婚した事で足を洗い、平穏で幸せな毎日を過ごしていた。ところが妻は病に倒れ息を引き取ってしまう。彼女がジョンのために遺していった愛犬を心の支えにしようとするも、今度は押し入ってきた強盗にそれを奪われてしまい――という所から始まる復讐劇ね」


雨西「撃って、殺して、また撃ってって感じだな」


映子「その三行だけで説明ができてしまうのがすごい所ね。アクションを含めてスピード感がすごかったわ」


雨西「ゼロ距離射程での銃撃の連続とか、実に主演のキアヌ・リーブスらしいスタイリッシュさだな。あとは殺し屋たちが集うホテルとか、死体の掃除屋とかその辺りの世界観は好きだな」


映子「ただ後半になるとちょっと飽きがきちゃったわね。ずーっと殺しまくりの、撃ちまくりだし。愛犬を殺された復讐という単純明快な動機だし、ストーリー的にはさほど面白くはないから余計に」


雨西「続編が決定しているらしいけど、正直そこまでの作品でもないよな」


映子「保健所みたいな所で新しい犬を連れていくシーンがラストカットになってたけど、あれはジョンにって犬を飼う行為=平穏みたいな意味合いがあるからよね」


雨西「最初の犬はすぐに懐いてたけど、新しい犬はリードを引かれてもなかなか言うこと聞かなかっただろ。あれはこの先の人生も簡単に平穏が訪れるものじゃないってのも暗に示してるんだろうな」


映子「まあ評価としては「★1つ」かな。最初から最後まで暗い雰囲気が漂っているから、単純にアクションを楽しみたい人は別の作品を観た方が無難かもね」


映子「たった1人で100万人を救えるか!? 「サバイバー」が今日の映画よ」


雨西「ロンドンの米国大使館に派遣されたエリート外交官のケイト。彼女の任務はアメリカへの不正入国を狙うテロリストたちを水際で阻止する事。ケイトはある不審な入国者に気づくが、直後に爆破テロに巻き込まれ、しかもその犯人とされてしまう。国家、警察、最強のテロリストのすべてから追われるケイトは、たった1人で100万人のニューヨーカーの命を救う事ができるのか――とまあ、こんな感じだな」


映子「たった一人で孤独に闘うって、いわゆる王道の設定ではあるからそれはいいとして、わりとテンプレ通りかな。残念な事に」


雨西「ハッキングを活用して捜査をかいくぐるってのも、今じゃもう定番だから目新しさはないし、そこまで印象に残ったシーンがなかったというのが率直な感想だな」


映子「展開に飽きがくるものだから、ついつい余計な事を考えてしまうのよね。「ただの外交官を捕まえるのに、どんだけ後手後手になってんのよ」とか「世界一のテロリストのくせにどんだけ失敗してんのよ」とか「もうちょっと、こうなんとかなりませんかねぇ…」とか」


雨西「主役の設定が一外交官だから、激しいアクションなんかも入れられないしな」


映子「そんなわけで評価は「★0個」ね。ま、こんなもんって感じで」


雨西「幸いにして、ミラ・ジョヴォヴィッチとピアース・ブロンナンの役柄イメージが崩れるような映画ではないから、二人のファンは観てみればいいんじゃないかね」


雨西「守り抜く。何度でも。「図書館戦争 THE LAST MISSION」が今日の映画だ」


映子「国家による思想検閲やメディア規制が横行する社会となった近未来の日本。そんな中で検閲に対抗して「本を読む自由」を守っている「図書館隊」と検閲実行部隊「良化隊」が、この世に一冊しかない自由の象徴である「図書館法規要覧」をめぐる激しい戦いを描いた映画ね」


雨西「このあらすじを聞いてもわかるように、本作の魅力はなんといってもこの斬新な設定だよな。小説が出版された時からずっと気になってた」


映子「斬新だけど、それでいてすんなり受け入れられるような分かりやすさがあったのもポイント高いわ。この辺はさすが売れっ子小説家の有川浩って感じね」


雨西「戦闘シーンもけっこう迫力あったな。本棚がむちゃくちゃになって、本が飛び散る所とかすごくワクワクしたし」


映子「普段は静かにしなきゃならない図書館という場所なのが相乗効果になってるのかもねー。相反してるものをくっつけるのがいいアイディアを生む秘密って聞いたことあるわ」


雨西「あとは図書館法規要覧を必死に守り届けたラストシーンだな。マスコミが協力してってのがいい。激しい戦いのニュースを見てもたいていの人が無関心なのに、それでも真実を伝える――ってメディアの本質がよく表れてる」


映子「私たちは原作未読だけど、主演二人のキャスティングもけっこうイメージ通りらしいな。岡田準一と栄倉奈々の身長差とかピッタリらしいし。やっぱり恋に年齢や身長は関係ないわね」


雨西「というわけで評価は「★3つ」で。本を好きな人間も嫌いな人間も楽しめる一作なので是非どうぞ」



映子「この地球は、宇宙に必要か? 「UFO学園の秘密」よ」


雨西「ある日ナスカ学園に起きたアブダクション。それをきっかけに次々と謎の事件を起きていく。レイをはじめとする5人組は真相を解明しようと動き出すが、やがて驚愕の真実が明らかとなっていく。地球に潜伏しているという宇宙人たちの狙いとは――とまあ、こんな感じのあらすじだな」


映子「豊潤な予算を注ぎ込んでいるおかげで、意外なクオリティの作画と豪華な声優にごく一部では妙な人気がある、幸福の科学発の映画ね」


雨西「まあ面白いか、つまらないかで言ったらつまらなかったな。ここまでストレートに宇宙人だの、アブストラクションだのを言ってる映画は久しぶりだわ」


映子「作画はよかったんだし、もう少しシナリオもなんとかならなったのかしらね。私も大味すぎて、逆に頭に残らなかったわ」


雨西「人を思いやるとか未来を信じてとか、テーマとしては立派なんだろうけど、エンターテイメントとしてはな…」


映子「まあそれでも信仰してる人にとっては、こういう映画は必要なんでしょうね。ラストで5人組が手を合わせてる所で、近くに座ってた人が同じように手を合わせてたのは、さすがにびびったわ」


雨西「宗教色が強すぎる映画なので人におススメはしにくいから、評価は「★なし」って事で」


映子「ネタ的に観たいって人は、映画館に行けばいいんじゃないかな、うん」


雨西「全てを手に入れたはずの彼女に訪れた試練。そこにやってきたのは、70歳の新人だった――。本日の映画は「マイ・インターン」だな」


映子「ファッション業界で成功し、仕事も家庭も充実した毎日を送るジュールズ。そんな彼女の部下にシニア・インターンとしてベンが雇われる。40歳もの年上の相手に当初は苛立つジュールズだったが、次第にベンの豊かな人生経験ががんばりすぎていた彼女を変えていき――って、あらすじね」


雨西「この手の映画は世代間によるズレがテーマの一つなんだろうけど、その点はいまひとつだったかな」


映子「ベンの存在に若者ばかりの会社がほっこりしていくのはよかったけど、仕事面でもうちょっと無双感があってもよかったわね。昔の人脈を活かしてとか、昔気質ならではの発想とか」


雨西「中盤あたりに少しはあるんだけど、すでにジュールズがすっかり信頼してしまってる状態だったしな。前半で意外な有能さに驚き、ジュールズが少し見直し、さらにベンの人柄に魅かれ――という展開の方が絶対よかったはず」


映子「評価としては「★1つ」くらいね。せっかくアン・ハサウェイやロバート・デ・ニーロの名優二人を起用してるわりにはって印象ね」


雨西「個人的には「男がハンカチを持つのは、女性が涙を流した時のため」という格言を得れたのが最大のポイントだな。さっそく明日から持とう」